広告掲載について オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

「働きづらさ」の正体と向き合い方~自分を知ること、仕組みで支えること~(前編)【1600社の組織開発支援から見えてきた「強い組織」の裏側 Vol.5】

2026.07.16
  • ツイート
  • はてなブックマーク
  • クリップしました

    マイページで確認できます

組織で働いていれば、「思っていた仕事と違う」「頑張っているのに評価されない」「苦手な人がいる」「なんとなく居場所がない」といった苦しみに直面することは珍しくありません。環境を変えなければ解消できないと思われがちですが、実は自分自身の捉え方や向き合い方を少し変えるだけで和らぐことも多いのです。

そこで、称賛・承認を起点とした組織づくりの最前線で企業の組織変革に伴走してきた私が、多くのビジネスパーソンが経験する4つの苦しみに焦点を当て、働きやすさや楽しさを感じながら仕事ができる方法をお伝えします。前編となる今回は、個人でできる視点の切り替え方について解説するので、組織で働くことに疲れたときはぜひお役立てください。

【過去のコラムはこちら!第1回/第2回/第3回/第4回

組織で働く苦しみは、誰もが経験する

会社として2000社以上の組織開発を支援するなかで、従業員の方々からさまざまな悩みを聞いてきました。業務内容へのミスマッチ、評価への不満、人間関係のストレス、そして孤独感や疎外感。立場や役割が違っても、こうした苦しみは驚くほど共通しています。

重要なのは、これらが「特別な問題」ではないということです。組織で働くということは、自分とは異なる価値観や仕事のスタイルを持つ人たちと協働するということです。考え方や感じ方が違う人同士が同じ目標に向かう以上、ズレや摩擦が生まれるのはむしろ自然なことであり、だからこそ誰もが経験しうるものだといえます。避けられないものだからこそ、向き合い方を知っておくことに価値があります。

今回のコラムでは、この4つの苦しみを取り上げ、前編では自分自身でできることを、後編ではマネージャーや組織としてできることを考えていきます。

【業務のミスマッチ】点ではなく線で仕事を捉え直す

「入社してみたら想像していた仕事と違った」「やりたい仕事ができていない」といった業務のミスマッチは、特に入社直後や異動直後に感じやすい苦しみです。

私自身にも似た経験があります。ハイタッチのカスタマーサクセス(※)に携わりたいと考えて入社しましたが、経験や実績を重ねるごとにマネジメントやセールスの側面も期待され、現在はそれらの業務にも取り組んでいます。当初は戸惑いもありましたが、今は会社のビジョンに共感しており、カスタマーサクセスもマネジメントもセールスもすべて「ビジョンを実現するための手段」として捉えています。

ここで気づいたのは、目の前の業務という"点"だけを見ていると不満やギャップを感じやすいということです。しかし、「自分は何を実現したいのか」「この会社で何を成し遂げたいのか」という"線"でつなげて見ると、一見関係なさそうな業務も、実はその実現に向かう道の途中にあることがわかります。

もちろん、業務に対する得意・不得意はあるので、すべてを楽しめるわけではないかもしれません。それでも、「この業務は自分が実現したいことにつながっている」という納得感があるだけで、日々の仕事に対する向き合い方は大きく変わります。

ポイントは、業務そのものだけにフォーカスするのではなく、その業務の先にあるものに目を向けることです。個々の業務はあくまで手段であり、その先には会社のビジョンや自分自身のキャリアにおける自己実現といった、より大きな目的があるはずです。「なぜ自分はここで働いているのか」を自分のなかで言語化できると、目の前の業務を"線"の一部として捉え直すことができ、ミスマッチだと思っていたものが実はミスマッチではなかったと気づけるはずです。

※専任担当者が定例MTGや個別提案などを通じて1対1で手厚く伴走する支援アプローチ

【評価への不満】自分の成長を言語化する

「頑張っているのに評価されない」「定量的に測れない仕事だから正当に見てもらえない」などの悩みは、特にバックオフィスやサポート業務を担うメンバーに多く見られるでしょう。もちろん、セールスなどでも直面しうる悩みです。

評価されないと感じたとき、つい環境や制度のせいにしたくなるかもしれません。もちろん、制度の問題はあるかもしれませんが、まず個人としてできることがあります。それは、自分がどう成長したかを自分の言葉で語れるようにしておくことです。上司に自分自身の成長度合いを伝えることで、自分の頑張りを認めてもらえるきっかけを作れるのです。

