約8割が「自社にLGBTQ+いる」と想定も約7割が取り組みなし 月刊総務調査

株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の企業を対象に「LGBTQ+に関するアンケート調査」を実施し、184名から回答を得たことを発表した。
※LGBTQ+:「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」「クィア/クエスチョニング」など、多様な性的指向や性自認を持つ人々を指す言葉で「+」はその他の多様なあり方を含む包括的な表現
調査概要
調査名称:LGBTQ+についての調査
調査機関:株式会社月刊総務
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年4月10日〜2025年4月17日
有効回答数:184件
出典元:約7割がLGBTQ+への取り組みが未実施。制度設計等の必要性は感じるも、関心度の低さが課題に(株式会社月刊総務)
LGBTQ+に対する知識「なんとなく」が多数 関心「ない」が約3割

本調査ではまずはじめに、LGBTQ+に関する基本的な知識について質問。その結果「なんとなく理解している(65.7%)」が最も多く「言葉を聞いたことがない」と答えた人はいなかったという。
また、LGBTQ+に関する社会的課題への関心度については「とても関心がある(14.7%)」「やや関心がある(52.2%)」を合わせた66.9%が関心を示している。一方で「あまり関心がない」「全く関心がない」との回答も3割を超えた。
自社内のLGBTQ+当事者について 懸念する課題は?

続いて、自社にLGBTQ+当事者がいるか尋ねる項目では「いることを総務として把握している(10.3%)」「把握していないがいると思う(51.1%)」との回答が寄せられている。さらに規模別にみると、社員数100名以上の企業では、約8割がいることを把握している、もしくは、いると想定していることが明らかになった。
また、LGBTQ+当事者が職場で直面しやすい課題については「ハラスメント・差別の懸念(71.7%)」「トイレや更衣室の利用のしづらさ(66.8%)」「自己開示(カミングアウト)のしづらさ(65.8%)」「周囲の無理解や無関心(53.8%)」との声が多く寄せられている。
LGBTQ+に対する取り組みの実態

次に本調査では、LGBTQ+への取り組みを対外的に表明しているか質問。その結果「表明している(5.4%)」「取り組んでいるが表明していない(23.9%)」「取り組んでいない(70.7%)」との回答割合となっている。
取り組みを対外的に表明している企業では「社内の意識が高まった(40.0%)」との声もある一方で「特に変化はない(50.0%)」が半数を占めたという。
LGBTQ+への取り組みを始めたきっかけについては「社会的責任を果たすため(66.7%)」「グローバル基準に合わせるため(38.9%)」「経営層の方針(27.8%)」が上位に。現在実施している取り組みについては「社内研修や啓発活動(50.0%)」「ダイバーシティ&インクルージョン推進の方針策定(35.2%)」が多いようだ。
取り組み推進の課題と意義

また本調査では、アライ(支援者)組織の有無について「ある」は5.4%にとどまったことも判明している。
なお、LGBTQ+への取り組みを進める上での課題については「社内の関心が低い(51.6%)」「施策の優先度が低い(50.0%)」「具体的な対応方法がわからない(46.7%)」といった声が多く寄せられたという。
さらに、LGBTQ+対応に取り組む意義については「すべての従業員が安心して働ける環境づくり(69.0%)」「多様性の尊重による企業価値の向上(55.4%)」「従業員エンゲージメントの向上(40.2%)」との回答が上位となった。
まとめ
LGBTQ+への関心や知識は一定の広がりをみせているものの、企業としての対応は決して十分とは言えない状況にあるようだ。しかし、誰にとっても働きやすい環境づくりは、本来企業にとって優先的に取り組んでいくべき施策ではないだろうか。
「何から取り組んでいいかわからない」という企業も少なくないだろう。厚生労働省では性的マイノリティに関する取り組みや関連制度を紹介している。併せて参考にしていただきたい。
参考:性的マイノリティに関する理解増進に向けて~厚生労働省の取組~(厚生労働省)