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2025年度中の賃上げ見送る企業が42.9% フリーウェイジャパン調査

2025.05.09

株式会社フリーウェイジャパン(本社:東京都中央区、代表取締役:井上達也)は、中小企業/零細企業の代表取締役・個人事業主270人、従業員166人の計436人を対象とした「2025年賃上げ状況に関するアンケート」を実施した。

調査概要

調査タイトル:「2025年賃上げ状況に関するアンケート」
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2025年4月4日~4月10日
調査対象:中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主人
出典元:株式会社フリーウェイジャパン

2025年度中賃金の引き上げ、もしくは引き下げの実施予定「なし」が4割超

2025年度中賃金の引き上げ、もしくは引き下げの実施予定「なし」が4割超

本調査ではまずはじめに、自身の会社・事業において、2025年度中の賃金の引き上げ、もしくは引き下げの実施予定はあるか質問。その結果「変動なし(見送る)(42.9%)」が最も多い回答となり、次いで「引き上げ済み・引き上げ予定(24.8%)」「未定(わからない)(15.1%)」「引き上げる方向で検討中(13.5%)」が続いたという。「引き下げる方向で検討中(2.1%)」「引き下げ済み・引き下げ予定(1.6%)」との声も一部寄せられている。

引き上げ、引き下げ、変動なし それぞれの理由は

引き上げ、引き下げ、変動なし それぞれの理由は

同社は続いて、引き上げ、引き下げ、変動なし、それぞれの回答ごとに理由を質問した。各回答ごとの上位は下記の通り。

「引き上げ済み・引き上げ予定」もしくは「引き上げる方向で検討中」の回答者
「従業員の定着率向上のため(士気確保・モチベーション向上)(58.1%)」
「物価高騰への配慮(44.3%)」
「最低賃金が引き上げられたため(26.9%)」

「引き下げ済み・引き下げ予定」もしくは「引き下げる方向で検討中」の回答者
「今後の経営環境・経済状況が不透明なため(62.5%)」
「社会保険料の増加により会社負担が増えているため(62.5%)」
「業績の回復が見込めていないため(62.5%)」

「変動なし(見送る)」の回答者
「今後の経営環境・経済状況が不透明なため(49.2%)」
「業績の回復が見込めていないため(36.9%)」
「原材料・エネルギー高騰で費用が膨らむため(18.7%)」

賃上げ率は「3%以上5%未満」が最多で25.1%

賃上げ率は「3%以上5%未満」が最多で25.1%

次に同社は「引き上げ済み・引き上げ予定」もしくは「引き上げる方向で検討中」と回答した人を対象に、賃上げ率(%)はどの程度か年収換算ベースで質問。最も多い回答は「3%以上5%未満(25.1%)」で、次いで「5%以上10%未満(21.5%)」「1%以上1.5%未満(13.8%)」「2%以上2.5%未満(9.6%)」「1.5%以上2%未満(7.8%)」が続いている。

また、同様の対象者に賃上げ率(%)は、社員の世代によって差があるか尋ねる項目では「ない」が80.2%と大半を占めたという。一方で「ある」と回答した19.8%においては40代の賃上げ率が高い傾向にあることが明らかになった。

なお「賃上げ率が高い世代の賃上げ率」は「5%以上10%未満(27.3%)」が最も多く 「賃上げ率が低い世代の賃上げ率」は「3%以上5%未満(27.4%)」が最多であった。

賃上げ実施有無と人手状況の関連性

賃上げ実施有無と人手状況の関連性

次に同社は、人手・採用の状況について質問。全体では「足りているためしばらくは増員予定がない(48.4%)」との回答が最多になったという。次いで「足りていないが、増員の予定もない(24.3%)」「足りていないため、増員予定(17.4%)」「足りているが、さらに増員したいと思っている(9.9%)」が続いている。

また、 2025年度賃上げを行う(予定)の回答者の中では「足りているが、さらに増員したいと思っている」との回答は18.0%となったが、2025年度賃上げを行う(予定)以外の回答者では4.8%と、大きな差がみられた。

まとめ

2025年度中の賃金引き上げについて、4割を超える企業が見送る判断をしていることが明らかになった。その最たる理由として挙げられたのは「今後の経営環境・経済状況の不透明さ」である。

帝国データバンクが毎月発表する景気動向調査では、2025年4月の景気DIがコロナ禍の終盤にあたる2023年2月以来の水準まで低下したことが報告されている。トランプ関税の影響もあり、先行きの不透明さを懸念する企業が多いことにも頷ける。

一方で、2025年度中に賃金引上げ済み、もしくは実施予定がある・検討していると回答した38.3%の企業では、6割近くが人材の定着を理由に挙げた。人手不足が深刻化し、人材獲得競争が激化している中、離職防止への取り組みはより重要性を増しているだろう。

世界経済の不確実さも高まっており、企業規模を問わず厳しい経営環境となっている企業が多いと推察されるが、特に中小企業/零細企業においてはより苦しい状況と考えられる。国内景気の動向とともに、賃上げの実態についても引き続き注目したい。

出典元:2025年4月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)