2026年7月「価格転嫁率」39.9%、2.2ポイント低下 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国の企業を対象に「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」を実施した。調査対象は全国2万2350社で、コスト上昇分を販売価格などにどの程度反映できているかを示す価格転嫁率は39.9%に。2026年2月の前回調査から2.2ポイント低下し、再び4割を下回ったことが報告された。
調査概要
調査期間:2026年7月17日~7月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国2万2350社、有効回答企業数は1万518社(回答率47.1%)
出典元:価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)(株式会社帝国データバンク)
価格転嫁率は39.9%、5割未満が53.8%
TDBによると、自社の主な商品・サービスについて、コスト上昇分を販売価格やサービス料金に「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業は75.8%。一方で「5割以上転嫁」できている企業は、33.9%にとどまり「5割未満」は53.8%となった。
「全く価格転嫁できない」企業も11.9%あり、価格転嫁を実施している企業が多かった。一方、コスト上昇分を十分に反映できている企業は、限られているようだ。
価格転嫁率は39.9%で、前回調査の42.1%から2.2ポイント低下。企業規模別では「大企業(41.6%)」「中小企業(39.7%)」「小規模企業(38.3%)」となり、規模が小さいほど低い結果となっている。
人件費・物流費・エネルギーコストの転嫁は3割前後
費目別では、価格転嫁率が最も高かったのは「原材料費(47.3%)」だった。次いで「物流費(34.5%)」「人件費(32.0%)」「エネルギーコスト(29.6%)となり、いずれも3割前後にとどまっている。
原材料費と比べて、人件費などの転嫁が進んでいないことが分かる。特に人件費は、賃上げや採用条件の改善、社会保険料、教育費など継続的に発生する。その上昇分を価格に反映できない状況が続けば、企業側の負担が継続することになる。
また、業種別では「化学品卸売(63.2%)」や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売(53.5%)」などで価格転嫁率が5割を超えた一方「旅館・ホテル(23.0%)」「不動産(25.9%)」「飲食店(28.7%)」などでは低い水準となった。価格決定権が制約される業種では、コスト上昇分を価格に反映しにくい状況が続いているとみられている。
価格改定までの期間は短縮も、転嫁率は低下
価格転嫁までの期間については「変わらない(38.4%)」が最も多かった。一方で「短くなった(26.3%)」は「長くなった(7.6%)」を18.7ポイント上回っている。価格改定に至るまでの期間は、全体として短縮する傾向にあるようだ。
業界別に「短くなった」と回答した企業の割合をみると「製造(34.6%)」「卸売(30.3%)」「運輸・倉庫(27.9%)」の順で並んでいる。
ただし、価格転嫁率そのものは前回調査から低下していることが判明。価格改定に動くまでの期間が短くなっていても、コスト上昇分を十分に価格へ反映できているとは限らないことが今回の調査から明らかになった。TDBは 「企業が従来よりも早く価格交渉や値上げに動いても、仕入価格の上昇スピードがより早まるなかで、顧客離れや販売数量の減少を懸念し、値上げ幅を抑えている可能性を示していよう」と解説した。
まとめ
企業が価格改定に動くまでの期間は短縮する一方で、コスト上昇分を十分に価格へ反映することには依然として難しさがあることが読み取れる。「短くなった」と回答した企業は26.3%で「長くなった(7.6%)」を上回ったものの、価格転嫁率は39.9%と前回から2.2ポイント低下。「5割未満」の企業も53.8%にのぼる。
価格改定を実施したかどうかだけで判断するのではなく、実際のコスト上昇が販売価格にどの程度反映されているか。それによる、企業経営への影響を継続的に確認することが重要となるだろう。
コストの変動と価格への反映状況はもちろん、収益にどの程度影響しているのかを確認しながら、次回の価格改定や取引先との価格協議に向けた判断材料として活用していきたい。













