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企業の災害対策「十分に対策できている」は4人に1人以下 イトーキ調査

2024.12.20

株式会社イトーキ(本社:東京都中央区、社長:湊宏司)は、自社の防災の取り組みを把握している20-60代のオフィスワーカーを対象にした「企業の防災に関する実態調査レポート」を公開した。本調査は勤務先において現在実施されている防災への対策について「現在、業務として携わっている」「過去、業務として携わったことがある」「業務として携わってはいないが、対策内容について説明できる」と回答した方を対象に実施されたもの。企業規模ごとの対策の実施状況や課題について明らかにしている。

調査概要

対象者:自社の防災の取り組みについて把握している20-60代のオフィスワーカー
(勤務先において現在実施されている防災への対策について「現在、業務として携わっている」「過去、業務として携わったことがある」「業務として携わってはいないが、対策内容について説明できる」と回答した方)
対象エリア:全国
サンプル数:1239ss
調査時期:2024年6月末
調査方法:インターネットリサーチ
出典元:企業の防災に関する実態調査レポート(株式会社イトーキ)

想定しているリスク「従業員及び従業員家族への身体的な被害」が最多

想定しているリスク「従業員及び従業員家族への身体的な被害」が最多

本調査ではまずはじめに、勤めている事業所において事業継続にあたってリスクとして想定しているものについて質問。上位の回答には「地震(83.8%)」「感染症(新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等)(57.3%)」「豪雨(50.0%)」が挙げられている。

さらに、想定している具体的なリスクとしては「従業員及び従業員家族への身体的な被害(61.7%)」との回答が最多であった。次いで「通信インフラの途絶(58.3%)」「交通インフラの途絶(58.0%)」「生活インフラの途絶(57.9%)」が続き、多くの人がインフラへの影響をリスクと捉えていることが明らかになっている。

対策の実施状況 規模が小さいほど対策に課題感

対策の実施状況 規模が小さいほど対策に課題感

次に本調査では、現在勤めている事業所における防災対策の現状について質問しており「十分に対策できている(22.8%)」との回答で、4人に1人以下となったことが報告された。同社によると、特に従業員規模が小さいほど「十分に対策できている」「やや対策できている」と回答した割合が少なくなる傾向にあるという。

具体的な災害・リスクへの対策としては「防災用品の備蓄(79.7%)」「ソフト面(マニュアル整備、訓練・教育の実施など)(75.0%)」「ハード面(オフィス環境整備など)(69.8%)」が上位に並んだ。

備蓄している防災用品は「水(83.7%)」「ヘルメット(76.5%)」「食糧(76.5%)」「救急用品(71.7%)」が多いようだ。

なお、災害・リスク対策を見直す頻度については「半年に1回程度以上(13.8%)」と「1年に1回程度(38.6%)」の合計が52.4%と、半数以上が1年に1回以上の見直しを実施していることがわかった。

ソフト面とハード面での対策

ソフト面とハード面での対策

本調査では続いて、ソフト面とハード面それぞれで実施している対策について質問している。

ソフト面で具体的に実施している対策として最も回答が多かったのは「避難訓練(68.1%)」だという。一方で、半数以下の回答となったのは「リモートワーク環境の整備(47.5%)」「情報収集できる体制の整備(47.1%)」で、同社はソフト面の課題がここにあると見ている。

ハード面では「オフィス内の避難動線の確保(59.2%)」が最も多く、次いで「家具の転倒対策(55.7%)」「防災用品の備蓄スペースの確保(55.1%)」「サーバールームの保全(51.9%)」と続いている。同社はハード面の対策について、備蓄やソフト面に比べ全体的にスコアが低い傾向となったことを指摘した。

まとめ

企業における防災対策の実態が明らかになった。本調査結果を見ると、対策においてハード面での取り組みがほかと比べて低いスコアとなっている。ハード面の取り組みはコストがかかりやすく、ソフト面と比べて取り組みのハードルが高いことが推察される。しかしハード面での防災対策は物理的な被害を軽減させる重要な取り組みである。身近なところからできることがないか検討していただきたい。

内閣府(防災計画担当)が2024年3月に実施した調査によれば、BCPの策定率は大企業では76.4%と8割近くまで及んでおり、中堅企業においても45.5%と半数に迫っている。2007年の調査開始以来、企業規模を問わず着実に上昇しているようだ。

一方で、BCP策定/推進にあたっての課題には「BCPに対する現場の意識が低い」との声も寄せられており、BCPを策定したからといって防災力の高まりに直結しているわけではないこともうかがえる。

企業防災の役割には「従業員・顧客の安全確保」「事業活動の維持と社会活動の安定」「地域防災活動の貢献」という3つが掲げられている。自社における防災への取り組みがこれらの役割を十分に果たせるものとなっているかどうか、改めて見直す機会としてみてはいかがだろうか。

参考:令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(概要)(内閣府 防災計画担当)
参考:企業防災の役割(内閣府 防災情報のページ)