AI技術を活用した「感情解析コールセンターAI」。コールセンターの業務効率化とモチベーション維持に貢献。
音声感情解析AI 「Empath」を開発する株式会社Empath (本社:東京都渋谷区)は、コールセンターBPOの提供を行うセコムグループの株式会社TMJ(本社:東京都新宿区)とバーチャル・アシスタント搭載の感情解析コールセンターAIを共同開発した。
両社はコールセンターで生産性に影響を与える2つの主要因であるオペレータの監督者(以下、SV)の業務過多とオペレータのモチベーション維持という課題に着目し、生産性向上に貢献した。
■コールセンターにおける音声感情解析の有効性を検証
コールセンター白書によると、離職につながる職場での最も不快な体験として「同僚との人間関係」が挙げられている。
実際、SVは平均で一人あたり10人弱のオペレータを支援しているため、業務過多に陥っており、オペレータとのコミュニケーション不足が発生している。
EmpathとTMJは約4年にわたり、コールセンターにおける音声感情解析AIの有効性検証を実施。感情解析コールセンターAIによるSVならびにオペレータへのサポートが、SVの負担を軽減しチーム内のコミュニケーションを円滑にさせることにつながった。その結果、生産性向上を後押しすることに成功している。
■ SVの残業時間低減に寄与
コールセンターにおいて、SVの主たる業務に「オペレータのフォローや指導、教育」が挙げられる。
これまではどのオペレータをサポートすればいいのかが必ずしも明確ではなかったため、効率的なフォローが困難であるという課題があった。
そこで、音声感情解析AI 「Empath」は業務通話中の顧客とオペレータの感情を解析することで問題が起こりそうな通話を検知し、リアルタイムでSVにアラートを送信。SVはタブレットやPCモニター上に通知されたアラートをもとにサポートが必要なオペレータを即座にフォローできる。この結果、従来よりもオペレータに対するフォロー・タイミングが早くなり、オペレータに対するサポートがより効率的になった。
また、これまでは業務時間内にオペレータの抱える問題や悩みを把握することが困難であり、オペレータからの業務時間外の相談がSVの残業時間を増やす事態となっていた。
そこで音声感情解析AI 「Empath」はオペレータの通話実績と感情値をカルテ化することで、SVが業務時間内にオペレータの状態を確認することを実現、結果としてオペレータの抱える悩みや問題の解決速度がはやまり、業務時間外のオペレータからの相談が減少した。
こうしたSVをサポートする機能により、SVの残業時間を約20%減少することに成功した。
■オペレータサポートによるモチベーション維持: 成約率向上、出勤率の安定化へ
一般的にオペレータのモチベーションが維持できない要素として、SVに対する不満があげられる。
その原因として業務過多によりSVがオペレータと十分に適切なコミュニーケーションがとれていないことが予想された。
そこで音声感情解析AI 「Empath」はオペレータが操作するPC画面上にバーチャル・アシスタントを実装、感情解析の結果に応じて対話が上手くいった場合にはSVの代わりに褒めたり、顧客の怒りが強くなった際には慰めたりすることでオペレータをサポートし、モチベーション維持に貢献した。
その一方で、通話中にサポートが必要となった場合にオペレータがSVにヘルプを呼べる機能も搭載。必要なタイミングでSVからの適切なサポートを受けているとオペレータが実感できるようになり、オペレータの出勤率が99.2%に安定し、成約率が1.9倍向上した。
■感情解析コールセンターAIを使用した現場の声
音声感情解析AI 「Empath」の有効性検証のために、2019年3月8日から2019年6月28日にわたって、TMJ福岡第3センターにてEmpathとTMJが共同でアウトバウンド・コールにおける実証実験を行った。
その際に、製品を使用したSVからは「モニタリング効率が上がった」、オペレータからは「業務通話中に見られるバーチャル・アシスタントの存在は心強い」という業務効率・向上につながる意見やバーチャル・アシスタントに対する好感度を持つ意見などが上がった。
■まとめ
音声感情解析AIのEmpathは、業務通話中の顧客とオペレータの感情を解析し、リアルタイムでSVにアラートを送信することができるため、オペレータを管理しやすいシステムのようだ。
チーム内のコミュニケーションも円滑になり、オペレータのモチベーション向上にもつながり、生産性向上が期待できそうだ。
コールセンター内における働き方改革を模索中の企業は、システムの導入を検討してみてはどうだろうか。