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働き方改革のしわ寄せは管理職へ。現場の管理職と人事の間で起こっている「課題の食い違い」

2019.10.10

 総合人材サービス、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームである株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区)は、働き方改革が進む一方で、中間管理職の負担感が増していることを受け、企業経営に資する定量的なデータを提供することを目的に「中間管理職の就業負担に関する定量調査」の調査を実施した。

 管理職と人事の間で「課題の食い違い」がおこっているようだ。

■働き方改革で業務量が増す中間管理

■働き方改革で業務量が増す中間管理

 昨年2018年から働き方改革が進んでいる企業群と進んでいない企業群を比較すると、働き方改革が進んでいる企業群の方が中間管理職の負担感は増している。

 働き方改革が進んでいる企業群では、中間管理職自らの業務量が増加したとの回答割合が62.1%(進んでいない企業群では48.2%。)。また、働き方改革が進んでいる企業群では組織の業務量の増加は69.0%(進んでいない企業群では36.3%)、人手不足は65.7%(同44.2%)、時間不足から付加価値を生む業務に着手できないは56.9%(同42.3%)となった。

■中間管理職と人事の認識の食い違い

■中間管理職と人事の認識の食い違い

 「中間管理職が抱える業務上の課題」について、中間管理職本人と人事の認識には食い違いがあることが明らかとなった。

 中間管理職本人が課題と感じている割合が高かったのは、1位=人手不足(57.5%)、2位=後任者不足(56.2%)、3位=自身の業務量の増加(52.5%)となった。

 一方、中間管理職が抱えている課題だと人事が考える割合が高かったのは、1位=働き方改革への対応の増加(52.0%)、2位=ハラスメントの対応の増加(42.7%)、3位=コンプライアンスの対応の増加(38.7%)。中間管理職本人は、人材や時間の不足を感じているが、人事の意識は法やリスクへの対応に偏っている。

 中間管理職への支援について、人事の約4分の1(24.0%)が「特に行っていない」ことが判明した。

■負担が高いと様々な問題も抱えやすい

■負担が高いと様々な問題も抱えやすい

  

 中間管理職を負担感の高さに応じて「高群」「中群」「低群」に分けると、「高群」では様々な問題を高い割合で抱えている。

 高群は「残業が増えた」が47.7%(低群は40.2%)、「仕事の意欲が低下した」が23.8%(同18.6%)、「転職したい」が27.0%(同20.0%)、「学びの時間が確保できていない」が63.0%(同41.1%)、「時間不足から付加価値を生む業務に着手できない」が64.7%(同38.7%)。

■まとめ

 働き方改革が施行されて半年が経過した。しかし、今回のアンケート調査では、働き方改革が進んでいる企業群の方が中間管理職の負担感は増していることがわかった。また、中間管理職本人は、人材や時間の不足を感じているが、人事の意識は法やリスクへの対応と、現場の管理職と人事の間で起こっている「課題の食い違い」もあきらかになった。

 企業は、労働時間に上限を設けるだけではなく、働き方全般の抜本的改善が求められ、人事は中間管理職の業務量や権限を洗い出し、役割にメリハリをつけることが求めらているようだ。

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