「業務のデジタル化」が重要視されているにも関わらず、いまだに9割の企業が紙の契約書を使用。
アドビシステムズ株式会社は、従業員数300人以下の中小企業を対象に、「業務効率化に関する実態調査」を実施した。
いかに業務の手間を減らして生産性を上げるかは、業務効率化は企業にとって長年の課題となっているが、「業務のデジタル化」が重要視されているにも関わらず、いまだに9割の企業が紙の契約書を使用しているようだ。
■中小企業の6割以上が業務のデジタル化を重要だと実感。最も重要性を訴えるのは「事務系」会社員
業務のデジタル化について回答者の6割以上(62.9%)が「重要(極めて重要・重要)」と回答した。
職業別に見ると、「重要(極めて重要・重要)」の回答が最も多いのは、事務に従事している従業員(70.0%)だった。
事務に従事している従業員は日ごろから紙ベースの書類を取り扱う機会が多いため、業務効率化が期待できる業務のデジタル化の重要性を実感していると考えられる。
■いまだに9割近くが紙の書類にペンで署名
一般的な契約書の署名方法を聞いたところ、回答者の約9割(89.8%)が「紙の書類にペン等で署名」と回答した。
電子サインソリューションを使用しているという回答は3.9%にとどまり、中小企業における電子サインソリューションの普及はこれからという結果となった(グラフ1)。
紙の書類にペン等で署名した後の保存方法の内訳は、「デジタル文書として保存」している企業が約3割(31.3%)、「紙の書類として保存」が約6割(58.5%)という回答で、中小企業では「一般的な契約書は紙の書類にペン等で署名し、紙の書類として保存」するのが最も多い(58.5%)という結果となった(グラフ2)。
紙の書類として保存するには保管場所が必要になり、紛失の危険性もある。
デジタル文書として保存すれば物理的な保管場所の確保は不要になり、紛失のリスクも軽減する。さらに署名自体もデジタル化(=電子サイン)すれば署名する書類の郵送が不要になるため、郵送費用の削減につながる。署名が必要な書類は電子メールなどで瞬時に相手に届くので、署名完了までにかかる時間を大幅に短縮することができるなど、「業務のデジタル化」のメリットはさまざまあるものの、いまだ「紙の書類として保存」が「デジタル文書として保存」よりも約2倍多い結果となった。
■電子サインでビジネスのスピード向上
電子サインの活用は、業務のデジタル化によるメリットを如実に感じることができるソリューションだ。
電子署名とタイムスタンプによって行われる電子契約は改ざんの危険性が低く、クラウド上で管理することからアクセス履歴なども残しやすくなっている。文書を電子化すると紙を取り扱う作業が大幅に減少するため、契約に関わる業務負担が軽減し、電子サインを使用した電子契約では印紙税が不要となる。
紙の契約書を送るための送料や倉庫代などの保管料もかからないため、コスト削減につながる。
電子サインの活用により、コンプライアンス強化だけでなく、時間とコストの両方が削減できるようだ。
■まとめ
業務のデジタル化が重要視されているにも関わらず、保管場所や、紛失の危険性もある紙の契約書を、いまだに9割の企業が使用しているという実態が明らかになった。
企業は、業務のデジタル化を推進し、電子サインでビジネスのスピード向上とコスト削減に取り組んでみてはどうだろうか。