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介護と仕事の両立に向けた「介護施設入居」という選択肢③役所も教えてくれない!介護施設の正しい選び方

2021.12.03

前回は「人事部として知っておきたい、介護施設4つの種類」 というコラムで、介護施設選びの中でよく選択肢にあがる種別と、どのような人におすすめしたいかを解説しました。
親が生涯暮らすかもしれないという介護施設は、慎重に選びたいと多くの人が考えるでしょう。仕事をしながら情報を集め、複数の施設見学をするのは大変な労力を使います。
今回は、自分たちに合った施設を見極めるために、施設を選ぶ際の手順、決め手、注意点について分かりやすく解説します。

介護施設は「合うか・合わないか」

介護施設を選ぶとき、どうすれば失敗を防ぐことができるかは多くの人が気になるポイントでしょう。身も蓋もない話ですが、どんなに評判の良い施設だとしても、その施設が合うか合わないかは入居してみなければ分かりません。なぜなら、それを判断するのは施設を見学した家族ではなく、入居する本人だからです。

ただし、介護施設のミスマッチが起こる背景には、「理想と現実のギャップ」にあります。そのギャップを減らすためには、施設が提供するサービス内容や、要望にどこまで対応してくれるのかをしっかりと確認しておくことが大切です。また、それを隠さずに教えてくれる施設であれば、ギャップが生じるリスクが低いとも言えるでしょう。

施設の対応について知るには情報収集が不可欠です。まずは入居の目的と条件を整理して、情報収集のポイントを絞りましょう。特に「目的・価格・場所・要望」の4点について、事前にまとめておくことが大切です。

入居に必要な4つの視点

ここからは目的・価格・場所・要望の4点について、どのように整理するかを見ていきましょう。

① 目的
多くの人は「終の住処」として、介護施設への長期入居を前提としています。しかし、なかには「住宅リフォームの間の数ヶ月だけ」「家庭の事情で数週間だけ」など、短期間の利用を希望する人もいらっしゃいます。また「施設でリハビリを頑張って、また自宅に帰りたい」と考える人もいるかもしれません。何のために、どのくらいの期間入居したいのか、親も含めて話し合っておきましょう。

② 価格
入居にかかる費用は、親の預貯金や年収から予算を立てます。親の資産を確認せずに入居施設を決めてしまうと、予定外の金銭的な支援が必要になることもあるので、必ず確認しましょう。
もし予算が合わない場合は、郊外の施設も検討しましょう。費用は不動産価値と連動するため、都市部や駅チカ物件は高額で、郊外に移るほど安価になる傾向があります。検討エリアを広げることで選択肢も増えてきます。

③ 場所
検討エリアは多くの場合、親の住む実家の近くか、子どもの自宅近くかを選ぶことになります。私の経験上、子どもの自宅近くで探す人が多くいらっしゃいました。なぜなら、入居後に面会に通うのは子どもだからです。介護施設の居室はビジネスホテルのようなワンルームタイプが主流です。衣替えなどで都度必要なものを家族が持っていくことになります。そのため、通いやすい立地は重要なポイントです。

入居するご本人としては「住み慣れた土地がいい」と考える人もいます。しかし、多くの人は介護が必要で自由に外出することは難しく、施設内で過ごす時間が多くなります。そのため、住みなれた土地というより「施設内の快適さ」を重視する方がおすすめです。

④ 要望
個別の要望については、「必要なケア」と「充実した生活」の2つの視点で整理しましょう。

まず必要なケアですが、例えば看護師が行うような「医療的ケア」に対応してもらえるか。病院と同じような「リハビリ」を受けたい。ソフト食やきざみ食といった「食事形態」に配慮が必要な場合は対応してもらえるか。といったケアへの要望があればまとめておきましょう。

また、施設での生活を充実させるために、「どんな事に興味があるのか」「趣味は何か」なども整理しておくと良いでしょう。麻雀が好きな人は一緒に遊べる仲間がいる施設を、書道や華道にチャレンジしたい人はレクリエーションが豊富な施設を希望条件に入れるとよいでしょう。

建物は介護してくれない!見学で見るべき3つのポイント

介護施設選びで最も重要なプロセスが見学です。インターネットやパンフレットに掲載されている写真と実物が違い、驚くこともあります。実際に足を運び、あらゆることを自分の目で確認することが大切です。見学の際に見るべきポイントは「①職員の対応」「②入居者の表情」「③清掃状況」の3つです。

