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職場でのハラスメント「見聞きした経験がある」が約7割 エフアンドエムネット調査

2024.08.26

エフアンドエムネット株式会社(本社所在地:大阪府吹田市、代表取締役社長:上枝康弘)は、運営する管理部門向けのビジネスメディア「労務SEARCH(労務サーチ)」にて、10代以上の男女300人を対象に、職場のハラスメントに関するアンケート調査を実施した。職場におけるハラスメント防止に対する意識は高まっていると言われるものの、パワハラ問題をはじめとするニュースは後を絶たない。ここでは公表された調査結果の概要をお伝えする。

調査概要

◆調査対象:10代以上の男女300人
◆回答者の年代の割合:10代(0.6%)/20代(16.0%)/30代(36.0%)/40代(30.7%)/50代(13.7%)/60代以上(3.0%)
◆調査方法:クラウドワークスを用いたインターネット調査
◆調査期間:2024年6月26日~7月10日
◆出典:労務SEARCH(約7割が職場でハラスメントを見聞きした経験”あり”|職場のハラスメントに関するアンケート調査結果)

6割超はハラスメントの境界線に自信がない

6割超はハラスメントの境界線に自信がない

まず本調査では、ハラスメントの境界線について正しく認識しているか質問。その結果「認識しているつもりだが正しいかは自信がない(62.3%)」「なんとなく認識している(21.7%)」「正しく認識している(15.0%)」「全く認識していない(1.0%)」との回答が寄せられたという。

また、本調査では各ハラスメントの認知度について「ハラスメントの種類で知っているものを選んでください」と複数回答で質問。最も認知度が高かったのは「セクシャルハラスメント(98.3%)」で、次いで「パワーハラスメント(97.7%)」「モラルハラスメント(89.0%)」「マタニティハラスメント(81.0%)」「カスタマーハラスメント(69.3%)」が上位に並ぶ結果となった。

見聞きした経験がある人は約7割 最多はパワハラ

見聞きした経験がある人は約7割 最多はパワハラ

本調査は続いて、職場でハラスメントを見聞きした・受けた経験の有無を質問。見聞きした経験は69.0%が「ある」と回答し、受けた経験については「ある(39.4%)」「不快な経験はある(それがハラスメントかは不明)(13.3%)」との回答になったことが報告された。

さらに、職場でハラスメントを受けた経験が「ある」または「不快な経験はある」と回答した人を対象に、それはどのハラスメントに該当する言動・行為であったかを尋ねている。その結果「パワーハラスメント(パワハラ)(74.6%)」が最多だったという。

また、見聞きしたことが「ある」と回答した人にも同様の質問をしており、最多は「パワーハラスメント」が74.9%。以降「セクシャルハラスメント(セクハラ)(13.5%)」「モラルハラスメント(6.3%)」「マタニティハラスメント(2.9)」となり、実際にハラスメントを受けたと答えた人と似た回答傾向が見られたこともわかった。

ハラスメントの行為者はどんな人?

ハラスメントの行為者はどんな人?

次に本調査は、ハラスメントを行った行為者について質問。最も多かったのは「上司(82.2%)」で、次いで「先輩(11.0%)」「同僚(3.4%)」が挙げられている。この結果からは、多くのハラスメントが職場での地位や優位性を利用したものであることがうかがえる。

ハラスメントを受けた後「何もしなかった」人が約4割

ハラスメントを受けた後「何もしなかった」人が約4割

本調査において、ハラスメントを受けた人のうち41.5%がハラスメントを受けた後に何もしなかったことも判明。また「上司、先輩、同僚などに相談した」と「退職した」はそれぞれ21.2%で同率2位となっている。

ハラスメントに対する会社の対応については「不満な点がある(43.2%)」と回答する人が最も多く、次いで「会社に知らせていない(39.0%)」が挙げられたという。

さらに本調査では「会社に知らせていない」と回答した人に、その理由を尋ねている。その結果、最も多かったのは「会社が適切な対応をしてくれないと思った(32.6%)」で、次いで「誰に相談すればいいのかわからなかった(19.6%)」「当時はハラスメントを受けている認識がなかった(13.0%)」が上位に並んだ。

職場のハラスメント防止対策「わからない」人が最多

職場のハラスメント防止対策「わからない」人が最多

また本調査では、職場のハラスメント防止対策について、実施状況が「わからない(41.0%)」と回答する人が最も多いことも報告されている。34.0%は「実施されていない」と回答し「実施されている」と回答したのはわずか25.0%であったという。

なおハラスメント防止にあたって必要だと感じている対策については、「定期的な研修や教育の実施」「相談窓口の設置」などの対策も挙げられたほか、「社内の意識向上」や「ハラスメント行為者への処罰」などの意見もあったことがわかった。

まとめ

本調査結果からは、多くの人が職場でのハラスメントを見聞きしたり受けたりしているものの、ハラスメントの境界線に関する認識について自信がない人が6割を超えていることが明らかになった。従業員が正しい認識を持つことは、ハラスメントの防止や早期発見、適正な報告・相談にもつながると考えられる。管理職はもちろんのこと、全従業員に対する研修や教育を実施していく必要があるだろう。

また、実際にハラスメントを受けた人のうち約4割はその後に「何もしない」という選択をしたことも明らかになっている。その理由としては、会社への不信感や適切な相談先の不明確さが多く挙げられた。ハラスメント防止対策について実施されているかわからないと回答している人も多く、企業側の取り組みが従業員に伝わっていない可能性も高いと推察される。

ハラスメント防止対策は事業主の義務として定められているが、どれだけ実施していても従業員に伝わらなければ本来の効果にはつながらないだろう。企業としてハラスメント防止にどう取り組んでいくか、見聞きした・受けたとする従業員がどのように行動すればいいか、改めて従業員に周知する機会を設けてみてはいかがだろうか。

参考:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!(厚生労働省)