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パラレルワーカーが考える 「企業が知っておくべき  『複業/副業』の概念」 ~これから「副業」を取り入れる企業が考えるべきこと~

2021.03.10

 前回は「今までの『副業』と『ビヨンド副業』の違い」をお話ししました。しかし、そうは言っても未だに副業を禁止していたり文化として推奨していなかったり、という企業は多いかと思います。確かに企業側から見ると、なかなかメリットが分かりづらいかもしれません。「本業がおろそかにならないか」「どうやってルールを作ればいいのか」など心配事も多いのではないでしょうか。
 今回は、今まで副業を取り入れてこなかった企業が、副業についてどう考えていけばいいかを紐解いていきたいと思います。

副業禁止の「正社員」「終身雇用」は今後も続いていくのか

 「副業」の話をする前に、日本の現状をまず見つめてみましょう。長年、少子高齢化による労働人口の減少が取りざたされていますが、ここから人口増に転じるのはもう無理だ、とする学者の話も良く耳にします。例えば、パーソル総合研究所・中央大学の出した「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には、7,073万人の労働需要に対し、6,429万人しか労働供給が無い、という試算があります。つまり、644万人も不足する、というのです。
 一般的にはAIや人工知能の発展、女性の活躍のほか、定年を遅らせたり外国人労働者を増やしたり、色々な手法が考えられていますが、私は、副業の推奨も労働人口減少の問題を解く鍵の1つとなると思っています。
 労働人口が減る、ということは1つの企業が1人を「副業を禁止した正社員として」「終身雇用する」、つまり独り占めする、ということが難しくなると考えられます。人材が不足するにつれて次第に、優秀な人材であるほど良い条件を提示しなければ手に入らない、という状態になっていくからです。そうすると、労働者が満足できる条件を提示できない会社は足りない人材でできる事業のみをするのか、フルタイムではない人材を複数雇っていくか、という方向に舵を切らざるを得なくなります。
 一方、企業寿命の短命化もあり、即戦力となる人材の確保や従業員の自立を求める企業も増えているでしょう。その際も副業人材を登用する・従業員に副業を認めることで対応できます。
 そしてVUCA時代の対策という点でも効果的な解決手段です。これまで以上に誰もが予測できなかった変化がおき、その都度企業が良いスピードで成長し続けていくためには、人材の入れ替わり、アップデートがないと厳しいでしょう。しかし、新しいスキルを持った人材が必要になるたびにフルタイムのいわゆる「終身雇用の正社員」を雇用することは現実的ではありません。また、事業の内容や形態が変わることで、持っていたスキルが無用の長物になってしまう社員もいるでしょう。だからこそ、個人が副業をしたいと言っているから許可する、ではなく、会社側としても他社と能力がある人材をシェアする、という視点が必要だと考えています。
 とはいえ、一般企業で副業を解禁する、となると、ただ「副業OKになりました」というだけではなかなか推進が難しいと思っています。どのようなことに気を付けて進めていくべきなのでしょうか。

副業を解禁する際に気を付けるべきこととは

 今まで副業を表立って禁止、もしくは暗黙の了解でNGとしてきた企業の場合、副業を解禁するにあたり気を付けるべきことが3つあります。
 1つ目は、副業を始めた社員のマネジメント。これは初歩の初歩で想像がつきやすいでしょうし、個人の責任もありますが、タイムマネジメントが苦手な場合、本業に支障をきたしてしまう場合があります。自社の労働環境とバランスがとれる副業なのか、マネジメントする立場の人間が気にかける必要があるかもしれません。
 2つ目は、同業、もしくは類似業務の副業をどこまで可能とするかです。これは規則で定める必要があるケースもあります。例えば、特定の競合他社のみNGとする、同業種すべてNGとする、機密性が高い業種で隣接する業務の企業全てNGとする、など会社側で規定しておく必要があるでしょう。
 3つ目は、社員全体の考え方です。これが一番難しいかもしれません。副業可能、と会社側から通達したとしても、年長の社員や役職者が「副業をするぐらいなら本業に打ち込むべきだ」と考えている場合もあります。例えば否定的な社員が副業をしている他の社員に苦言を呈したり、否定的な姿勢だったりすると、前向きな気持ちで副業に挑戦してみたいと考えている社員の出鼻がくじかれてしまうこともあるでしょう。もし、会社として副業を認めるのであれば、会社全体が「社員が自分の『やりたい』に挑戦している姿を応援している」という姿勢を打ち出す必要があるのです。

企業にとって手軽な「副業人材活用法」

 ここまで読んで「自社ではまだまだ副業を応援するのは難しそうだ」となっている読者の方も多いと思います。そのような時は、まず副業の人と一緒に仕事をしてみて、取り入れ方を探ってみる、というのはいかがでしょうか。

 例えば、「業務委託での外部の副業人材活用」というやり方です。
 今、全ての業務を自社社員で賄っている場合「ちょっと○○がわかる人がいれば…」と思うことや、「人を1人雇用するほどではないが、定期的に特殊なスキルがいる業務が発生している」ということはありませんか?
 そんな時に考えてほしいのが「他社で働いている人材に『副業として』自社の仕事をしてもらう」というパターンです。あるいは、やりたくても社内リソースが厳しくて断念していた業務でもよいでしょう。もちろん、フルタイムではなく週に数回だったりリモートだったり、もしくは期間を限定したり、など条件を定める必要はありますが、自社社員に副業を解禁するよりは、業務委託等で手軽に試すことができるのではないかと思います。
 一方で、「外注業務を副業人材とプロジェクトを組んで取り組む」のも一つの手段です。
 例えば「これは自社の領域ではないから」と外注に丸投げしていることはありませんか? そして、アウトプットを見て、「思ったのとちょっと違う…」ということや、思いのほかお金がかかった、ということはありませんか。自社の業務領域からそれほど離れてないのであれば、完全に外注してしまうよりも一緒に作り上げたほうがより思い通りのものが出来上がることも多いかと思います。報酬や責任問題などで難しい部分はあるかもしれませんが、完全に外注、とするよりは自社にノウハウも残りますし、新たな風を入れるきっかけになるでしょう。
 今回は企業側から見た副業の考え方についてお話ししました。次回は、パラレルワーカーの私の実体験はもちろん、正社員をしながら副業をしている友人、同僚がどのように企業と付き合っているかなど、具体例を挙げながらお話ししたいと思いますのでお楽しみに!