上場企業「粉飾開示」前年同期の3倍増、「不適切会計」は27件 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2026年上半期(1~6月)の「不適切な会計・経理の開示企業」に関する調査を実施した。その結果、不適切会計を開示した上場企業は27社・27件と前年同期を下回った一方で、売上過大計上や架空取引などの「粉飾」は12件と前年同期の3倍に増加したことが分かった。
調査概要
本調査は、自社開示、金融庁・東京証券取引所などの公表資料に基づく。上場企業(上場廃止企業は、開示時に上場していた企業)を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。
※同一企業が調査期間内に内容を異にした開示を行った場合、社数は1社、件数は2件としてカウント
※業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく
※上場の市場は、東証プライム、スタンダード、グロース、名証プレミア、メイン、ネクスト、札証、アンビシャス、福証、Q-Boardが対象
出典元:上場企業の「不適切会計」開示 27社・27件 上半期は「粉飾」が12件、前年同期の3倍増(株式会社東京商工リサーチ)
不適切会計は減少も「粉飾」が急増
TSRの報告によると、2026年上半期に不適切会計を開示した上場企業は27社・27件。社数、件数ともに前年同期を下回ったことが分かった。2008年の調査開始以降、2022年をピークに減少傾向が続いているものの、減少ペースは鈍化している。
内容別では「粉飾」と「誤り」がそれぞれ12件で最多となった。このうち「粉飾」は前年同期比200.0%増と大幅に増加した一方で「誤り」は同25.0%減少。「着服・横領」は3件にとどまった。
情報通信業で粉飾が目立つ
発生当事者別では「会社」が12件で最も多く、次いで「子会社・関係会社(8件)」「役員(4件)」「従業員(3件)」が続いている。市場別ではスタンダード市場が11社で最多となり、プライム市場が10社、グロース市場が5社で続いた。
業種別では「製造業」と「情報通信業」がそれぞれ7社で最多に。特に情報通信業では7件中6件が粉飾で、架空取引や売上過大計上など不正会計が集中する結果となった。
まとめ
本調査では、不適切会計の開示件数そのものは減少したものの、投資家への影響が大きい粉飾事案が大幅に増加した点が特徴となった。監査の厳格化によって過去の不正が表面化した側面もあるが、企業にとっては内部統制やガバナンスの実効性がこれまで以上に問われる状況といえる。
経理・財務部門では、会計基準や内部統制への対応だけでなく、海外子会社を含めたグループ全体の管理体制や専門人材の確保・育成も重要な課題となる。
総務部門においても、不正を未然に防ぐためのコンプライアンス教育や内部通報制度の運用状況を定期的に見直し、経営層と連携しながら組織全体のガバナンス強化を進めたい。












