倒産「人手不足」過去最多237件「人件費高騰」2.4倍 TSR調査
人材確保や賃上げへの対応が企業経営に大きな影響を及ぼしている。株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)の調査によると、2026年上半期の「人手不足」関連倒産は237件となり、調査開始以来最多を更新した。特に賃上げによる人件費負担を要因とする倒産が急増しており、中小企業の経営を圧迫する実態が浮き彫りとなっている。
人手不足関連倒産が過去最多 「人件費高騰」は前年比2.4倍
TSRは、2026年上半期(1~6月)の「人手不足」関連倒産の動向を公表。「求人難」「従業員退職」「人件費高騰」を要因とする倒産は237件となり、前年同期比37.7%増加した。
上半期としては2013年の調査開始以来、初めて200件を超え、3年連続で過去最多を更新している。
中でも「人件費高騰」による倒産は120件と前年同期比140.0%増となり、約2.4倍に急増。大手企業を中心とした賃上げの流れを受け、中小企業でも人材確保のため賃金引き上げを迫られる一方、十分な収益力を伴わない賃上げが資金繰りの悪化につながるケースが増えている。
小・零細企業への影響が顕著 価格転嫁の遅れも課題
資本金別では、1000万円未満の企業が154件と全体の約65%を占め、前年同期比41.2%増となった。また、倒産形態は「破産」が229件で全体の96.6%を占めており、資金力の乏しい小・零細企業ほど厳しい状況に置かれているといえるだろう。
背景には、原材料費やエネルギーコストなどの上昇に加え、人件費負担の増加がある。価格交渉力の弱い企業では十分な価格転嫁が進まず、利益を確保できないまま人件費だけが膨らみ、経営を圧迫している実態がうかがえる。
出典元:過去最多の237件 「人件費高騰」が2.4倍増の120件、賃上げが重荷に(株式会社東京商工リサーチ)
※本調査は、2026年上半期(1-6月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析したもの(注・後継者難は対象から除く)
まとめ
賃上げが企業の人材確保に欠かせない一方で、収益力とのバランスを欠いた対応が経営リスクにつながることが示された。特に小・零細企業では、人件費の上昇を販売価格へ適切に転嫁できず、資金繰りの悪化から倒産に至るケースが増加しているようだ。
バックオフィス部門では、人事による賃金制度の見直しだけでなく、経理・財務による人件費シミュレーションや利益管理、営業部門と連携した価格改定の検討など、部門横断での対応がこれまで以上に重要となるだろう。
賃上げ実施にともなって、生産性向上や業務効率化を含めた持続可能な人件費戦略を構築し、収益力との両立を図る取り組みを進めていきたい。












