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3月8日は国連が定めた【国際女性デー】「ジェンダーハラスメント」について調査、約50%が勤務先が男女平等だと「感じない」と回答

2020.03.09

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(東京都品川区)は、3月8日の国際女性デーにあわせ、2020年2月10日~2月17日にかけて、全国の転職希望者300人を対象に、【ジェンダーハラスメント】についてアンケート調査を行った。ジェンダー格差文化が根強い日本において、企業や働く個人が意識するべき問題が明らかとなった。

■【ジェンダーハラスメント】調査実施の背景

 毎年3月8日は国際連合によって定められた国際女性デーとして、女性の地位向上を目指した様々な働きかけが世界各地で行われている。日本は、2019年12月に世界経済フォーラムが発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(世界男女格差指数)で153ヵ国中121位という結果になり、男女格差の問題が深刻であることが明らかになった。何かと女性の生きづらさが取り沙汰されることが多い一方で、男性がジェンダーによる差別で苦む場合もある。

 そのような中で、今回株式会社ワークポートが行なったのが、全国の転職希望者の男女(20代~40代)を対象とした、ジェンダーハラスメントについての実態調査だ。

■勤務先は男女平等だと感じる・感じない?結果は五十歩百歩

■勤務先は男女平等だと感じる・感じない?結果は五十歩百歩

 最初の質問として、対象者に現在の会社(直近の会社)は男女平等であると感じるか聞いた。その結果、「とても感じる」(14.7%)、「やや感じる」(36.7%)とする人は合わせて51.4%となり、「あまり感じない」(33.0%)、「まったく感じない」(15.7%)という人は合わせて48.7%であった。約50%は自身の勤務先は男女平等だと感じる一方で、残りの半数は会社内で男女格差を感じていることがうかがえる結果だ。
 
 ジェンダーによる差別が改善されていない企業は一定数あり、男女平等な職場環境づくりへの取り組みは企業間で差があるようだ。また、感じないと回答した人のうち、男性では45.3%、女性では53.8%と性別による大幅な偏りはなく、男女ともに格差を感じていることが明らかになった。

■約30%が“らしさ”を押し付けられた経験「あり」

■約30%が“らしさ”を押し付けられた経験「あり」

 次に対象者に、現在の会社(直近の会社)で「男性だからこうするべき」、「女性だからこうするべき」といったことを言われたり強制されたりしたことがあるか聞いた。その結果、「よくある」(11.3%)、「たまにある」(19.0%)との回答が合わせて30.3%となり、「あまりない」(43.0%)、「まったくない」(26.7%)の合計が69.7%となりました。約30%が男女の“らしさ”を押しつけられることで自身の言動を強制されたり制限されたりした経験があるということがわかった。

■ジェンダーハラスメントと感じた事例は

 また、「よくある」、「たまにある」と回答した女性にどのようなことを言われたり、強制されたりしたか聞いたところ以下のような回答が得られた。

・「来客にお茶を出すのは管理職であっても必ず女性がすべきだと言われた」(30代・女性・営業)
・「会社内の掃除は女性がやるようにと強制された」(40代・女性・営業)
・「飲み会でのお酌は女性にやってほしいと頼まれた」(40代・女性・医療福祉)

 また、「女性は家事をしなくてはいけないから大変だね、と言われることが日常茶飯事である」という意見も見られ、「女性=家事など雑務をする人」という意識を持つ人が少なからずいることも予想される。このような風潮のなか、2月13日に、埼玉県議会は女性職員が委員の県議にお茶を出す慣例を廃止すると発表した。裏を返せば2007年に男女雇用機会均等法が再改正されてから10年以上が経過した現在もなお、お茶出しは女性の仕事であると考える企業も一定数あることがうかがえる。

 このほかにも、
・「昇給の相談時に女性はそんなにお金は必要ないだろうと言われた」(30代・女性・クリエイター)
・「女性だから仕事をがんばらなくても良いと言われた」(30代・女性・営業)
・「女性に昇進はないと言われた」(30代・女性・接客販売)
・「女性は補助的な業務をすべきという風潮がある」(40代・女性・事務)
・「直接言われなくても女性のキャリアに対する差別を感じる」(30代・女性・建築土木)
といった、女性のキャリアアップを阻害するような発言をされたとする意見や言葉にされることはなくても“暗黙のルール”で女性を差別する雰囲気が感じられるとの意見も挙がった。

 一方同じ質問への男性からの回答では、以下のような声があがっている。

・「男性だからと深夜の残業を強制された」(30代・男性・その他)
・「男性だから外仕事がメインと言われたりきつい仕事を優先的にやらされたりした」(20代・男性・機械系エンジニア)
・「重いものを持つなどの力仕事は男性の仕事だと言われた」(20代・男性・営業)

回答からもうかがえるように、男性というジェンダーを理由に過重労働を強いられる人もいるようだ。また、「男性だからお酒を飲めないといけないと言われた」といった、過度な飲酒を強要されるケースもあるようだ。

■女性に対するジェンダーハラスメントの目撃者は30%以上!男性に対しても約20%が「ある」

■女性に対するジェンダーハラスメントの目撃者は30%以上!男性に対しても約20%が「ある」

 

