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コンプライアンス違反企業の倒産件数が3年連続で前年比を上回り350件超に

2024.04.23

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年度)の結果を報告。コンプライアンス違反で倒産した企業が前年度から16.6%増加し、350件を超えたことを明らかにした。なお同様の調査は今回で20回目、前回は2024年1月11日に実施している。ここでは調査結果の概要についてお伝えする。

2023年度のコンプライアンス違反による倒産企業を分析

2023年度、中古車販売のビッグモーターやダイハツ工業の不正問題、世紀の大粉飾と言われ金融機関を震撼させた堀正工業の破産事件など、企業のコンプライアンス違反が注目を集めた。

TDBは、売上の架空計上や融通手形などの「粉飾」や法律違反に伴い行政処分を受けるなどの「業法違反」所得・資産の隠蔽などの「脱税」のほか、コンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産(以下:コンプラ違反倒産)」と定義。2023年度(2023年4月~2024年3月)の同倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)について分析した。

※「コンプライアンス違反」は、意図的な法令違反や社会規範・倫理に反する行為などを指す
※同一企業に複数のコンプライアンス違反がある場合は、主な違反行為で分類

2023年度のコンプラ違反倒産は「サービス業」が最多「不正受給」は2.5倍に

2023年度のコンプラ違反倒産は「サービス業」が最多「不正受給」は2.5倍に

TDBによると、2023年度の「コンプライアンス違反倒産」は2022年度から50件(前年度比16.6%)増加し、351件となっている。3年連続で前年度を上回っており、350件を超えたのは比較可能な2003年度以降で初めてだ。業種別(大分類)にみると「サービス業」が88件(構成比25.1%)で最多に。次いで「建設業」の61件(同17.4%)「小売業」の57件(同16.2%)が続いている。

違反類型別では「業法違反」が84件(構成比23.9%)「粉飾」が81件(同23.1%)で上位に。「粉飾」についてTDBは、コロナ禍前から増加傾向だったものの、2020年以降のゼロゼロ融資等の各種支援策の効果もあり、表面化しづらい状況であったと指摘。アフターコロナで資金調達環境や経済環境が変わるなかで、再び増加傾向を示す結果となった。加えて、粉飾決算を伴う場合には負債額が50億円を超える大型倒産もあり、金融機関をはじめとする多くの取引先を巻き込むケースが相次いでいるという。またTDBは、コロナ禍の雇用調整助成金などの各種補助金・支援金の「不正受給」が前年度から2.5倍に急増したことも明らかにした。

出典元:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年度)(株式会社帝国データバンク)

まとめ

TDBが発表している「全国企業倒産集計2023年報(※1)」によれば、2023年の倒産件数は8497件で、前年比33.3%増と増加傾向にある。そのなかで、コンプライアンス違反による倒産件数は3年連続で前年度を上回った。TDBが指摘するように、コロナウイルス関連の支援策により「粉飾」が表面化しづらい状況が続いていたことも、要因のひとつと考えられる。

コンプライアンス違反は社会的信用を失墜させ、顧客離れや経営状況の悪化を招く。株式会社LegalOn Technologiesが実施した調査(※2)では、担当者の7割以上がコンプライアンスに課題を感じているとの実態も明らかにされている。自社のコンプライアンス施策について改めて見直す機会としてみてはいかがだろうか。

※1 出典元:全国企業倒産集計2023年報(株式会社帝国データバンク)
※2 出典元:企業のコンプライアンス実態調査(2023年12月実施)(株式会社LegalOn Technologies)