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表裏の関係にある「女性差別」と「女性活躍」。実のある「活躍」時代へ向け今できること(後編)

2019.07.10
正木 伸城

「女にこうあってほしい」との男の願望が「女らしさ」の社会的観念をつくっている

 【前編】では、「女性差別」が今も機能していること、また、人びとが差別を無意識に前提していることを確認した。
 けれど、そういったことは置き去りにされがちで、「妻は家庭に」から「妻も仕事へ」という考えの変更はさまざまな圧によって無理やり、しかも男性本位の「フェアでない」価値にもとづいて進められている。

 本稿は、差別の思想的「根深さ」に焦点をあてる。
 「女性はこうあるべき」という規範は、かつてからトレンドのように変化させられてきた。「妻は家庭に」「妻も仕事へ」といった考えは基本、「こうありたい」という女性の願いがかたちになったものではない。「女性にこうあってほしい」という男性の願望が大きな要素としてトレンドに反映されている。女性らしさを方向づけるハンドルを強くにぎっているのは男性である。

 社会学者・上野千鶴子さんは東京大学入学式の祝辞で語った。
 「頑張って東大に進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コンで東大の男子学生はモテます。しかし東大の女子学生からはこんな話を聞きました。『キミ、どこの大学?』と訊かれたら、『東京、の、大学...』と答えるのだ、と」(※1)
 なぜか? 上野さんは、男性から「かわいい」を期待されることを女性が知っているから、とのべる。「東京大学です」と女性が言えば、「自分を優位にポジショニングできないかも」と感じた男性が「かわいげのない子」と思うかもしれない。東大女子のなかにそれを不安がる人がいるのだ。それで彼女らは、男性にどう判断されるかを気にしつつ、距離をはかりながら下方へポジショニングしていく。そんな仕方で女性は、男性主導が生んだトレンドに「合わせて」生きている。そういう部分は、ある。

 作家ボーヴォワールは「ひとは女に生まれない、女になる」(※2)という言葉をのこした。「女」をかたちづくるもののメインは、文化などに決められた後天的な「女らしさ」であって、生体的な「性」がメインではない。人は、生まれて幾年もかけて「女らしさ」を教わり、そして後づけで「女」になる、と。そのさまは、トレンドのつくり手である男性に「女にさせられている」とも言い換えられる。

ただコミュニケーションをするだけで男性に支配される?

 男性  「キミ、どこの大学?」
 東大女子「東京、の、大学...」
 この話で注目したいのは、やりとりのなかで、男性による女性支配が生まれている点である。「東京、の、大学...」と語った瞬間、この女子は「女らしさ」を男性に「査定してもらう」立場、ひいては「被支配者(=支配される者)」とされてしまう。
 大げさな話と思われるだろうか。

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