【令和6年能登半島地震 関連調査】4075社が能登地方に本社|企業数最多は「七尾市」建設・サービス・製造など
帝国データバンクは、2024年1月1日に発生した能登半島を震源とする地震(令和6年能登半島地震)による企業活動への影響について、特に被害が大きい能登地方を中心に、2023年11月時点の企業データに基づき調査・分析を行った。調査対象としたのは、「能登地方」に本社を置く企業(個人事業を含む)。なお、能登地方の定義は半島振興法に基づく。いずれも2023年11月末時点のデータを参照した。
調査概要
調査対象地域:
【石川県】七尾市・輪島市・珠洲市・羽咋市・かほく市・河北郡津幡町・同内灘町・羽咋郡志賀町・同宝達志水町・鹿島郡中能登町・鳳珠郡穴水町・同能登町
【富山県】氷見市
調査機関:株式会社帝国データバンク
計4075社が能登地方に本社 業種別「製造業」が最多
石川県・富山県の13市町村が含まれる能登地方に本社を置く企業数は、2023年11月時点で4075社だった。
市町村別でみると企業数が300社を超えたのは13市町中5市町に上った。最も多かったのは「七尾市」705社(構成比17.3%)で、以下「氷見市(富山県)」596社(14.6%)「かほく市」498社(12.2%)の順となった。震源地に近く、特に被害が大きいとみられる「輪島市」は315社(7.7%)「珠洲市」は210社(5.2%)「能登町」は245社(6.0%)だった。
業種別では「建設業」が最も多く「サービス業」「製造業」が続いた。
本社が能登地方の企業 売上高合計は1兆3018億円
能登地方に本社を置く企業の売上高合計は1兆3018億円(2023年11月時点、最新期)だった。市町別にみると、最も多いのは「かほく市」の2496億円(構成比19.2%)で「七尾市」の2465億円(18.9%)「氷見市」の1309億円(10.1%)が続いた。
産業別では「製造業」が4346億円(33.4%)で最多。次いで医療や宿泊業などの「サービス業」が2022億円(15.5%)「建設業」が1785億円(13.7%)で続いた。
従業員数(正社員)での合計は4万9728人に上った。従業員数が最も多かったのは「七尾市」で1万1207人。震源地に近く、特に被害が大きいとみられる「輪島市」は2925人「珠洲市」は1586人「能登町」は2080人だった。
業種別では、「サービス業」が1万6603人で最も多く、次いで「製造業」の1万6041人「建設業」の6890人と続き、上位3業種で全体の約8割を占めた。
宿泊業は過去の災害発生時には各被災地において一時的に観光需要が大きく減少する傾向にあり、能登半島を中心とした観光産業では広く影響が出る可能性がある。また、能登地方では輪島塗や七尾仏壇、珠洲焼など伝統工芸品の生産が盛んなほか、電子回路の基板生産などエレクトロニクス産業などもあり、これらの部品を使用した生産活動への影響が懸念される。
過去の震災による企業活動への影響
東日本大震災では、東北3県の太平洋沿岸部から始まり、国内サプライチェーンの寸断、相次ぐ自粛、東京電力福島第一原子力発電所事故による風評被害、取引先の被災による販路の喪失などで、直接的に被害を受けなかった企業にも波及し全国各地に拡大した。震災被害が倒産の直接または間接的な要因となった「東日本大震災関連倒産」は22023年11月末時点で累計2119件、負債総額は累計1兆7342億円に上った。
熊本地震では、被災地に所在する企業と取引がある企業が全国で延べ約3万1000社に上ったほか、県外企業が所有する被災地域の営業所・工場等の拠点も当時2065件あり、影響範囲は全国に広がった。一方で、被災した中小企業等の施設の復旧・整備や「九州ふっこう割」による観光業へのサポート、金融機関や公的支援も背景に、被災地域の景況感は急速に回復。熊本県では、震災6カ月後には企業の景況感が全国で2番目に高い水準となるなど、復興需要が県内経済の活性化につながった。
まとめ
1月1日以降発生した能登地方を震源とする巨大地震について、被害状況の全容が見えない状況が続いている。帝国データバンクでは、企業活動への影響も今後さらに顕在化するとみている。バックオフィス部門としては、今後の影響の確認を行うと同時に、改めて「事業継続計画(BCP)」の見直しをするなど、自社が被災した際の対応について整理することが必要ではないだろうか。
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