① 職員の対応
一般的な賃貸物件と介護施設の決定的な違いとは何でしょうか?それは、「職員が介護をする」という点です。生活の質を高める大きな要因は建物が新築かどうか、豪華な設備の有無ではありません。そこに信頼できるスタッフがいるかどうかです。そのため、見学時は職員の対応をよく観察します。

見学当日は、館内を案内してくれる入居相談員が付きます。介護施設を検討したきっかけや、入居する人の身体状態についていくつか質問を受けると思います。当然、見学者も不明な点は質問し不安や疑問を解消します。
そのとき、どんな質問にも誠実に回答してくれたか。入居後にどんな生活が待っているか具体的な説明はあったか。

また、責任者である施設長は信頼できそうな人か。主観で判断することになりますが、入居後も相談事をする際は関わるので、相性の合う・合わないは大切です。

② 入居者の表情
見学時に、入居者が楽しそうに過ごしているか、生き生きとしているかなど表情も観察しましょう。「この施設に入居したら、自分の親もこういう表情をするのだろうな」という視点でチェックすることが大切です。もしもレクリエーションに立ち会えたら、参加率や人気のレクなども確認しておきましょう。

併せて介護スタッフが入居者にどう接しているか、接遇面もチェックします。入居者と同じ目線で会話をしているか、背後から話しかけていないか、立ち止まって挨拶をしているかなどを確認するとよいでしょう。

また、見学でおすすめしたい時間帯は、入居者が一堂に会するランチタイムです。食事介助が必要な方には丁寧な対応をしているのか。慌ただしい雰囲気で雑に扱われてはいないか。といった点も見るべきポイントです。

③ 清掃状況
清掃状況は衛生面だけでなく、臭い対策を行っているかという点でも重要です。清掃が行き届いている施設は換気にも気を配っているので、施設特有のにおいがしづらいのです。

まず、施設に入ったときの第一印象が重要です。玄関が汚れていたり、落ち葉やホコリが溜まっていたりする施設は、私の経験上、清掃が行き届いていないことが多いです。居室の清掃もどのくらいの頻度で行われているかチェックしましょう。

また、清掃は誰が行っているのかも確認します。外注している施設では介護スタッフが清掃を行う必要がないため、入居者のケアに専念することができます。

見学時間はなるべく日中がよいでしょう。明るい時間帯のほうが施設の様子がわかりやすく、勤務するスタッフ数も多いため、いろいろなことに気づきやすいです。

老人ホームもオンライン見学する時代

老人ホームのオンライン見学とは、不動産業界で普及しつつある「オンライン内見」と同じくビデオ通話で行います。オンラインで介護施設の見学を行うものです。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの施設が導入し、LIFULL介護ではオンライン見学に対応した施設が1200ヶ所を越えました。

オンライン見学は移動の必要がないため、時間と費用のコストを抑えられるというメリットがあります。所要時間は1時間から1時間半ほど。交通費をかけずに、仕事の合間に見学することもできます。

ただし、現在のところオンラインのみで契約までは完結できません。契約のため一度は施設へ足を運び最終確認する必要がありますが、そのほうがミスマッチも起こりにくくなると言えます。オンライン見学で5〜6ヶ所ほどを確認して絞り込み、そのうちの2~3ヶ所へ実際に足を運び見学するのがおすすめです。

老人ホームのオンライン見学の賢い利用法とは?

体験入居で契約前の最終確認

介護施設への入居に抵抗や不安がある場合は、体験入居を利用するのがおすすめです。体験入居とは、一泊〜一週間ほどお試しで入居し、介護サービスを受けたりレクリエーションに参加したりすることで、実際の生活を体験することができます。必須ではありませんが、一週間もいると施設での生活の流れがわかるので、ミスマッチを防ぐことにもつながります。

体験入居で特に問題がなければ、自宅に戻らずそのまま入居契約する、ということが一般的です。有料老人ホームの場合、一泊5,000円〜1万円程度で利用可能となっています。

ちなみに、体験入居は短期滞在の「ショートステイ」とは別物です。あくまで長期入居を前提とした「お試し入居」が体験入居となります。

見学のポイントは「人」、不安があればプロの力を借りる

介護施設選びで一番大切な工程は見学です。慣れないうちは建物や設備に目が行きがちですが、そこで働く人や入居する人にフォーカスして見学するようにしましょう。

介護施設選びはほとんどの人が初めての体験です。不安があれば、以前のコラム「 親の介護施設を効率的に探す方法 」でお伝えしたように、プロの相談員に頼ってみるのもおすすめです。

施設の探し方や選び方だけでなく、条件にあった施設の紹介をしてくれることもあります。LIFULL介護の入居相談室や老人ホーム紹介センターなどを活用してみましょう。

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