たとえばバックオフィス業務で、ワークフローの改善や社内制度の改変を実行したとします。そのとき、改善を実行したという事実や、それによって生まれた定量的な変化だけでなく、なぜ前まではそれができなかったのに今はできるようになったのかを振り返ってみてください。そこには必ず、知識が増えた、関係部署との調整力がついた、優先順位のつけ方が変わったなど、自分自身の成長があるはずです。

大切なのは、実績を語る際に自分がどんな成長をしたから、それを実現できたのかを主軸に置くことです。成長の要因を言語化することで、成果だけではなく成長として自分の頑張りを説明できるようになります。

評価は「待つもの」ではなく、自分から伝えにいくもの。成長を能動的に言語化し、伝える姿勢を持つことが、評価への不満を和らげる第一歩になります。

【苦手な人との人間関係】相手と己を知る

組織では、一緒に働く相手を自分で選ぶことができません。なかには性格が合わず苦手だと感じる人もいるかもしれませんが、苦手な人とのコミュニケーションはストレスの大きな要因となるでしょう。

苦手な相手に対してまず試してほしいのは、相手のことをよく知ることです。本人との対話はもちろん、周囲の人に「あの人ってどういう人?」と聞いてみるのも有効です。返ってくる答えが必ずしもポジティブなものとは限りませんが、それもまた相手を理解するためのヒントになります。

たとえば、「あの人はいつも不機嫌だ」という声があったとします。しかし、なぜ不機嫌に見えるのかを紐解いていくと、「集中しているときに話しかけられるのが苦手」「午前中は一人で考える時間を大切にしている」など、相手の特性が見えてきます。それがわかれば、話しかけるタイミングやコミュニケーションの取り方を工夫できます。相手を「不機嫌な人」というラベルで片づけるのではなく、その裏にあるパターンを理解しようとすることが大切です。

同時に重要なのが、自分はなぜその人が苦手なのかを、高い解像度で理解することです。「なんとなく苦手」で終わらせず、相手のどの言動が、自分のどんな感情を引き起こしているのかを具体的に言語化してみてください。たとえば、意見を否定されるのが怖いのか、話すテンポが合わないことにイライラしているのか。自己理解が深まると、相手の言動に対して過剰に反応することが減り、感情に振り回されにくくなります。

人間関係の苦しみを和らげるポイントは、「他者理解」と「自己理解」の両輪を回すことにあります。

【孤独感】上手に付き合うという選択肢

孤独感は、リモートワークに限った話ではなく、オフィスにいても感じることがあります。たとえば、異動して初めてのチームに加わったとき。すでに関係性ができあがっているなかに入っていくのは、それだけで心理的なハードルがあります。仲間外れにされたわけではなくても、オフィス内の空気感や使っている言葉が違うだけで、自分はここに馴染めていないのではないかと感じてしまうことがあるでしょう。

こうした孤独感と向き合ううえで知っておきたいのは、孤独は一過性のものではないということです。環境が変わるたび、メンバーが入れ替わるたびに、似たような感覚は繰り返し訪れます。だからこそ、「孤独をゼロにする」のではなく、「孤独感に振り回されない自分をつくる」というスタンスを持つことが有効です。

具体的には、状況の認識と感情の反応を分けて捉える習慣が役立ちます。たとえば異動先でチームの雰囲気に馴染めないと感じたとき、「馴染めていない」という認識と、「自分はここにいるべきではないのかもしれない」という感情は別のものです。前者はただの状況であり、後者は自分の解釈です。空気感が違うという事実は、それだけで自分を否定する理由にはなりません。しかし、この2つがセットになってしまうと、状況が変わらない限り感情もずっとついて回ることになります。

この切り離しは一朝一夕にはできませんが、意識的に繰り返すことで少しずつ身についていきます。そのたびに冷静に受け止められるようになれば、孤独感は自分を苦しめるものから、対処可能な感情のひとつへと変わっていきます。

まとめ

4つの苦しみへの向き合い方を振り返ると、共通して「自己理解」というキーワードが浮かび上がります。

業務のミスマッチでは、自分は何を実現したいのかを言語化すること。評価への不満があれば、自分がどう成長したかを整理すること。人間関係では、自分はなぜ苦手と感じるのかを掘り下げること。孤独感を抱いたら、自分の感情を客観的に眺めること。いずれも、まず自分自身を理解することが出発点になっています。

しかし、個人の努力だけには限界があります。特にキャリアが浅い若手メンバーにとって、こうした視点の転換を自力で行うのは簡単ではありません。後編では、マネージャーや組織がメンバーの苦しみに気づき、取り除くためにできることを考えていきます。