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「新型コロナウイルスワクチンの職域接種」に関わる事例を解説

2021.08.30

弁護士法人THP(本社:東京都千代田区 代表:二森礼央)は、現在一般接種が実施されている新型コロナウイルスワクチンの職域接種に関して、会社でのワクチン接種等で起こりうる問題など、いくつかの事例解説を公開した。

事例1

(会社側)社内感染を防ぐため従業員にワクチン接種を強制できるか?

従業員へのワクチン接種の強制は原則できない。予防接種法(※)第8条及び第9条にあるように、予防接種は行政が勧奨する上で国民に努力義務を生じさせる。ワクチン接種は、接種による感染症予防等の効果と副反応のリスク等について理解した上で、受ける方の同意があって接種が行われるとされ、個人の意思に委ねられている。従業員にワクチン接種を推奨する場合、従業員に特別休暇を付与するなどの対応方法がある。

(※)国民の健康を感染症から守るため、公的なしくみとして実施される予防接種の制度について定める法律。

事例2

(会社側)従業員がワクチン接種を拒否した場合、何らかの処罰を課せるのか?ワクチン接種をせずにウイルスに感染した場合の処分はできるのか?

従業員がワクチン接種を拒否した場合も接種をせずにウイルスに感染した場合もペナルティを課すことや処分することは原則できない。理由としては、事例1での解説にもあるように、ワクチン接種は個人の自由意思となるからである。

事例3

ワクチン接種や接種後の副反応による欠勤や遅刻など、勤怠の取扱いはどうなる?

(従業員側)会社で決められている就業規則に従うこととなる。

(会社側)前述の通り、ワクチン接種は個人の自由意思となるため、ワクチン接種時の勤怠に関わる対応方針は会社の判断で決定できる。特別休暇の付与も考えられるが、会社の義務ではない。

事例4

(従業員側)職域接種で会社にてワクチン接種後に体調不良など健康被害が生じた場合、労災扱いになる?

ワクチン接種は基本的には労災保険の給付対象とはならない。ただし、厚生労働省によると、高齢者施設等の従事者や医療関係従事者は労災保険の対象となる。

事例5

会社で実施する職域接種に参加せずワクチンを受けていない従業員に対して、ハラスメントが起きた場合、会社ではどういう対応をすべきか?

会社と従業員との労使間で起こりうるハラスメントの一種として、基本的に安全配慮義務違反または不法行為につながる場合がある。様々なケースがあるため個別に対応する必要があり、内容によっては法律相談が必要となることもあるだろう。

まとめ

今後、企業等での人材確保や感染拡大を防ぐためのワクチン接種にあたって様々な問題が起こりうると考えられる。トラブルを防ぐためにも、事前に対策を講じておくことが大切だ。

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