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旭化成が労災事故最多の「転倒」リスクを手軽に測定できる体力測定サービスを開発

2023.05.22

旭化成株式会社は、転倒リスクを算出できる体力測定サービス「BiMeeX(バイミークス)」のプロトタイプを開発したことを発表した。本サービスは少人数・省スペース・短時間で手軽に体力測定を実施できることが特長だ。また、個人の測定結果を基に職場全体の統計分析データを得られるため、企業の労災対策や健康経営の推進に活用されることを想定している。現在、同社グループ内で試験的に実施しており、今後は社外で実証を行い、2024年度の事業化を目指す。

開発の背景

健康経営志向が高まり、高齢化が進む中で、労働現場での災害リスク対策が課題となっている。特に、休業4日以上の労働災害として最も多いものが「転倒」で、全体の23%(2021年)を占めている(※1)。厚生労働省は、2023年(令和5年)4月から適用された「第14次労働災害防止計画」において、「転倒災害対策に取り組む事業場の割合を2027年までに50%以上とする」という目標を掲げている。高年齢になるほど転倒事故の発生率が上昇するという傾向があり(※2)、今後さらなる高齢化により、対策の必要性がいっそう高まると予想される。

こうしたニーズに対応し、労災対策や健康経営の促進に役立つ体力測定サービスとして、転倒リスクや体力年齢が手軽に算出できる「BiMeeX」のプロトタイプを開発した。

※1 厚生労働省「第14次労働災害防止計画」より 別紙 第14次労働災害防止計画本文

※2 厚生労働省「令和3年 高年齢労働者の労働災害発生状況」より

サービス特徴

サービス特徴

従来の体力測定は、体育館など広い場所に大人数を集めて実施する形が一般的であった。しかし、大人数の日程調整や場所の確保など実施へのハードルが高く、従業員の体力測定を実施している企業は一部にとどまっている。

「BiMeeX」では、測定対象者がセンサを装着してその場で動くだけで簡単にさまざまな運動データを取得できるため、小会議室程度のスペースで手軽に体力測定を実施できる。また、単なる数値測定にとどまらず、測定した運動データに基づいて転倒リスクや体力年齢の算出、推奨トレーニングの提案を行うことで、対象者の意識変容を促す。

また、職場安全管理者向けに、統計レポートを含んだ分析が可能。性別・年代、運動習慣の有無、所属部署など、対象者の属性ごとに結果を分析することで、転倒リスクや体力年齢の分布傾向や、健康増進施策の効果を定量的に把握できる。

まとめ

企業には安全配慮義務があり、従業員の健康を守るために労働災害防止策が必要だ。今後、対策の必要性はいっそう高まるとの予想もあり、どのように取り組んでいくか改めて検討する必要があるだろう。同社が開発したサービスの今後にも注目したい。