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【リモートワーク下における活力ある職場づくり】~メンバーの持ち味を味わう~

2022.07.07

前回は職場における「安心感の土壌づくり」に向けて、そのポイントとマネジャーとして固めておきたい姿勢についてお話をしました。その核心は「メンバーが“自分のことを見てくれている、わかってくれている、育てようとしてくれている”と感じること」でした。
そのためにも、メンバーの持ち味を味わうことが大事なわけですが、メンバーと一言で言っても、ベテランもいれば新人もいて、まさに十人十色です。「持ち味をつかむことの意味や価値はわかっているつもりだが、つかみ切れていない感じもする」というのが皆様の実感ではないでしょうか。
そこで、今回はメンバーの持ち味をつかむとは何をどうすることなのか、そして、メンバーを活かすとは?について考えてみたいと思います。

まずはエピソードをご覧ください。今回は、広告業界のある会社の営業支援を担う職場の話です。営業の人たちの契約管理や納品フォロー、ときには一緒になってお客様への提案書を作成する役割をしています。なお、この会社は、コロナ禍になり、在宅・出社どちらも選べる=一人ひとりが選択する、という勤務環境になっています。

エピソード“ここにはやりたい仕事がないという若手社員”

「うちの職場に3年目のAさんが異動してきました。Aさんは入社して2年間、営業の仕事を経験しました。今回の異動は、「新人のうちに営業を経験した人は、一度、営業を支える部署も経験させて職務適性を見出す」という会社方針の一環です。ところが、Aさんが異動してしばらくしたときに、リモート会議の場で“私にとってここにやりたい仕事はないんです”と言いだしたから、もう大変でした。他のメンバーの前で言ってしまったので、周りの皆さんの見る目が“期待の若手”から“部外者”に変わってしまって。一堂に会して会う機会もないので、真偽のほどもわからないままモヤモヤした雰囲気が漂ってしまいました。」

皆さんがこのマネジャーだったら、どんなことを感じ考えますか?

前回お話したように、まずは相手の立場に立ってみてみましょう。

はじめに、Aさんの立場に立つ
Aさんの置かれた現実でいうと、“(どうやら)やりたかった営業の仕事から異動”“異動初日から多くの人がリモートワークをしている”ということでしょうか?会社の方針とはいえ、少しずつ仕事にも慣れ、いよいよというところで異動になり、また一から覚え直し。新しい職場の人と知り合う機会もなかったことでしょう。
私がAさんだとしても、”自分のキャリアはどうなるのか?”という不安と多少なりともの不満が溜まります。ただ、ここまで明確に不満を口にするというのは、私にはできません。何があるのでしょうか?

次に、マネジャーとしてどうしたらよいか考えてみましょう
どうやらAさんは不安状態が先行しているようです。やはり「安心感の土壌づくり」を考える必要があると思います。ただ、Aさんがここまで不満を口にしたのは何でしょうか?何かここにAさんという人の考え方・感じ方を理解する入口があるように思います。

エピソードの顛末

「Aさんがあそこまでの表現をしたのがずっと不思議だったので、出社したときに一緒にランチにいきました。“そんなに営業やりかったの?”と聞いてみたら、Aさんから色々話してくれました。“学生時代にテニスをやっていたのですが、お互いが意見をぶつけながら活動できたというのがあって、いろんな人と意見をぶつけ合うようなコミュニケーションを取れる仕事をやりたいと思ってずっと営業を希望していました“とのことでした。”テニスで意見をぶつけ合う?どういうこと?“と聞いてみたら、”・・・実は自分はすぐケガをしてしまってこれ以上選手としては続けられなくなりました。ただ友達もいたので辞めたくないなと思って、自分に何かできることないかって考えたときに、彼らのために練習メニューを考えたり、試合を組んだりすることならできると思ったんです。自分が考えたメニューを巡ってみんなで意見を出し合ったりしているうちに、みんながどんどん強くなっていって“と話してくれました。正直”すごい!“と思いました。自分がケガした後にそこまで人の為に動けないだろうなと思いましたから。でも、これって、うちの部署の役割に近いかもと思い、改めてこの部署の仕事の面白さを話してみたら、Aさんも多少前向きになってくれて、まず営業の人たちの困りごとをヒアリングして改善案を創ることをやってもらうことにしました。」

エピソードから分かること~「メンバーの持ち味を掴む」ためのポイント

「メンバーの持ち味を把握する」ということはどのマネジメントの教科書でも書いてあります。しかし、何を掴むことが持ち味を掴むことになるのかということは案外はっきりできていないものです。その点から今回のエピソードを見てみると、
■メンバーの持ち味は、必ず過去~現在の体験の中に行動として表れている
ということであり、持ち味を掴むとは、
・何に喜んだり、怒ったり、悲しかったりしている人なのか
・自信の拠り所になっている体験はなにか
・どんな性格の仕事・どんな状況で力を発揮するタイプなのか

などを掴む事だと言えそうです。

中には、“ここまで明確にしないといけないの?”と思う方もいると思います。
コロナ禍以前であれば、コミュニケーション機会が豊富に存在し自然と持ち味を掴むことができました。しかし、リモートワーク時代になり、コミュニケーション機会が激減しました。そのため、何を掴むことが必要なのかを予め明確にして、そのための機会を“意図的に作る”ことが必要だと考えます。
定点観測ポイントを持っていますか?ということになります。このことは大事なことなので、また回を改めてお話ししたいと思いますが、1つ言えることは朝礼・昼食・1on1・・・実はリモートワーク時代であっても機会はいくらでもあるということです。日頃無自覚だったことを自覚的にやるだけで新たな発見があるでしょう。

では、持ち味を味わう際に大事な事は何でしょうか?
“色々話しかけたりしているけど、メンバーが警戒して話してくれない”ということはありませんか?この問題はいろんな角度から見つめる必要がありますが、ここでは少し、自分の胸に手を当てて考えてもらいたいと思います。

メンバーの持ち味を味わうより前に、マネジャーとしてメンバーを評価しようとしていませんか?

だれだって、評価されている・観察されていると思ったら警戒することでしょう。特にリモートワーク時代の少ない接点の中で評価が先になってしまえば、メンバーはより殻に閉じこもるのは当たり前です。
そうではなく、せっかく出会えた人同士、この人ってどんな人なんだろう?自分だったらこんな感じ方するのに、この人はこんな風に感じるんだ、面白い人だなぁ・・・素直にメンバーとの見方・感じ方の違いを楽しんでほしいと思います。言い換えると、素晴らしいところが必ずあるという前提でメンバーに接してほしいということでもあります。
そうしてみると、このマネジャーも「Aさんがあそこまでの表現を取ったのがずっと不思議だった」と「正直すごいと思った」なんて言っていますよね。
人事部門の方は、この機会に、会社の中に、メンバーとのコミュニケーションを楽しんでいるマネジャーがどれだけいるかを一度確認してみてください。

そして、もし幸運にもメンバーの持ち味が見えてきたと思ったら、メンバーの持ち味と仕事機会をつなぐことを意識してみてください。適材適所・適材適機会・・・これがマネジャーの皆様に与えられた最大の権限だと思います。

さて、今回は、若手社員を題材に持ち味を掴むことを考えてきました。しかし、お読みいただいている人たちの中には、それよりもベテラン、年上のメンバーに対して、どう接するのかということに関心がある方もいるでしょう。そこで、次回、その問題についてお話したいと思います。