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6年連続・新卒離職者0人 デジタルとリアルを融合させた“ポジティブコミュニケーション”とは?

2020.01.17

 高いデザイン力や発想力で注文住宅・新築・デザイン住宅を手掛ける株式会社楓工務店(本社:奈良県奈良市)では、社会全体が笑顔に包まれる「笑顔の創造」をビジョンにおき、社員とお客様の満足度を両輪であげていく様々な取組みをしている。

 従事者の高齢化が進む住宅・建築業界で、2014年から毎年新卒採用を続けており、2020年1月現在、全社員の半数以上が新卒入社の社員だと言う。さらには、現在に至るまで、新卒の離職率0%を達成し続けている。

 建築業の常識を変える組織力アップのカギはどのようなことなのだろうか。その取り組みを紹介する。

■社内コミュニケーションの活性化は離職防止のカギ

 2016年に厚生労働省が、企業と労働者についての調査を独自集計した図によると、「社内コミュニケーションの円滑化」「労働時間の短縮化」の対策を実施している企業では、現在の勤務先で引き続き働くことを希望する労働者の割合は高くなると示された。

 社内コミュニケーションを個人間に丸投げせず、企業が率先して風通しがよい社内風土を構築する事で、離職を防止することができるようだ。

■楓流「ポジコミュ(ポジティブコミュニケーション)改革」

 楓工務店ではデジタルコミュニケーションのツールとしてチャットを利用している。

 2016年からチャットは、主に情報の伝達や共有に特化して利用することに決め、相談や感謝、楽しみなどの感情の共有は対面でのリアルなコミュニケーションを積極的に図ろうと「ポジコミュ改革」をスタートした。

■チャット内で相談事は禁止

就業時間割に「相談タイム」導入
 社員同士がチャット内で相談事をする中で、感情のすれ違いが生じたり、口頭で済ませられることや緊急の案件までチャット内で処理してしまうなど業務が滞るケースを作らないよう、就業時間は業務にコアタイムと相談タイムが設定されている。

 コアタイムは、一人一人が自分の業務に集中する時間で、緊急の相談や事前に「時間をください」と許可をとっていなければ、相談や私語は原則禁止となる。相談タイムは、午前に1回、午後に3回設けられ、各部屋に置かれたスピーカーからチャイムで知らされる。

 相談タイム中は、上司からも「相談はないか?」「予定通り進んでいるか?」「わからない事はないか?」と声をかけるようにしている。そうすることで、若手も相談しやすく、直接話すことで社員同士のコミュニケーションの場にもなるようだ。上司にとっても集中している時間帯に声を掛けられ仕事がストップするということもなくなり、効率のよい働き方につながっている。

 相談タイムの時間以上にかかる場合は、当事者同士で話し合い、続ける場合は別の会議室などに移動することもある。

■相談事はリアル面談でお兄ちゃんお姉ちゃん社員に。「メンター・トレーナー制度」

 新入社員には、業務を指導する直属の先輩トレーナーとは別に、心のフォローをする先輩(入社2年目)が他部署から選出され、内定期間中から仕事に対する不安を、私生活も含め解決できるようサポートしている。

 教育にかかる時間を減らすため、新人に必要な業務マニュアルなどはITを活用して共有する一方、メンター役の先輩は、月に1度面談の時間を設け、新人が上司との関係性で悩んでいないかなど確認する。
 新人は、立場の近いお兄ちゃんお姉ちゃんに相談をすることができ、目標達成に向け課題に取り組めるようだ。

■「誕生月別食事会」でリアルコミュニケーションの輪を広げ、感謝も伝える

 チャットなどのデジタルツールを社内に取り入れたことにより、社長がどこにいても密に社員と業務の連絡を取ることができ、社長との距離感が近づいたという効果がある。

 一方、仕事以外でのかかわりの時間も大事にしたいと、誕生月生まれの社員と社長との食事会が月に一度開催され、リアルに会話を楽しむ時間がある。そこでは、社長から1人1人に日頃の感謝を込めた手書きのメッセージカードが渡される。社長との距離がぐっと近づく時間でもあり、さらに普段業務で関わりのないメンバーと食事をすることで部署間の交流にもなっているようだ。

■お客様満足度98点の会社へ

 リアルなコミュニケ―ションは、社員同士のコミュニケーションの活性化にもつながっている。

 楓工務店の大運動会には、スタッフの家族や職人も参加するなど、みんなで楽しみながら取り組めるようなイベントを企画することで、喜びを共有している。

 社内では、共通の趣味をもつメンバーが自然と集まり、野球サークルや登山、ラーメンサークルが10個ほど誕生した。忘年会や初詣なども、強制されることなく、社員が自主的に参加する企業風土もある。こういった自主性は、業務にも好循環を与えており、会社の課題を見つけ、それを解決していこうと社員たちが委員会を作る動きも始まったようだ。

 学生の採用試験の過程においても、模擬プレゼンの様子をたくさんの先輩社員が自主的に見学し、学生へアドバイスする様子が見られる。社長と社員の会話の様子を見て、「風通しのよい会社だと感じた!」と入社を決める学生がいるなど、選考段階で会社の社風が垣間見えるような採用方法を取り入れている点も入社後の離職率の低さにつながっているといえるだろう。

 デジタルコミュニケーションの便利さを使いながらも、リアルなコミュニケーションも積極的に図っていく。社員同士が関わりを持つ中で、それぞれのコミュニケーションスキルが向上し、視野も広がる。ポジコミュ改革により、若手の働きがいを引き出し、離職率0にもつながっているようだ。

■まとめ

 デジタルなコミュニケーションに頼らず、リアルなコミュニケーションの時間を作ることが同社の離職防止に一役買っているようだ。コミュニケーションツールだけでは実現できない人との関わりが、今後の企業成長にも繋がることが期待できるだろう。

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