新リース会計基準への対応「負担に感じる」が約8割 マネーフォワード調査

株式会社マネーフォワードは、2025年3月11日~3月17日に、企業のバックオフィス担当者を対象とした「新リース会計基準に関する調査」を実施。対応状況やそれに関する負担感などを明らかにした。
調査概要
調査テーマ:新リース会計基準に関する調査
調査実施:株式会社マネーフォワード
調査対象:現在の勤務先で「経理部門」「情報システム部門」「総務部門」「法務部門」「経営企画部門」のいずれかに所属する個人事業主を除く660名
調査実施期間:2025年3月11日~3月17日
調査方法:Fastaskを用いたインターネットリサーチ
出典元:マネーフォワード、「新リース会計基準に関する調査」を実施(株式会社マネーフォワード)
約6割が新リース会計基準を認識しており約半数が対応を完了

同社の発表によると、新リース会計基準に関して約6割が認識している実態が明らかになった。その内訳としては「詳しく理解している(16.9%)」「概要は知っているが、詳細は理解していない(23.5%)」「名前は聞いたことがあるが、内容は知らない(21.3%)」となっており、程度の差はあるようだ。
また、新リース会計基準の対応状況については「対応準備はおおむね完了した(15.9%)」「現在対応を進めている(32.5%)」との回答が寄せられており、合わせて約半数の企業で既に対応が進んでいることが明らかになった。
対応完了・対応中の企業 約3割は2025年内に完了予定

続いて同社は「対応準備はおおむね完了した」「現在対応を進めている」と回答した人に、行った対応を質問。「リース契約の洗い出し・分類・整理」「新リース会計基準の理解」「会計方針の決定」などが上位に挙げられたという。
さらに、対応完了時期については「2025年中(26.0%)」「2026年上半期中(63.0%)」との回答が寄せられており、2027年度の強制適用に向けて半数以上が早めの対応を進めていることがわかった。
約8割が対応に負担感 管理方法はシステム利用が約9割

次に同社は、新リース会計基準への対応について「大きな負担を感じている(36.2%)」「やや負担を感じている(50.1%)」が合わせて8割を超えており、多くの企業にとって負担になっている現状を報告している。
また「大きな負担を感じている」「やや負担を感じている」と回答した人が最も負担を感じる業務は「リース契約の洗い出し・分類・整理」「新リース会計基準の理解」「会計方針の決定」だったという。多くの企業が対応初期段階の業務に負担を感じていることが明らかになった。
なお、勤務先におけるリース契約の管理方法については「全社で統一の電子契約システムで管理している(32.3%)」「電子契約システムで管理しているが部門ごとにバラバラのシステムを利用(36.2%)」「電子契約システムで管理しているものと、紙で管理しているものがある(21.3%)」を合わせて約9割がシステムを利用していることが判明している。
リース契約情報の管理における課題と今後の対応

同社は続いて、リース契約情報の管理における課題について調査。最も多かった回答は「契約書が電子化できておらず、紙で管理している(42.5%)」で、次いで「契約情報は表計算ソフトなどの手作業で管理しており、ミスや属人化が発生している(35%)」「契約条件の変更や更新情報の把握が困難(32.7%)」と、アナログな契約管理が原因の課題が上位に挙げられたことを報告した。
また、今後のリース負債の計算・残高管理の対応については、約4割が「新たにシステムを入れ替えする」と回答したという。「既存システムで対応する」と回答した企業を合わせると、約8割がシステムを利用して対応することが明らかになった。
まとめ
多くの企業が新リース会計基準への準備を進めている一方で、担当者が負担を感じている実態が明らかになった。特に、対応の前段階とも言える「リース契約の洗い出し」など、初期の業務が大きな負担になっている様子もみられている。
リース契約の管理にはシステムを利用する企業が約9割にも及ぶとの結果も報告されたが、部門ごとに異なるシステムを使っていたり、システムと紙が混在していたりと、システム利用の中にも様々な課題が残っていると考えられる。
新リース会計基準への対応を機に、リース契約管理業務について課題の把握や解消に取り組んでみてはいかがだろうか。
参考:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表 (企業会計基準委員会)