2021年のDX推進は、時間泥棒でやりがい搾取の犯人 ”名もなき仕事”を減らすところから。
2020年までに多くの企業が、DX(Digital Transformation)推進に取り組み、部分的なデジタル化を意味するデジタルパッチ(デジタルの適用)の段階、オペレーション全体を変革し高度化するデジタルインテグレーション(デジタルの融合)の段階、既存のビジネスモデルから脱却し新たなモデルへ進化するデジタルトランスフォーメーションの段階。段階は違えど、何かに取り組み進捗が思うように進まない企業の姿をよく見てきました。
そこで、このコラムでは何からやるのが良いのかを改めてご紹介します。そのキーワードが”名もなき仕事”です。
時間泥棒でやりがい搾取の犯人。名もなき仕事とは?
名もなき仕事とは、他の人にこんな仕事をしていると伝えられないスキマ仕事と定義しています。
1日があっというまに終わっているが、他の方に「あなたは、今日1日何をしていたの?」と聞かれた際に、うまく答えられていないものは名もなき仕事です。うまく言語化できていないが、やらなくてはいけない。やらなくてはいけないから時間が奪われるが、評価されずやりがいが奪われるのが名もなき仕事の悪いところです。
■名もなき仕事の例
コロナ禍で名もなき仕事がさらに急増。
名もなき仕事は、最悪なことに有事の際に増えるという性質があり、それはコロナ禍も同様です。最近バックオフィスの方は、より忙しくよりやらないといけないことが増えていると推察しております。ただ、経営者の方に何をやっているかが正しく伝わっていないということはないでしょうか。そんな時は、コロナ禍で増えている名もなき仕事の例を活用して、こんなこともやらないといけない、やっているという表明にご活用ください。
■コロナ禍で増えた名もなき仕事の例
どうやって名もなき仕事を減らしていけばいいのか?
名もなき仕事を減らしていくためには、まず、名もなき仕事を言語化してどのくらい時間がかかり、頻度があるのかを可視化することが重要です。一例として名もなき仕事が生まれがちな19カテゴリーを挙げました。1つのカテゴリーごとに名もなき仕事を列挙してみてください。1つのカテゴリーごとにいくつ名もなき仕事を発見していただいても構いません。このリストが増えれば増えるほどあなたの時間を奪っている時間泥棒が見つかります。
次にそれぞれの仕事において1回あたり平均で何分くらい時間をかけているか、1ヶ月あたり何回程度やっているかを算出してみてください。そうすると月間にどの程度名もなき仕事に時間を割いているかということが見えてきます。なお、この作業で最も大事なことは、きっちり時間を測ろうとし過ぎないことです。だいたいの時間や頻度の確認で構いません。そうしないとこの時間や頻度を測ること自体が名もなき仕事になりかねませんので、ご注意ください。
■名もなき仕事チェックリスト
デジタルパッチで名もなき仕事をやっつける。
名もなき仕事のチェックリストができた後は、工数の大きいものからデジタル適用して工数を減らしていきましょう。だいたいの方は、このリストができるとこんなに時間をかけていたのかと、メラメラと変えたくなる気持ちが生まれてきます。
デジタル適用と言ってもいきなりRPA(Robotic Process Automation)やAIを活用するデジタルインテグレーションの段階に進む必要はありません。まずは手書きでやっていたことをWEBやスマートフォンのアプリケーション、クラウドのサービスを使って違う手段に代替する。ExcelやWordを使って個人で管理していたものを他者と共有できるファイルサーバーやデータベースで管理するなど様々な手段を調べ、導入するまでにかかる時間・費用・削減効果の3点で比較して、現時点でかかっている工数よりも明らかに効果がある場合には変更していくということをお勧めします。
今後のコラムでは、どんな手段があるか、それぞれ手段を進めていく際にどんなことに気をつけなくてはいけないかといったことに触れていきます。