人材面の課題は多様化、約4分の1の企業で対策進まず fundbook調査

M&A仲介を行う株式会社fundbook(本社:東京都港区、代表取締役: 森山智樹・渡邊和久)は、従業員300名以下の企業の経営者計312名を対象とした「人材面の課題に関する調査」を実施。中小企業の「人材」に関する課題意識や、解決に向けての取り組み状況を明らかにした。
調査概要
調査期間:2025年1月9日〜10日
調査機関:株式会社fundbook
調査対象:従業員300名以下の企業の経営者
有効回答数(サンプル数):312名
調査方法:インターネット調査(fastaskを使用)
出典元:依然として7割以上の中小企業が抱える「人材」の課題。解決に向けた取り組みは足踏み状態 〜中小企業の「人材」に関する課題の実態を調査〜(株式会社fundbook)
人材面の課題を抱える企業の割合が増加 課題の多様化が進む

同社の発表によると、2025年1月の調査では、74.4%の企業が人材面の課題が「ある」と回答しており、2024年1月の調査結果(70.6%)よりも増加したという。
また、同社は経営者が感じる人材面の課題について調査。優秀な人材や次世代人材の確保が引き続き特に強く課題として意識されている中「スキルを持つ従業員の不足(36.2%)」「従業員の高齢化(30.1%)」は、前回の調査よりも割合が高くなったことを報告した。
そのほか「慢性的な人手不足(23.7%)」「求人への応募が少ない(22.8%)」「従業員の賃金を上げられない(20.5%)」など、課題と感じている割合が2割を超える項目が増加したことに同社は着目。人材面の課題意識が多様化してきていると指摘した。
課題解決に向けた取り組みの実態 育成に続き採用を重視する動き

同社によると、2024年1月の調査では、人材面の課題に対する取り組みを検討・実施していないと回答した経営者は24.8%であったという、2025年1月の調査でもその割合は24.5%で、同じ水準となったことが報告された。この結果から同社は、課題解決に向けての対策が全体として進んでいないと推察する。
課題解決に向けた取り組みとして、具体的には「人材育成への投資(22.7%)」が引き続き最も高い割合を占めたものの、同社によれば前回の調査結果と比較すると割合は減少しているという。一方で「採用活動の見直し(21.0%)」は、前回の調査よりも割合が増加。2番目に高い割合を占めており「育成」だけでなく「採用」もより重視されている実態が明らかになった。
まとめ
同社の調査結果を見ると、人材に関する課題を抱える企業の割合がこの1年で増加したことがわかる。人材面の課題解決は、企業の持続的な成長と発展において重要な取り組みであることは言うまでもないだろう。しかし、人材面における経営課題の多様化が進んでおり、講ずるべき対策も複雑化している可能性がある。
育成や採用を強化することはもちろん、職場環境や社内制度、業務体制の見直しなど、取り組むべきことは多岐にわたる。まずは自社が抱える課題点を明らかにし、対策の優先順位を決める必要がありそうだ。
厚生労働省は、労働環境の向上等に関する取り組みや人材育成に取り組む事業主に対してさまざまな助成を行っている。当てはまる取り組みを実施する際はぜひ活用していただきたい。
参考:人材確保等支援助成金のご案内(厚生労働省)
参考:人材開発支援助成金(厚生労働省)