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“恵まれた世代” に生まれたから感じる危機感。会社に、日本社会にもっと刺激を

 

 はじめまして。辻太一と申します。

 私はメインの仕事として、DialpadというクラウドPBXやチャット、会議システム等のビジネスに必要なコミュニケーションの全てを1つのプラットフォームで提供している会社に勤めています。

 その他にもGlobal Shapers Communityという団体にも所属しているのですが、同コミュニティを通じて感じていることも踏まえつつ、まずは数回に分けて日本人の “働き方 “ ”生き方” にリンクさせながらお話できればと思います。

 Global Shapers Community (以下GSC) は、世界経済フォーラム により組織される、多様なバックグラウンドを有する33歳以下の若者によるコミュニティ。

 地球上の人口の過半数が27歳以下の若者であることから、社会の若者へのエンパワメントを推進するために組織されました。
世界各国の都市でHUB (ハブ) と呼ばれる地域拠点を立ち上げて集まり、ハブに所属するメンバーは “Shaper” と呼ばれます。

 世界経済フォーラムはダボス会議を毎年開催しているのですが、選出されたGSCのメンバーはダボスの場にも参加可能です。プチダボスに近い位置付けで、”Shape” と呼ばれる地域別で行われる国際会議が年に数回開かれるのですが、今年のアジア圏がモンゴルということで、8月頭から2週間ほど参加してきました。

 初めてのモンゴルは、“自然が豊か” “大平原と馬” という印象のまま降り立ったのですが、ウランバートルに着いてみると直感的に空気があまり綺麗ではない印象。GSCの会議では、国際問題だけでなく地域課題についてもローカルツアーを通じて実際に学んでいくのですが、話によるとウランバートルは四方山々に囲まれている盆地のような構造で空気が外に逃げにくく、こもってしまうようです。電車は通っていないので、移動は基本バスか車。その影響もあって市街地でも砂埃や排気ガスを感じることが多かったです。自然豊かで空気が澄み渡っているという印象が強かった私には、少しの排気でも衝撃を覚えました。

 

 

 さらに驚いたのは冬場のお話です。皆さんがモンゴルと聞いて思い浮かべた遊牧民の方々はゲルで生活しています。現在も人口の20%弱が遊牧民として暮らしており、都市周辺にもあちらこちらでその姿をみることができます。標高が1,400M近くあるこの都市は冬はもちろん寒いので、暖を取らねばなりません。ゲルで生活している方々は暖を取るために燃やせるものはほとんど何でも燃やしてしまうそうで、冬場はゲルからの排気でウランバートル市内は5M離れるとほとんど何も見えないほどの霧で覆われてしまうとのこと。。

 東南アジアはバックパッカーも含めて、よく訪れていたのですが、国や都市によっては発展途上国の位置付けから脱している地域もあり、日本よりもラグジュアリーな雰囲気です。久々に訪れた “発展途上” の国では、道路の整備や排水整備も追いついておらず、雨が降ればたちまち洪水で池が街中に出来てしまいます。郊外に出る道路はデコボコ、道路の線はあって無いようなもので割り込みや日本でいう歩行者優先の感覚は全くありません。

 こうした普段と違う環境下に晒される度に、自分の当たり前がそうではないことに気づかされ、良い刺激になっています。

 日本人は休みを取らない、とよく言われますが、祝日の数でいうと世界でもトップクラスで先進国の中では最多と言われています。2019年は振替も合わせると22日あるようです。
有休休暇がうまく使えていないなどの点から “働きすぎ” と思われることもありますが、休日が多いというのは紛れもない事実です。

私個人の想いとしては、日本の皆さんはもっと外に出て非日常を経験して欲しいです。

 世界一便利なコンビニや24時間営業の飲食店。都心部では複雑な路線のシステムと膨大な本数をほぼ遅れなく運営。海外と比較して便利なこと・ものは挙げるとキリがないですが、ここまで便利になりすぎるとボケてくる感覚に近いです。私自身がそうです。。

 私以下の世代では、戦後の ”貧しかった日本” を経験している人はいないと思います。高度経済成長期を支えてくれた先人達がいて、世界でもトップクラスの経済大国になった日本。一歩外に出て感じるのは、このままだとこの当たり前はずっとは続かないと思います。ただ我々以降の世代は先人が築き上げてきたものを守っていく必要があると思いますし、それ以上に成長させていかないといけません。

 危機感を煽っている訳ではありませんが、不便を感じる非日常を体験することで見えてくることがたくさんあると思うのです。国内旅行で非日常を感じるのも、もちろん良い体験だとは思いますが、全く言葉が通じない、文化も思想も違う環境に触れることは、新しい価値観やアイデアを育める良い機械にもなるはずです。

 祝日と有給を数日使えば充分な海外旅行ができますし、LCCなどが普及してきていることもあり、海外はより身近なものになってきています。
(因みにモンゴルでの会議は自腹です。笑)

 

 

 オフィスのミカタの読者の多くの方が、人事・総務に携わる方々かと思います。言わば会社の制度の根幹を担う方々です。

 そんな皆さんに、社内でも海外にいくことを奨励する制度作りをお願いしたいのです。海外での刺激や体験は、仕事にも活かされてくるところが多々あると思います。

 金銭的な補助ができる会社も中にはあるかもしれませんが、まずは何より休みが取れる仕組み、環境と雰囲気づくり。Dialpadとしては、どこからでも働けるツールを提供しているベンダーの立場なので、お客さまから組織の制度作りなども相談いただくことが多いです。

 その辺りの人事制度や仕事環境については、また別の記事で触れさせていただければと思いますが、今回は私が社会全体に感じている課題意識からお話させていただきました。次回の掲載からは、テーマ別に深掘りしていければと思います。