6割以上の一般社員が、自分で「個人目標」を立てることに自信がないと回答。
総合人材サービス、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社(本社:東京都千代田区)は、「タニモク(他人に目標をたててもらうワークショップ)」(以下「タニモク」)を2018年9月より本格スタート。
それに伴い、令和元年の振り返りとして、管理職600名と一般社員600名の計1,200名を対象に、「会社で立てた目標」とプライベートも含めた「個人目標」について調査を実施し、その結果を発表した。
自分自身で「個人目標」を設定することに自信がないビジネスパーソンが、想像以上に多いことが分かった。
■「会社で立てた目標」とは
今回の調査に当たり、「会社が立てた目標」の定義として次のように定めた。
目標数字などの定量的なものではなく「業界の知識を増やして対応範囲を増やす」「顧客満足度を上げてさらに深い取引にする」「英語の勉強をして新たな業務にチャレンジする」といった、会社で立てる定性的な目標。
まずは、これに基づいて会社が立てた目標についての質問をしていく。
■管理職の7割が、「会社で立てた目標」は、部下の「仕事へのモチベーション」向上に「つながっている」
「会社で立てた目標」は部下の「仕事へのモチベーション向上」につながっていると思うか?という質問に対し、管理職の7割(69%)が、「会社で立てた目標」は、部下の「仕事へのモチベーション」向上に「つながっている」(グラフ①参照)と回答した。
■管理職と一般社員の間にギャップ
しかし、「2019年最初に立てた会社の目標を覚えているか?」に対しては、「すべて覚えている」と回答した一般社員は、わずか2割(17.2%)だった。(グラフ②参照)このことから、「会社で立てた目標」の捉え方に関して、管理職と一般社員の間にギャップが生じていることが想定される。
■「会社で立てた目標」は、会社、もしくは上司からの「トップダウン」の可能性
「会社で立てた目標」の内容について、自身の意見や要望・希望はどれくらい反映されていると思うか?については、「反映されている」と回答した一般社員は、5割(51.7%)に留まった。(グラフ③参照)
これにより、一般社員の「会社で立てた目標」は、会社、もしくは上司からの「トップダウン」である可能性が考えられる。
■現状の目標設定には課題
次に、会社で行う目標設定の方法に課題を感じているか?という質問に対して「感じている」と回答した管理職は8割(81.8%)、一般社員は7割(74.7%)にものぼり、現状の目標設定には課題があることが想定される。(グラフ④参照)
■「個人目標」とは
続いて、「個人目標」の定義としては次のように定めた。
長期的なキャリアプランや家族も含めたライフプラン(人生設計)におけるありたい姿や理想といった、個人で立てる目標。
これに基づき個人目標についても質問をした。
■全項目で取り入れた方が高まると感じている人が多い結果に。
「会社の目標」と「個人目標」の要素を取り入れた会社の目標は、以下項目とどの程度つながると思うか?に対し、全体の6割以上(60.3%)が、「仕事へのモチベーション」向上につながると回答。(グラフ⑤参照)さらに「個人目標」の要素を取り入れていない場合と比較すると、「仕事へのやりがい」や「仕事への充実感」など全項目で取り入れた方が高まると感じている人が多いという結果になった。(グラフ⑤参照)
■「個人目標」を意識して会社の目標を立てることが「できていない」
次に、あなたは「個人目標」をしっかり考えられていますか?という質問に対し、「少しでも考えられている」と回答した91.1%の一般社員のうち、その5割以上(52.5%)が、「個人目標」を意識して会社の目標を立てることが「できていない」と回答した。(グラフ⑥・⑦参照)
■「個人目標」を「きちんと理解している」と回答した管理職は2割
また、部下の「個人目標」の内容をきちんと理解しているか?に対しては、「きちんと理解している」と回答した管理職はわずか2割(17.3%)だった。(グラフ参照⑧)多くの一般社員が、「個人目標」を会社の目標に取り入れることのメリットを感じているにも関わらず、実際にはそれができておらず、上司にも「個人目標」を伝えられていないことが分かる。
■自分自身で「個人目標」を立てることに「自信がない」
さらに、自分自身で個人目標を立てることに自信があるか?に対し、一般社員の6割以上(60.7%)が、「自信がない」と回答している(グラフ⑨参照)ことから、「個人目標」の設定自体にも課題を感じていると考えられる。
■“他人”に「個人目標」について相談することで、視野や選択肢が広がる
本調査では、「個人目標」を設定するにあたり、別部署の社員・先輩、別企業に所属する友人など、仕事で直接的に関わりのない“他人”に相談した経験があるかについても質問した。
その結果、管理職の6割近く(55.7%)、一般社員の7割以上(72.0%)が「経験がない」と回答した。(グラフ⑩参照)
■“他人”に相談したことで視野や選択肢が「広がった」
一方で、“他人”に相談したことで管理職の約9割(88.8%)、一般社員の8割以上(82.1%)が視野や選択肢が「広がった」と答えている。(グラフ⑪参照)
また、「個人目標」を考える際に、“他人”の意見を取り入れることについては、管理職の7割近く(67.1%)、一般社員の5割以上(52.5%)が「取り入れてみたい」と回答している。(グラフ⑫参照)
■“他人”への「個人目標」の相談は、目標設定を行う近道に
さらに、“他人”の意見を「個人目標」に取り入れることで上がると期待できるものとして、「仕事へのモチベーション」(60.0%)、「仕事へのやりがい」(54.3%)、「仕事の充実感」(39.8%)が上位を占める結果となった。(グラフ⑬参照)
仕事で直接的に関わりがない“他人”への「個人目標」の相談は、より納得感のある目標設定を行う近道になり得る可能性があるといえるだろう。
■まとめ
「個人目標」を考えられていない人が一定数存在し、自分自身で「個人目標」を設定することに自信がないビジネスパーソンが、想像以上に多いことが分かった。
“他人”に相談することで、「モチベーション」「やりがい」「充実感」の向上が期待できるという結果から、あえて“他人”に相談し目標設定を行うことが、仕事だけでなく、プライベートにおけるモチベーション向上にもつながっていくことが想像できる。
会社で「目標」を定めるだけではなく、自分自身のキャリアや生き方を自ら考え選択し、視野を広げながら個人の目標を立てるよう、社員に促すことも必要と言えそうだ。