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2024年賃上げの見通し|定昇込みで3.66%と予測され23年実績並みの水準に

2024.02.02

民間調査機関の一般財団法人労務行政研究所(理事長:猪股宏)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に「賃上げ等に関するアンケート調査」を実施している。この度、2023年12月1日~2024年1月15日に実施された2024年の調査結果が発表となった。調査対象は7357人で、回答者数は労働側244人、経営側128人、専門家106人の合計478人。

調査結果詳細はこちら

2024年の賃上げ見通しと自社の定昇・ベースアップ実施について

2024年の賃上げ見通しと自社の定昇・ベースアップ実施について

東証プライム上場クラスの一般的な水準を目安とした2024年の賃上げ見通しについては、全回答者478人の平均で「1万1399円・3.66%」(定期昇給分を含む)となった。賃上げ率は23年実績並みの水準となる予測である。労使別に見た平均値は、労働側1万1941円・3.85%、経営側1万1052円・3.54%で、労働側が経営側を889円・0.31ポイント上回っている。

また、定期昇給(定昇)については労使とも「実施すべき」「実施する予定」が約9割と大半を占めた。ベースアップについては、労働側は「実施すべき」が91.8%で9割を超え、経営側は「実施しない予定」の21.9%を大きく上回る48.4%が「実施する予定」と回答した。

2024年春季交渉で課題・焦点となる人事施策

2024年春季交渉で課題・焦点となる人事施策

本調査では、賃上げ以外で24年春季交渉において課題・焦点になると思われる人事施策6項目を挙げ、それぞれについて交渉で話し合う予定があるかを労働側・経営側に尋ねている。

その結果「交渉で話し合う予定」の割合を見ると、労働側では「②人材の採用・確保(41.3%)」「⑤諸手当の見直し(34.7%)」「①時間外労働の削減・抑制(31.0%)」が上位に。一方、経営側では全項目において「交渉で話し合う予定」の割合が労働側より少ないものの、労働側と同様に「②人材の採用・確保(19.1%)」が最多となった。以降は「①時間外労働の削減・抑制(15.4%)」「⑤諸手当の見直し(14.0%)」が続いている。

まとめ

本調査では2024年の賃上げ見通しについて、定昇込みで3.66%と予測された。2023年12月に日本労働組合総連合会が発表した「2024年春季生活闘争方針」では、賃上げ分3%以上、定昇相当分含めた5%以上の賃上げが目安とされている。厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和5年11月分結果速報」によれば、実質賃金は現金給与総額・きまって支給する給与ともに減少。こうした状況の中で2024年春季交渉で賃上げの水準がどうなるか、中小企業や非正規雇用者にまで広がるかなどに注目したいところだ。

参照:日本労働組合総連合会「2024年春季生活闘争方針」

参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年11月分結果速報」