オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

~アフターコロナの働き方~ 紙とハンコの文化からの脱出①

2020.06.15

 前回のいよいよ開国!場所と時間に囚われない働き方の実現では、企業側も個人も新しい制度の中で、場所と時間に囚われない働き方を!という話をしました。

 緊急事態宣言のもと、本格的な在宅勤務をせざるを得ない中で「紙とハンコ」のために出勤しなければならない人もいました(私もその一人でした・・)。

 本当の意味でのテレワーク、「場所に囚われない働き方」を実現するためには、どうしてもデジタル化は避けては通れないでしょう。

 これをきっかけに、日本も「紙とハンコ」文化を脱出し、デジタル化をどんどん進められたらと思っています。

 その中で今回は、デジタル化の第一歩とも言うべき「電子契約」についてお伝えしていきたいと思います。

電子契約って何?(広義の電子契約と狭義の電子契約)

 そもそも「電子契約」とは何でしょうか?

 Amazonや楽天などのECサイトを利用して買い物をすること、実はそれらもすべて電子契約です。

 口頭でもなく、書面でもなく、電子情報を利用して契約を行うこと、その契約自体を当社では便宜上「広義の電子契約」と定義しています。

 「広義の電子契約」は既に頻繁に行われていますが、合意の明確化が必要な取引であったり、金額の大きな契約に代表される一定の重要な契約は、これまでの慣行に従い、「紙の契約書に実印で」と頑なに電子化されずにきました。

 それが最近ようやくそのような重要な契約も電子化するという流れになってきており、「電子契約」というワードが急速に広まっていると同時に、「アフターコロナの働き方」を検討するにあたり、電子契約の導入を検討する企業も急激に増えています。

電子署名の必要性とその重要性

 それでは、このように電子契約の機運が盛り上がっている中で、電子契約システムはどのようなものを導入すべきなのでしょうか。

 電子契約システムを導入するにあたってのポイントは、「契約当事者が電子署名を行なうシステムであるか否か」にあります。

 ここで、電子署名とは、電子化された文書に対して行われる電子的な署名をいい、紙文書では実印で押印することに相当します。

 当社では、契約当事者が電子署名を用いて締結する電子契約のことを便宜上、「狭義の電子契約」と呼んでいます。

 それではなぜ、契約当事者が電子署名を行うことがシステム導入において重要なポイントになるのでしょうか。

 電子署名を用いない「広義の電子契約」は、あまりに容易に利用できる反面、その効果として、利用者が見えにくいインターネット上で契約の当事者が誰であるかが重要な構成要素である契約行為においては、契約締結後のリスクが生ずる可能性が高いと考えられます。

 これに対し、「狭義の電子契約」では電子署名を用いて契約行為が行われるため、本人性が高く担保されることになります。

 電子署名には暗号化の技術が用いられており、これを公開鍵認証基盤(PKI=Public Key Infrastructure)といいます。

 公開鍵認証基盤(PKI)とは、公開鍵暗号方式に基づく電子認証の技術基盤であり、具体的には、本人のみ持つことができる秘密鍵で暗号化し、公開鍵が格納された電子証明書を付して電子ファイルを相手方に送付、秘密鍵とペアになっている公開鍵で復号できれば、本人性が高く担保できます。また、公開鍵暗号方式では暗号、復号処理にハッシュ関数を利用していますので、文書の非改ざん性も担保できる仕組みとなります。

 つまり、①秘密鍵による暗号化(電子署名)、②公開鍵による復号化、③公開鍵と電子証明書の組み合わせ、により本人性と文書の改ざんの有無が検知されるので、「本人性」「非改ざん性」がともに担保され、安心安全な電子商取引が実現されることになるのです。

 当社ではさらに、認定タイムスタンプも用いることによって、「いつ」契約したかについて証明できるようにしています。
 電子署名と認定タイムスタンプを同時に電子契約に用いることによって、「いつ」「誰が」「何を」契約したかについて技術的に証明することが可能となり、電子契約の安心性・安全性をより確実なものにできるのです。

 以上のことから、前述のような合意の明確化が必要な取引であったり、金額の大きな契約に代表される一定の重要な契約については、その性質上、電子署名を用いない「広義の電子契約」ではなく、電子署名を用いた「狭義の電子契約」で行うべきであり、電子契約システムの導入を検討する際は、ぜひ「電子署名」をポイントに検討してほしいと思います。

 「場所に囚われない働き方」を実現するにしても、「本当に本人が契約したのか?」「契約書の内容は改ざんされていないか?」などと危なっかしい取引はしたくないものです。

 「アフターコロナの働き方」の中、デジタル化の第一歩として電子契約システムを導入する際は「電子署名」をポイントに検討してもらえたらと思います。

 電子契約システムを導入した次に起こりうる問題については次回・・!