 次に、女性がジェンダーによるハラスメントを受けているところを見たことがあるか聞いたところ、「ある」が33.7%、「ない」が66.3%だった。また、男性がジェンダーによるハラスメントを受けているところを見たことがあるか聞いたところ、「ある」が19.0%、「ない」が81.0%という結果になった。ジェンダーハラスメントを受けている女性を目撃した人の割合は、男性の場合より10%以上高いものの、男性に対するジェンダーハラスメントの目撃経験も約20%という回答があることから、男女ともにジェンダーハラスメントにあっている様子がうかがえる。

■職場で目撃したジェンダーハラスメント事例

 女性がジェンダーによるハラスメントを受けているところを見たことが「ある」と回答した人に、どんなジェンダーハラスメントだったか具体的に聞いた結果は以下のような回答が得られた。
・「女性は正社員にはなれないと言われていた」(30代・女性・医療福祉)
・「女性だから仕事ができないと言われたり、上司にしたくないと言われたりしていた」(20代・女性・クリエイター)
・「女性はコピー取りや事務作業だけ行っていれば良いと言われていた」(30代・男性・システムエンジニア)

女性のキャリアを軽視するような発言を聞いたとする声が多く挙げられ、会社の仕組み自体が女性差別を助長している可能性もみられた。

 このほか、
・「女性には年上であってもタメ口で話されていた」(40代・男性・その他)
・「女性だからかわいらしさを出せと言われていた」(30代・男性・営業)
・「男性は名前で呼ぶが、女性に対しては「女の子」と呼んでいた」(40代・女性・管理)
といった女性に対する敬意に欠けた言動がみられたとの意見も多数聞かれた。

 さらに、「女性が少ない職場なのでプロジェクトに登用されるが、畑違いの分野にも無理強いのように参加しなければならない人がいた」といった、女性活躍推進の取り組みによりむしろ負担を強いられるケースも見られた。適材適所に人材を配置せずとりあえず女性を管理職に登用したりプロジェクトに参加させたりするような動きは、かえって女性のキャリアアップへのモチベーション低下の要因に繋がるのではないだろうか。
 
 次に、男性がジェンダーによるハラスメントを受けているところを見たことが「ある」と回答した人にその内容を調査すると、次のような回答があった。
・「肉体労働、暑い現場、夜勤は男性がやるようになっていた」(30代・女性・企画マーケティング)
・「男性だからと強制的に飲み会に連れて行かれ遅くまで拘束されていた」(20代・女性・クリエイター)

体力的に厳しい環境下で過ごすことを強制されたという意見が最も多いことが分かる。

このほかにも、・「男性が育休を取ると出世できないような風潮があった」(30代・女性・企画マーケティング)
・「男性は家族を犠牲にして仕事をするべきと言われていた」(40代・男性・営業)
・「男性だから厳しくしても大丈夫だ、と男性管理職が男性社員に向かって言っていた」(30代・女性・管理)
といった、男性の育児や家庭との両立を妨げるような発言や仕組みがみられたとする意見や同性特有のジェンダーハラスメントを受けている場面を見たという声もみられた。

■約90%がダイバーシティ推進企業への転職を希望!

■約90%がダイバーシティ推進企業への転職を希望!

 対象者に、転職するなら職場のダイバーシティ推進に力を入れている企業に転職したいと思うか聞いたところ、「とても思う」(43.3%)、「やや思う」(43.0%)とする人は合わせて86.3%となり、「あまり思わない」(11.3%)、「まったく思わない」(2.3%)とする人は合わせて13.6%という結果になった。

 近年、ダイバーシティ推進企業が注目され、働き手は性別や年齢、国籍などに関係なく活躍できる場を求めていると考えられる。しかし前項では、50%以上が現在の会社は男女平等であるとは感じられないと回答しているため、今後企業は働き手のニーズを汲み取り、すべての人が平等に評価されるシステムを作っていくことが課題となりそうだ。

■まとめ

 職場での女性差別が問題視されているなか、本調査では男女ともに性別によって仕事を強制されたり制限されたりするようなジェンダーハラスメントにあっていることがわかった。「男性らしく」、「女性らしく」という考え方は未だに根強いようだ。
 
 一方、今回の調査で現在の会社(直近の会社)で相手に男女差別と捉えられるようなことを言ってしまったことはあるか聞いたところ、「ある」と回答した人はわずか7.0%だった。つまりジェンダーハラスメントと捉えられる発言の多くは、悪気なく無意識に発せられているのかもしれない。
 
 ジェンダーハラスメントをなくすためには、働き手一人ひとりが自身の発言がハラスメントに当たらないかを一度考えてから発言するといった意識を持つことが大切になりそうだ。また、近年はLGBTQなど性別への柔軟な理解も求められている。採用難の時代、男女の型にはまった体制をとっていては確実に人材の定着は難しくなっていくだろう。企業風土や社内に漂う雰囲気は、一社員の力で変えることは難しい。企業側はジェンダーに関わらず個人の能力や適正に応じて評価する体制をつくることが重要だと考えられる。今後、企業と働き手の双方がジェンダーによる差別をなくしていこうとする意識を持てるかが、課題となってくるのではないだろうか。

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