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東京オリンピック、物流遅延や出社に危機感。発生可能性の高いリスクへの危機感が高まる

2019.07.26

 ニュートン・コンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区)と、危機管理の専門メディアであるリスク対策.com(運営:株式会社新建新聞社、本社:長野県長野市)は、共同で実施した「東京2020大会に向けた企業のリスク対策実態調査2019」の分析結果を7月24日に発表した。

 2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)に向け、企業はどのような影響が出ると考え、どのようなリスク対策に取り組んでいるのだろうか。

■東京オリンピックには経済効果がある一方で、負の影響への懸念も。

 2020年7月24日に開幕する東京2020大会の来場予測は、延べ約1,010万人、1日あたり最大92万人。大きな経済効果が期待される一方で、主要道路や船舶の運航に交通制限がかかり、従業員の移動や宿泊、物流などに影響が出ることが懸念されている。

 こうした状況を受け、ニュートン・コンサルティング株式会社とリスク対策.comは共同で、「東京2020大会に向けた企業のリスク対策実態調査」を実施。2018年、2019年、2020年(大会直前)と継続的に実施することで、結果の経年変化を調べることを目的としている。

 企業や組織がBCP(事業継続計画)や従業員の安全対策、あるいは企業価値といった観点から、東京2020大会に対してどのような影響を想定し、どう対策しようとしているのかを分析する。

■対策が必要とされるリスクのトップ3は、「物流遅延」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」

■対策が必要とされるリスクのトップ3は、「物流遅延」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」

 東京オリンピックで懸念しているリスクについて調査した。

 リスクのトップ10は、「物流遅延(交通渋滞や交通規制)」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」「首都直下地震」「風水害」「混雑による群衆事故」「感染症」「交通機関のチケットが取りにくくなる」「ネット回線の速度低下や途絶」「テロ」の順。昨年と比べると、交通問題やサイバー攻撃等、より身近で発生可能性が高いリスクへの危機感が高まっている傾向が明らかになった。

■対策が必要と思うリスクは、業種によって温度差がある。

 業種別に見ると、「特別に対策を講じるべき必要がある」と考えているリスクそれぞれについての差が明確にな結果となった。

 運輸業は、リスク全般にわたり、他の業種より対策の必要性を高く認識している。特に「物流の遅延」や「従業員の出社遅延」については5点満点中平均4.5以上と、交通問題をかなり重視していることがうかがえる結果となった。

 逆に、建設業では、リスク全般について、必要性をそれほど高く感じていないという傾向が見られた。

■自社事業を検討した・検討したい企業は約8割に及ぶ。

 大会の開催により発生し得るさまざまなリスクの自社事業への影響について、すでに検討しているかどうかを聞いた。

 「すでに検討している」と回答した企業は全体の約41%に上り、昨年より約9ポイント増加。「検討していないが、今後、検討する予定」を併せると、全体の8割近くは検討が必要だと認識していることが明らかになった。

 一方で、大会まで1年に迫った現時点において、「検討していないが、今後、検討する予定」との回答が約37%と最多を占める形に。リスク対策へのスピードが今後の課題と言えそうだ。

■「具体的な影響が算出できない」ため、対策が進まないという声も。

 東京2020大会に向けたリスク対策の課題について調査した。

 アンケート結果によると、「具体的な影響が算出できない」が約64%と最多で、2位以下を大きく上回った。昨年と同様の傾向が見られるが、昨年は「具体的な影響が算出できない」が約48%だったことから、よりその傾向は顕著になったと言える。

 また、「情報が無さすぎる」(約34%)も昨年から8ポイント増えている。今後、対策を進める上で、行政などからのより詳細な情報提供が求められそうだ。

 一方で「予算が得られない」(約13%)や「経営層の理解が得られない」(約12%)といった、リスクマネジメントに取り組む会社の姿勢を課題とした回答は少なかった。

■まとめ

 東京オリンピックに向け、対策が必要とされるリスクのトップ3は、「物流遅延」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」だった。より身近で発生可能性の高いリスクへの危機感が高まっているようだ。

 約1年後に迫った東京オリンピック。さまざまなリスクを想定した対策を検討する必要があるだろう。

 

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