2025年度に賃上げ「実施」企業は7割超、上げ幅や実施理由は 学情調査

株式会社学情(本社:東京都中央区)は、企業・団体の人事担当者を対象に「賃上げ」に関してインターネットアンケートを実施。2025年度に賃上げを「実施した」と回答した企業が4社に3社を占めたことを報告した。
調査概要
調査期間:2025年3月24日~2025年4月16日
調査対象:企業・団体の人事担当者
有効回答数:338社
調査方法:Web上でのアンケート調査
※各項目の数値は小数点第二位を四捨五入し小数点第一位までを表記しているため、択一式回答の合計が100.0%にならない場合がある
出典元:競合はすでに動いている?「4社に3社」が賃上げを実施した理由とは(2025年6月)(株式会社学情)
7割超が賃上げを実施 上げ幅は「2〜5%未満」が最多

同社は、人手不足で売り手市場が続く中、物価高が止まらず、政府による賃上げの呼びかけもあって、定期昇給やベースアップによる企業の賃上げに注目が集まっているとして、賃上げの実施状況と、実施理由について調査した。
その結果、2025年度に賃上げを「実施した」と回答した企業は7割を超え4社に3社を占めたという。賃上げ率は「2~5%未満(36.3%)」が最も多く、次いで「2%未満(22.9%)」「5~7%未満(10.4%)」「7~10%未満(2.9%)」「10%以上(2.7%)」が続いている。
また、賃上げを実施した理由(複数回答可)については「従業員のモチベーションアップのため」と「人材の確保・定着のため」が68.1%でトップに並び、僅差で「物価上昇に対応するため(66.0%)」が続いたことがわかった。そのほか「同業他社の動向に合わせて(29.8%)」は約3割で「業績回復に伴い、賃金に反映させた(8.5%)」との回答は1割未満にとどまった。
まとめ
4社に3社と、大半の企業において賃上げが実施されていることが明らかになった。その理由として業績回復を挙げる企業は1割未満となり、多くは従業員のモチベーションアップや、人材確保・定着、物価上昇を挙げている。
さまざまなコストが上昇する中で、賃上げの原資確保に苦しむ企業も少なくないだろう。企業規模による賃上げ格差も注目されており、中小企業にとっては厳しい状況が続いていると推察される。
厚生労働省は生産性向上(設備・人への投資等)や、非正規雇用労働者の処遇改善、より高い処遇への労働移動等を通じ、労働市場全体の「賃上げ」を支援している。こうした支援策も上手く活用していくといいだろう。
参考:「賃上げ」支援助成金パッケージ(厚生労働省)