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バックオフィスこそ、ワークフローで業務変革を

2020.06.08

 働き方改革、東京オリンピック開催を目指したオフピーク対策などが叫ばれる中で起きた新型コロナウイルス(COVID-19)。感染防止・拡大防止対策としてテレワーク体制が挙げられますが、業種や業態によっては難しい場合もあります。収束の基準は国や地域によって異なるなど、企業は“平時”の業務体制をいかに考えるか、今まさに再検討を迫られていると言ってよいでしょう。この問題に大きくかかわるのが企業活動を支えるバックオフィスの存在です。
 バックオフィスの業務はどの企業にも存在します。なおかつ、バックオフィスは企業運営の血管であり、バックオフィスの業務・働き方は企業の意思決定のスピードと質を大きく左右する存在です。この連載では業種・業界を超えて3,000社以上のワークフローに向き合ってきた知見を活かし、バックオフィスという業務・働き方について新しい働き方への課題や、改善の着眼点、解決の方法についてお伝えしていきます。

紙業務の限界

 皆さん、はじめまして。ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッド代表で、今年の4月からワークフロー総研を立ち上げた岡本です。エイトレッドでは設立以来、業種・業界・企業規模を問わず3,000社を超えるお客様に弊社のワークフローシステムを導入していただいています。この連載ではエイトレッドとして見てきたお客様の課題感などを交えながらも、ワークフロー総研所長として、より中立的な観点で働き方やワークフローについてお伝えしていきたいと思っています。

 さて、本題に入りましょう。バックオフィスの皆さんは働き方改革、どのように着手されていますか? 今はテレワーク体制への移行の準備や定着化を検討されている最中でしょうか。その際の会話をちょっと思い出していただきたいのですが、なんらかの業務改善のとっかかりとして「この書類をどうすればよいか」「この申請業務、どうにかならないか」といった会話はなかったでしょうか。実は、この会話こそとても重要なポイントです。
 
 この会話の後、きっと皆さんは紙の書類にまつわる業務を見直されるでしょう。しかし、それは記入項目を修正すればよいのか、電子化をすればよいのか、それとも申請のステップを見直せばよいのか、あるいは承認や決裁のスピードが問題なのか......一体何が課題で、何から手を付けてよいのか分からなくなってしまった。そしてその結果、情報収集もうまくいかず、改善には至らなかったというご経験はないでしょうか。このように、よく聞く会話であろう「この書類をどうすればよいか」では、残念ながらバックオフィスが抱える課題を的確に捉えることができないということが分かります。では、どのような言葉が課題を的確に捉え、改善の情報収集、実行までを繋ぐ共通言語になるのでしょうか。それが「ワークフロー」です。聞き慣れない横文字かもしれませんが、次からの段落で、ワークフローの定義やワークフローがカバーする領域をお伝えしていきます。読み終えたときには「ワークフロー」を使って気軽な気持ちで業務改善について考えていただけるようになっていれば、と願っています。

ワークフローとは?

 前段お伝えしたような状況が起きてしまうのはやはり、「ワークフロー」という言葉を聞いたことがある方が圧倒的に少ないからだと考えています。ワークフローとは様々な表現の仕方はありますが、概ね「ある業務そのものと、その業務の流れ」と定義しています(上図)。業務プロセス、業務フローといった単語のほうが聞き慣れている方は多いかもしれませんね。これらは概念としては近いものですが、それらとワークフローとの違いとしては、ワークフローのほうがより具体的な一つひとつの業務まで含めて表現できるというイメージでしょうか。
 
 簡単な例で言えば、ある申請をしたいAさんが申請書を作成し(書類作成作業)→課長に渡し(承認作業)→部長の決裁をもらう(決裁作業)といった「申請業務」の一連の流れのことです。このようなシンプルな業務もワークフローと呼ぶとすると、「xxさん、課長に確認してもらったあと、部長に決裁をもらってください」「xxさん、この書類を部長のハンコをもらって、総務に提出しておいてください」といった依頼はすべてワークフローと呼ぶことができますね。組織の規模によっては関係者も多くなり、部や課を超えて社内の様々な組織が関わるような、複雑で大規模なワークフローも存在するでしょう。

 実は、整理や分析といった「人 対 データや課題」といった部類のものを除けば、仕事のほとんどはワークフローが生じ、その中で動いていると言えます。つまり、共有、回覧、承認、決裁、依頼が発生する「人 対 人」の仕事はワークフローが発生していると言えます。気づかない間に、ワークフローの中で皆さんが働かれていたということにお気づきいただけたでしょうか。

ワークフローを知ると、何が変わる?

 ワークフローという言葉をご理解いただいた次は、ワークフローの概念を活用していただくステップに進みましょう。
 
 皆さんにワークフローを知っていただくメリットは、次の3つがあると考えています。

1)「この書類をどうすればよいか」より、的確に現状の課題を捉えることができる
2)全員で共通認識を持つことができる
3)適切な言葉で適切な情報収集ができるようになる

分解して見ていきましょう。

1)「この書類をどうすればよいか」より、的確に現状の課題を捉えることができる

 「この書類をどうすればよいか」をワークフローという言葉で置き換えてみると、「このワークフローをどうすればよいか」になります。前段の定義を知っている皆さんは、「このワークフローでは、どこでどのような課題があるだろうか」という問いからスタートして、一連の業務の流れや一つひとつの作業、そのワークフローの中で使う書類の扱いなど、様々な観点から改善活動に着手することができます。「この書類」というように断片的ではなく、全体を通して課題を見つけることができるのです。この視点は、次の共通認識を持つことができるということにつながります。

2)全員で共通認識を持つことができる

 ワークフローという言葉を知っていれば、「このワークフローどうしようか」、「あのワークフローを改善してみましょう」という会話が生まれやすくなると思います。また、「この業務」から「このワークフロー」と言い方を変えることは、立場や役職、職種も異なる関係者全員が共通認識を持てるようになるだけでなく、業務の流れを定義することにもつながります。定義ができれば、業務の棚卸しができるようになるのです。

3)適切な言葉で適切な情報収集ができるようになる

 適切な言葉を見つければ、現場でワークフローに関わる様々な課題を見つけることができます。そして課題を言語化し認識することができれば、情報収集ができるようになります。現在はワークフローシステムはじめ、課題を解決するための様々なツールがあり、各ベンダーはノウハウなどを情報提供しています。ぜひ近しい課題を持つ事例を探してみてください。

ワークフローと総務、人事、経理領域が交わった先に

 このコロナ禍における働き方の課題で多く挙げられるのは紙、ハンコ問題だろうと思います。多くのテレワーク実態調査結果が発表されていますが、契約書や請求書、その他様々な申請書といった社内外の文書の処理・決裁が物理的な紙で行われているために、少なくない方々が無理な出社を余儀なくされています。こうした文書の処理や保管に総務、人事、経理含めたバックオフィスの皆さんが大きく関わられているのは、あえて申し上げる必要はありませんね。今がバックオフィスの変わり時であると、気づいていらっしゃる方は多いでしょう。私自身も同じ考えです。このタイミングでバックオフィスの働き方を変えることができれば、バックオフィスから会社全体の運営を変えることができると考えています。
 
 バックオフィスの業務の特徴は、全社横断であること、そして経営に直結するということだと思います。そのバックオフィスが変われば、フロント業務の生産性も、さらには経営の意思決定の質も向上させることができます。ぜひ「ワークフロー」を知っていただいて、バックオフィスの皆さんの課題を見つける一つの出発点として、活用していただければ幸いです。