退職金「増額・導入」7.8%、「月給引き上げ」施策も TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、全国6473社を対象に、2023年以降の退職金制度の動向についてアンケート調査を実施した。なお、本調査は今回が初めて。
調査概要
調査期間:2026年6月1日~8日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:6473社
出典元:企業の7.8%で退職金「増額・導入」 「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義
退職金の「増額・導入」が「減額・廃止」を上回る
TSRの調査によると、2023年以降の退職金制度について「変更していない(72.5%)」が最多だった。一方で「退職金への拠出を増額した」「退職金制度を導入した」を合わせた「増額・導入」は7.8%。「減額・廃止」の1.9%を大きく上回ることがわかった。
また、今後「増額・導入を検討している」と回答した企業は3.0%で「減額・廃止を検討している」の0.9%を上回っている。
産業別では「増額・導入」の割合は建設業が12.3%で最も高く、卸売業が8.4%で続いた。
退職金制度「見直しの理由」は企業規模で違い
退職金制度の減額や廃止を実施、または検討している企業に理由をたずねたところ、大企業では「確定拠出年金の利用を推奨するため(50.0%)」が最多に。
一方、中小企業では「成果主義への移行のため(38.3%)」が最も多く「インフレ率と同等以上の運用が見込めないため(29.1%)」が続いている。
企業によっては、退職金を前払いして給与に反映し、資産形成を従業員に委ねる動きもみられるという。
制度変更で生まれた原資は「月給引き上げ」へ
退職金制度の見直しによって生じた原資の使い道としては「既存従業員の月給を引き上げた(48.9%)」が最も多かった。なお、大企業からの回答を得られたのは3社で、中小企業が93社と、大部分を中小企業が占めている。
次いで「中途の新規採用者の月給を引き上げた(23.9%)」「福利厚生を拡充した(20.8%)」「新卒者の月給を引き上げた(15.6%)」が続き、人材の採用や定着に関わる施策に充てる企業が目立つ結果となった。
業種別では、人材の採用・定着に関わる内容に振り向けた企業の割合は、建設業と情報通信業で目立った。一方、製造業とサービス業他は「債務の返済に充てた」「価格競争力を維持するための原資にした」も目立つ結果となった。
まとめ
退職金制度について「増額・導入」する企業が「減額・廃止」を上回る一方で、制度を見直して生じた原資を月給や福利厚生の拡充に振り向ける企業も多い。人材確保や定着を意識した、報酬制度の再構築が進んでいる様子がうかがえる。また、企業型DCやiDeCoなど資産形成手段の多様化を背景に、退職金のあり方そのものが変化しつつある。
若手人材の流動化や価値観の多様化が進むなか、従業員のライフプランや資産形成を支援する制度に対する、働き手の意識も高まっている。制度の整備を図りながら、採用競争力と定着率の向上につながる魅力的な報酬体系の構築を進めていきたい。











