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人事評価と職場の満足度、ポイントは上司にあり?

2019.10.21

 株式会社カオナビ(本社:東京都港区)の研究機関「カオナビHRテクノロジー総研」は、「人事評価」に対する満足度や不満の原因についてのアンケート調査を実施。その結果と、同総研 所長の内田氏による分析を、10月16日の「ボス(上司)の日※」に公開した。

※「ボス(上司)の日」:毎年10月16日。アメリカで発祥した、ボス(上司)へ感謝を表す日。

■調査実施の背景

 「人事評価」は、社員にとっては昇給や昇格に繋がる一大イベントだ。また企業にとっても、給与、ポジションといった経営資源の配分に関わる重要な意思決定手段となっている。つまり「人事評価」をきちんと行うことは、企業の成長や、社員の生産性や幸福感に関わる重要なテーマと言えるだろう。

 その重要な「人事評価」の実態を把握するため、満足度や不満の原因についてアンケートによる調査を実施した。

■調査結果1:人事評価に満足している人は20%以下

■調査結果1:人事評価に満足している人は20%以下

 会社の人事評価結果について満足しているか聞いた所、「満足している」と答えた人は19.0%と2割以下だった。一方、「どちらでもない」39.7%、「満足していない」41.3%と何らかの不満を持っている人が8割を超えた。

 人事評価に「満足している」人は2割にも満たない。「満足していない」人の半数以下という結果となったことから、「満足している」人は非常に少数と言える。

■調査結果2:人事評価に満足している人は、職場満足度が高い傾向

■調査結果2:人事評価に満足している人は、職場満足度が高い傾向

 現在の職場への満足度はどの程度かとの質問に対しては、「人事評価に満足している」人の85%以上が「職場に満足している」と回答している。

 一方で、「人事評価に不満」だと回答した人は、職場に対しても17%程度しか満足していないようだ。

 人事評価に満足している人の方が、職場満足度も高い傾向にあることが明らかになった。

■調査結果3:不満点は、「評価結果」「評価者への不信」「評価理由」など多岐にわたっている

 会社の人事評価について「あまり満足していない・全く満足していない」と答えた人を対象に、どの点が不満か聞いた所、「結果に納得感が無い」が55.9%と最も多かった。続いて「評価者が信用できない」「理由に納得感が無い」「項目・目標設定が不適切」が全て40%弱に固まっている。

 また「期中での状況変化が考慮されていない」と回答した人は16%程度と、他の項目の半分以下にとどまっている。環境変化による目標設定のズレは、それほど問題と捉えられていない傾向が分かった。

 突出したポイントがないことから、不満点は多岐にわたるようだ。

■アンケート調査概要

■調査方法:
1、Web上で職場についての質問項目に、選択・記述式で回答してもらう
2、結果の集計・分析:回答結果を集計し、t検定による分析を実施

■配信:2018/12/17
■サンプル回収数 : 600サンプル
■配信・回収条件 (年齢:20歳~69歳 、性別:男女 、配信地域:全国 、対象条件:取締役クラス~ 一般社員(正社員)の方で、部下を持つ人・持たない人300名ずつ)

■調査結果を踏まえた、「人事評価」の満足度を高めるポイント

■調査結果を踏まえた、「人事評価」の満足度を高めるポイント

 カオナビHRテクノロジー総研 所長・内田壮氏は、今回の調査結果を分析し、見解を述べている。

 「今回の調査結果から人事評価の満足度を向上させるための答えを導出することは困難」としつつも、2つの【人事評価の満足度を高めるためのヒント】を挙げている。


①ミドル層の強化
 調査結果3に示されている通り、人事評価への不満点は多岐に渡り、対症療法的に個別の不満点に対処してもキリが無さそうである。しかし、全ての不満に共通するポイントとして「上司」が考えられ、ミドルのマネジメント能力向上が有効な対策となりそうだ。
 従来から、研修や経営層による指導などが行われてきたテーマだが、近年は「1on1ミーティングをルール化し、部下の状況を把握する」「タレントマネジメントシステムを用いて部下の情報を把握する」などのように、制度やシステムを使ってマネジメント能力を補完する取り組みも行われている。

②給与と評価の分離
 「B評価なら3%昇給」のように、評価結果と給与の関係性が明確な企業も多い。その場合、日々の努力と給与の関係性が明確な反面で、給与原資のことを考えた結果、評価が歪んでしまうことも多々ある。
 そこで、給与と評価を分離させる取り組みが始まりつつあるという。給与と評価を分離することで、給与原資を気にせず、納得感に焦点を当てて評価を行うことができ、従来より多少インフレ気味(誉め言葉多め)に評価することも可能だ。
 社会が豊かになり、金銭的な欲求よりも承認欲求の重要性が高まりつつあるのだとすれば、給与と評価を分離し、より承認欲求に焦点を当てる制度は、社会変化に沿っており、今後増えていくのかもしれない。

■まとめ

 今回の調査結果からは、人事評価結果の満足度と職場満足度との間に強い相関関係が見られた。人事評価の改善が、職場満足の向上に寄与するのは間違いなさそうだ。

 自社の職場満足度を上げていくための第一歩として、評価する側である上司のマネジメント能力向上や、評価方法の見直しに取り組んでみてはいかがだろうか。

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