オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

男性の育児休業取得率はわずか7.2%。取得しなかった、できなかった理由は?

2019.10.17

 日本労働組合総連合会(所在地:東京都千代田区)は、男性の家事や育児参加に関する意識や実態を把握するため、「男性の家事・育児参加に関する実態調査」を2019年9月9日~9月10日の2日間実施した。

 男性の育児休業取得率や、取得できなかった理由は何なのだろうか。

■父親が育児のために取得した休業・休暇は「年次有給休暇」が最多、育児休業取得率はわずか7.2%

■父親が育児のために取得した休業・休暇は「年次有給休暇」が最多、育児休業取得率はわずか7.2%

 全回答者(1,000名)に、育児のために取得した休業・休暇を聞いたところ、「年次有給休暇」(35.6%)が最も高く、次いで、「配偶者出産休暇」(24.6%)、「振替休日・代替休暇」(11.7%)、「子の看護休暇」(10.0%)、「育児休業」(7.2%)となった。

 また、「育児のために休業・休暇を取得していない」は45.6%。半数近くの男性が、育児のために仕事を休んだ経験がないことがわかった。

■有給休暇が取得しやすい職場ほど育児休業も取得しやすい傾向に

■有給休暇が取得しやすい職場ほど育児休業も取得しやすい傾向に

 有給休暇取得率別に育児休業を取得した人の割合をみると、有給休暇取得率が80%~100%の人では12.6%、60%~80%未満の人では8.0%、40%~60%未満の人では7.0%、20%~40%未満の人では4.8%、0%~20%未満の人では3.0%と、有給休暇取得率が高いほど「育児休業」を取得した人の割合も高くなった。

 有給休暇が取得しやすい職場ほど育児休業も取得しやすい傾向にあるようだ。

■育児休業未取得の背景にある意識 「本当は取得したかった」30.2%

■育児休業未取得の背景にある意識 「本当は取得したかった」30.2%

 なぜ、男性の育児休業取得率は、低い割合にとどまっているのだろうか。

 育児休業を取得していない人(928名)に、育児休業を取得しなかったことの背景にある意識を聞いたところ、「取得したかったが、取得できなかった」は30.2%、「取得するつもりもなく、取得しなかった」は69.8%となった。

■育児休業未取得の理由 1位は「代替要員がいない」

■育児休業未取得の理由 1位は「代替要員がいない」

 育児休業を取得できなかった理由、または、取得しなかった理由を聞いたところ、「仕事の代替要員がいない」(47.3%)が最も高く、次いで、「収入が減る(所得保障が少ない)」(36.6%)、「男性が取得できる雰囲気が職場にない」(32.2%)、「仕事にブランクができる」(13.9%)、「男性が取得するものではないと思う」(11.3%)となった。

 自分の仕事を代わりに担ってくれる人がいないことや、収入面に影響することが、育児休業取得の妨げとなっているようだ。

 育児休業を取得したかったが、取得できなかった人(280名)の回答をみると、「仕事の代替要員がいない」(63.6%)や「男性が取得できる雰囲気が職場にない」(46.4%)が高くなった。

 職場の環境や雰囲気が、育児休業を取得したくてもできない要因となっているケースが多いようだ。

 また、育児休業を取得するつもりもなく、取得しなかった人(648名)の回答をみると、「仕事にブランクができる」(17.1%)や「男性が取得するものではないと思う」(14.2%)は、取得したかったが、取得できなかった人(それぞれ6.4%、4.6%)と比べて10ポイント前後高くなった。

■育児休業の取得日数は平均33日 半数以上が「1週間以下」

■育児休業の取得日数は平均33日 半数以上が「1週間以下」

 育児休業を取得した人(72名)に、育児休業を何日間取得したか聞いたところ、「5日~7日」(25.0%)や「1日~2日」(18.1%)に回答が集まり、「3日~4日」(12.5%)を合わせた『1週間以下(計)』は55.6%となった。そのほか、「15日~30日」(9.7%)や「121日以上」(8.3%)といった回答もみられ、平均は32.6日。

 育児休業は期間延長を含めると、最長で2年間取得することができるが、実際には男性は比較的短期間で職場復帰した人が多いようだ。

■育児休業を取得して困ったこと 1位「収入が減った」2位「仕事の情報が得られなかった」

■育児休業を取得して困ったこと 1位「収入が減った」2位「仕事の情報が得られなかった」

 育児休業を取得して困ったことを聞いたところ、「収入が減った」(36.1%)が最も高く、以降、「仕事の情報が得られなかった」(27.8%)、「仕事にブランクができた」(26.4%)が続いた。

 育児休業取得期間中は給与の支払いが義務づけられていないが、育児休業給付金の支給を受けることはできまる。しかし、トータルの収入は減少するため、収入源で困ったという人が多いようだ。

 また、パタニティ・ハラスメントに該当する行為についてみると、「復帰したら嫌味を言われた」は15.3%、「責任ある仕事を任されなくなった」は8.3%、「昇進・昇給できなかった」は6.9%、「低い人事評価を受けた」は4.2%、「復帰したら新人のような扱いをされた」「異動を命じられた」「転勤を命じられた」は2.8%となっており、これらのいずれかを受けた割合をみると、20.8%だった。

■“2020年までに男性の育児休業取得率を13%にする”政府目標

■“2020年までに男性の育児休業取得率を13%にする”政府目標

 政府は、男性の育児参画を促進するため、“男性の育児休業取得率を2020年までに13%にする”という数値目標を掲げている。

 全回答者(1,000名)に、この政府目標について知っているか聞いたところ、「知っている」は35.1%、「知らない」は64.9%と、知っているという人は少数だった。

 目標の期限として定めた2020年は間近だが、まだ十分に認知されていない実態が明らかとなった。

■男性の育児休業取得率を上げるために必要だと思うこと

■男性の育児休業取得率を上げるために必要だと思うこと

 全回答者(1,000名)に、男性の育児休業取得率を上げるためには、どのような対策が必要だと思うか聞いたところ、「男性の育休取得義務化(対象者に取得を義務づける)」(57.5%)が最も高く、次いで、「男性の育休割り当て制度の法制化(男性しか取得できない日数を作る)」(29.2%)、「育児休業給付金の増額」(25.4%)、「育休が取得可能なことの社内周知」(21.3%)、「代替要員の確保」(20.6%)となった。

 男女ともに育児休業を取得する権利があるにもかかわらず、義務化されないと男性は育児休業を取得しづらいと思っている実態が明らかとなった。

■まとめ

 今回の調査では、男性の育児休業取得率はわずか7.2%という結果だったが、政府は2020年までに、男性の育児休業の取得率を13%に目標を掲げている。

 男性の育休取得は、仕事へのモチベーション向上や企業のイメージアップ、女性の社会進出など、のメリットがある。

 一方で、収入が減る、パタニティ・ハラスメントなど、男性が育児休業を取得するには、まだまだ課題があるようだ。企業は、社内制度の見直し等を行い、男性が育児休業を取得しやすい環境をつくっていく必要がある。

<PR>