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その「働き方改革」、本当に合っていますか? バックオフィスでの「働き方改革」で気をつけること

 2019年4月1日より「働き方改革関連法案」が順次施行されます。多くの会社で運用体制の見直しが迫られていますが、「具体的に何をすればいいのか」「何が正解なのか」と悩んでいる経営者や総務担当者が多いのが実情です。

 事実、連日開催されている「働き方改革関連法案セミナー」は満員御礼で、世間の関心の高さがうかがえます。法案の中身は分かっていたとしても具体策は個々の会社で事情が変わってくるので”これ”という正解はありません。

 そこで、今回は法対策という観点ではなく、バックオフィス側の実際の働き方から見た「働き方改革(業務効率化)」の具体策の一例をご紹介します。

まずは働く人の”当事者意識”を変えることから始めよう

 働き方を大きく分けるとフロントオフィス側とバックオフィス側に分けることができます。フロントオフィスの代表格は営業マンです。営業マンは 一番働き方を効率化できる職種と言われています。IT技術の発達により、わざわざお客様先に出向く必要性も減り、勤務先にすら出社する必要が無くなってきました。

 営業マンの一番の無駄である”移動時間”を削減することが、生産性アップの秘訣ということです。また、営業マンは移動しているだけで仕事をした気分になってしまう人が多いので、怖いところですね(かつては私もそのうちの一人でした 笑)。

 これは、業務改革全般に言えることですが『当事者の意識を変える』ということが一番の要になります。これからの時代、各個人が業績を上げることで評価される時代になるので、無駄な作業や無駄な残業は自らの評価を下げる要因になります。また、いかに効率的な仕組みを”会社”が提供できるかも、業務改革の大切な要素です。

「働き方改革」で変わりつつある営業マンの役割

 フロントオフィスの作業効率を上げるために必要なものとして、モバイル機器(ノートパソコン、スマートフォン、ポケットwifi)、セキュリティソフト(ウィルスソフト、暗号化ソフト)、営業支援システム(SFA*1、CRM*2、MA*3)などが挙げられます。最近では、「最高のマーケティングとは、営業がいらないこと」とさえ言われるくらい販売を自動化していく動きが進んでいます。

 営業マンは受注マシーンではなく、受注を促進するプランを考える役割に変化しています。人が接触する機会を減らしながらも、お客様に自社の認知度を上げていく活動が主になりつつあります。

*1:SFAとは・・・Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)の略称。営業支援システムの代表格で、案件管理機能、営業活動の記録・報告する機能など、多彩な機能が付いている。

*2:CRMとは・・・Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略称。自社製品の購買履歴や顧客属性などの”顧客情報”を分析し、”顧客の見える化”を図るシステムで、顧客満足度の向上や、継続的に製品を購入してもらうための戦略立案に活用したりする。

*3:MAとは・・・Marketing Automation(マーケティング オートメーション)の略称。顧客一人ひとりに合わせたマーケティング施策を自動で行うシステム。

バックオフィス全体の業務効率化が求められている

 フロント業務で受注した注文の後処理や請求業務などを進めてい行くのがバックオフィスの主な役割です。主に総務、経理系のお仕事が多いですが、その他にも人事労務管理や社内の仕組み作りなど、バックオフィスの仕事内容は多岐にわたります。

 契約管理、経費管理、請求支払い管理、入出金管理、人事労務管理、給与計算、管理会計管理、財務会計管理など、業務量だけでいえばフロントオフィスの比にならない多さです。この業務に従事している人たちの働き方が、今 大きく見直されようとしています。

 具体的には、RPA*4、統合業務システム(ERP)*5、業務管理ソフトなど、あらゆるシステムやサービスが登場し、バックオフィス業務の効率化が進められています。また、数年前から始まった「IT導入補助金*6」により、バックオフィスのIT化が、中小企業全体に広がってきました。しかし、ここで大きな問題が起き始めています。

*4:RPAとは・・・Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略称。単純業務を自動で処理し、ミスなく正確に行うことが可能。

*5:統合業務システム (ERP)とは・・・企業の各種の基幹業務(財務管理、生産管理、販売管理、人事管理など)を統合的に連携させるシステム

*6:IT導入補助金とは・・・業務効率化・売上アップにつながるITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する際に、経費の一部を補助してくれる制度。対象企業は中小企業や小規模事業者などに限られる。

バックオフィスのIT化によって起こった大きな誤算

 一つ目の問題は、基幹業務ごとにITソフトやシステムの導入を進めた結果、それぞれのデータ連携がスムーズにいかなくなってしまったことです。部門ごとの業務は効率化されても、基幹業務間のデータ連携や分析業務を行う際に、非効率な作業が発生してしまうのです。例えば、データ連携の際にCSVでデータ書き出しを行った後、インポート先のシステムに合わせた大幅なデータ修正が必要になるケースなどが挙げられます。また、扱うデータ量が膨大になればなるほど、作業時間は膨れ上がっていきます。

 もう一つの問題は、RPAなどの最新の自動化システムを導入しても、これも部分的な作業を楽にしただけで、担当者が休んだり退職などで居なくなると、RPAで何をやっているか誰も把握できなくってしまうことです。RPAは比較的新しい技術で、専門的な知識を要します。中小企業では、ITに詳しい人材は少なく、業務が止まってしまうなどの最悪のケースも考えられます。

 結局、最近の業務改革が目先の「働き方改革」に気を取られ、部分的な最適化しか行われていないのです。総合的な改革が行われない結果、二度手間三度手間に繋がり、業務効率を逆に下げてしまうという皮肉な状況に陥っています。

問題の解決策は、業務全体を俯瞰して見ること

 この問題の解決策は、業務全体を俯瞰して見ること。そして、部分最適化を図りながら他の業務との関連を見ていくことが大切になります。

 バックオフィス側で一番効率的な例を挙げると、統合業務システム(ERP)を導入することです。しかもカスタマイズせずにそのまま導入することが一番大事になります。そもそも業務間の連携も視野に入れて作られた物なので、少しでもカスタマイズしてしまうと、やはり連携が上手くいかなくなる可能性があります。

 フロントオフィスの部分でも少し触れましたが、そもそも 当事者の意識改革がなければ業務改善は進みません。当然、今までのやり方を新しい仕組みやシステムに置き換えるのは、誰しも面倒で苦痛なことです。しかし、その先に苦痛以上の快楽があることは体験したものにしか分からない。こういう決断を下している会社が生き残っていくのです。

 今一度、全体最適化という観点から自社の「働き方改革」を見直してみるのは如何でしょうか。

<岡田 郁二 氏:その他コラム記事>
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