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シニア人材の求める”気遣い”企業側とのギャップが明らかに。シニア人材が望む理想の働き方

2019.06.25

 ディップ株式会社(本社:東京都港区)のディップ総合研究所は、現在アルバイト・パートで就業している60~74歳の男女を対象に「シニアの就業に関する意識調査」を行った。

 雇用している企業と働いているシニアとで、お互いに求めている”気遣い”にギャップがあることが分かった。

■調査背景

 この10年で、労働力人口全体に占める65歳以上の割合が約4.3%(※3)増加するなど、シニアの労働力比率は年々高まり、企業にとって、シニアの採用および定着・活躍は重要な課題となっている。

 そこで、シニアの雇用形態の中で最も割合の高い(※4)「アルバイト・パートに従事しているシニア」を対象に「シニアの就業に関する意識調査」を実施。シニアが理想としている働き方を明らかにするとともに、企業がシニアを採用する際の募集、定着のポイントを探った。

(※3)参考元:総務省統計局「労働力調査(基本集計)平成30年(2018年)平均(速報)結果の要約」
(※4)内閣府「平成29年版高齢社会白書(全体版)結果の要約」

■シニアが働きたいと思う理由

■シニアが働きたいと思う理由

 シニアが働きたいと思う理由は、1位「家計・生計や貯金貯蓄のため」(57.6%)を筆頭に、「お金」「健康」「社会とのつながり」に関する項目が上位にあがった。

■シニアの理想の働き方

■シニアの理想の働き方

 仕事の仕方については「これまでのスキルを能力を活かしたい」(72.4%)、同僚については「様々な世代と働きたい」(64.9%)、勤務形態の理想に関しては「働く日数を減らす・短時間勤務」(61.7%)を理想とするシニアが多数派となった。

 一方、働くときの立場としては、「指導者の立場」(42.8%)「プレイヤーの立場」(33.9%)を望む人がそれぞれいることも明らかになった。

■シニアがケアしてほしいこと/企業がケアしていること

■シニアがケアしてほしいこと/企業がケアしていること

 シニアが企業にケアしてほしいと思う項目1位は、「仕事内容は体力や経験などを考慮して決めてほしい」(32.0%)を筆頭に、体力の低下に対する考慮を希望する回答が上位。

 一方、企業がシニアに対して行っているケア1位は「敬意をもって接する」(25.0%)となり、シニアの理想とギャップがあることがわかった。

■シニアがケアしてほしいこと

■シニアがケアしてほしいこと

 

■企業がケアしていること

■企業がケアしていること

 

■調査結果からわかる採用企業側の採用力強化ポイント

 調査結果より、「仕事の仕方」「同僚」「立場」「勤務形態」それぞれの項目に対するシニアの理想の働き方が明らかになった。どんなスキルが活かせるかを明確にして募集する、どんな立場で働きたいかをヒアリングしてから任せる仕事を決める、といったマッチング面の工夫や、様々な世代の同僚とも働けるような職場環境の整備、短時間・少ない日数での勤務も選べる仕組みづくりなどの制度の充実が、シニア採用・定着のポイントとなりそうだ。

 また、シニアの望むケアと企業がシニアに対して行っているケアに差があることも判明した。企業が、シニアにあったサポート内容へ変更することも望まれる。

■調査概要

 ・調査設計・分析:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 廣吉夕奈
 ・調査名:ディップ総合研究所 「シニアの就業に関する意識調査」
 ・調査手法:インターネット調査(楽天インサイト)
 ・調査対象:47都道府県に在住し、現在アルバイト・パートで就業している60~74歳の男女
 ・調査実施時期:2019年4月12日(金)~2019年4月15日(月)
 ・有効回収数:481サンプル

■まとめ

 シニアの労働力比率は年々高まっており、企業にとって、シニアの採用および定着・活躍は重要な課題だ。

 今回の調査により、企業が考える「シニアがケアして欲しいこと」とシニアが考える「企業がケアして欲しいこと」には差異があることが分かった。企業側は、シニアの労働者の様子をよく観察し、体力やこれまでの経験を加味した対応が必要不可欠のようだ。