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働き方改革の推進の裏で、社員の成長に格差が。若手の成長を促すポイントは?

2019.09.05

 株式会社ラーニングエージェンシー(本社:東京都千代田区)は、2014年度から実施している新入社員の意識調査などをもとに、新人・若手社員の成長に寄与する要件を分析した。

 働き方改革の推進により労働時間の短縮が強く意識され、また、プライベートの時間を重視する新人・若手社員が増加している昨今、会社時間以外の時間の使い方を“考える機会”を与えることが新人・若手社員の育成を進めるうえで欠かせない視点のようだ。

■2019年度は「仕事とプライベート優先」が1位

■2019年度は「仕事とプライベート優先」が1位

 「20代の時間の使い方」を聞いたところ、2016年度までは「仕事とプライベート(※1)と自己投資(※2)をバランス良く」と回答する新入社員が30%を超え、トップを維持していたが、2017年度に初めて「仕事とプライベート優先」が上回り、最新の2019年度の調査では27.3%の新入社員が「仕事とプライベート優先」の意向を示した(図1)。

 さらに、2014年度にはわずか4.5%だった「プライベート優先」が、2018年度に10%を突破し、2019年度には11.9%まで上昇している。このことから、従来に比べプライベートの時間を重視する新人・若手社員が増加していることが読み取れる。

(※1) プライベート:自分の趣味・友人・恋人・家族と費やす時間
  
(※2) 自己投資:仕事に役立つスキル向上に費やす時間

■約4割の新入社員が将来のキャリアを定めていない

■約4割の新入社員が将来のキャリアを定めていない

 将来会社で担いたい役割について、「キャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」「まだはっきりしていない」と答える新入社員が年々増加傾向にある(図2)。

 特に2017年度以降はその割合が40%を超え、「将来のキャリアを定めていない」新人・若手社員が一定数いる実態も明らかになった。

■生産性向上が一つの解決策

 社会の動きに目を向けると、長時間労働の是正が叫ばれ、労働時間が短縮傾向にある中、会社としてさらに業績を上げていくために、仕事の結果・成果につながる“量×質”の“質”に当たる生産性向上が一つの解決策として注目されている。

 実際に、オートメーションツールの導入や制度変更など、生産性向上に向けた様々な取り組みが行われているが、仕事そのもののやり方・進め方の“質”を本質的に改善していこうと思うと、ある程度の“量”の投下=本人の試行錯誤の時間も必要となる。

■プライベート時間の使い方を“考える機会”を与える

 そこでキーとなるのが、「会社時間以外の時間=プライベート時間」の使い方だ。

 新人・若手社員の最近の傾向である「プライベート重視で自己投資への意識が低くなりつつある、将来のことをあまり考えていない」状況が続くと、“放っておいても自ら学習する社員”と、“放っておくと成長につながる時間の使い方をしない社員”の二極化が進み、社員間の“成長格差”が広がってしまう可能性がある。

 就業時間外に得られたスキルや経験を社員の成長につなげることなどを目的に、副業や兼業を解禁する流れが加速している状況も踏まえると、プライベート時間の使い方を“考える機会”を与えることこそが、新人・若手社員の成長を加速させる第一歩だといえる。

■調査概要

・調査対象者:株式会社ラーニングエージェンシーが提供する新人社員研修の受講者(研修は東京・横浜・名古屋・大阪で開催)
・調査時期:2019年4月2~2019年4月30日
・調査方法:自記式のアンケート調査
・サンプル数:6,009名

■まとめ

 働き方改革が推進される中、若手社員の成長に格差が生まれてきているようだ。

 今後、社員間の「成長格差」を広げない為にも、企業はプライベート時間の使い方を「考える機会」を与えていくことが求められているようだ。

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