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気を付けるのは5月病だけじゃない!? 増え続ける「6月病」についての対策

2019.06.12

 新しい社会現象として「6月病」が増加している。5月病は、 GW明けに起きやすいものであり、頭痛や吐き気、睡眠障害など心身に大きなマイナスの影響を与えるものだ。5月病は、正式な病名ではないものの、心療内科や精神科を受診した場合、病名は自律神経失調症や適応障害と判断される。

 5月病が進行した場合、うつや統合失調症につながる可能性もあり、個人及び企業としても5月病の対策は非常に重要だ。そして、5月病を乗り越えたとしても「6月病」という新たな発症リスクがあるのだ。

 では、5月病の症状をふまえたうえで、「6月病」とはどういった症状を引き起こすものなのだろうか。ここでは、「6月病」の具体的な症状と発症するまでの流れや対策などについてみていこう。

「6月病」の原因と発症までの流れ

 「6月病」の発症の原因は、5月病と同様に環境に対する変化が心身に大きなストレスを掛けることによって起こるものだ。5月病と発症原因は同じであるものの、特徴として「6月病」は5月病を乗り切ったあとに心身に対する不調が表れる。また、新卒者の方が発症しやすい傾向にあるものの、すべての人が「6月病」を発症する可能性があるのだ。


 5月・6月は新卒者の退職が多い時期でもある。日本の企業の傾向として、新卒者の30%は3ヶ月以内に退職するといった統計も無視できない。しかし、5月病と「6月病」の増加から考えると新卒者の退職原因は、会社に対する見限りや将来に対する不安だけではないことが予想できる。また、新卒者に限らず、社内で人事異動などの環境の変化があった場合には、5月・6月はとくに心身的なケアが必要な時期だといえるだろう。

 5月・6月は、新入社員の場合であれば、GWを挟み研修期間が終了し本格的に現場に配属される時期であり、大きな環境の変化が離職率の高さと「6月病」の発症につながっていると判断できる。

 5月病は、GWを挟むことによって仕事に対する意欲や緊張感が失われることから始まる。
例えば、4月は入社や企業内の配属転換といった行事が多く、新体制となることがほとんどだ。そのうえで、新卒者と従業員は新しい環境の中で業務を行う必要がある。そういった環境の変化も5月病と「6月病」の原因となる可能性が高い。


・「6月病」発症までの流れ
 「6月病」は5月病と同じく突然発症するわけではない。精神的なストレスが原因であるとしても、普段から抱えている悩みや不安が心身を徐々に蝕んでいくものだ。また、6月は湿気が多く晴れやかな空気となることは実際に少ない。そのため、心をゆううつな気分とさせることが多く、「6月病」の要因の1つとなっている。

 「6月病」の具体的な症状をみてみると、
 ・イライラが止まらない
 ・気持ちが落ち込みやすい
 ・夜中に何度目が覚める
 ・やる気が出ない
といったものが多い。これらの症状は一つ一つは日常的に起こる可能性があるものだ。しかし、これらの症状が一気に心身に表れる場合は、「6月病」の可能性が高い。人によって症状の程度は分かれるものの、自分では対処できないほど大きなマイナスの影響があり、日常生活に支障を来たすことも多い。

 発症までの一連の流れを見てみよう。例えば、新入社員の場合、4月に熱意を持って入社したとしても5月、6月と実業務を行うことによって、現実と理想の差に悩むことになり5月病や「6月病」の発症につながる。また、「6月病」は5月病を乗り越えたあとに発症する可能性があり、GWを挟んだうえで気持ちを立て直したとしても油断はできないものだといえるだろう。

 5月病と「6月病」は、社会人であれば誰でも発症する可能性があり、転勤が多い職業や研修が終了した新入社員だけでなく、ベテラン社員も気を付けなければいけない。生産性の低下や利益の減少などを招くおそれもあるため、企業としても5月病及び「6月病」に対して具体的な施策を行う必要があるといえるだろう。

効果的な「6月病」対策とは

 「6月病」の原因は、個人が抱えている悩みをうまく消化できないことにある。そのため、ストレスや悩みを解消する対策が必要だ。ここでは個人と企業に分けて対策を解説していく。

【個人で行える対策】
1.会話によるストレスの解消
 コミュニケーションによるストレスの解消は、非常に重要だ。会社の業務に関するものは、口外できないものもある。しかし、信頼できる友人などには自分の悩みを打ち明けることは可能だ。

 悩みを打ち明けることによって、一定の対処法や指針を考慮できる可能性も高い。そのため、悩みが尽きないなどといった場合には信頼できる人々に話をすることが「6月病」の対策となる。


2.規則正しい生活を心がける
 人間の体内時計は一度狂ってしまえば、修正するのに相当の時間が掛かる。しかし、生活習慣を改善することによって、体内時計を正常に戻し、質が伴った睡眠がとれるようになるだろう。ちなみに、睡眠障害は「6月病」の症状の1つだ。眠りの質が悪く、何度も目が覚めるといった場合、規則正しい生活で改善できる可能性が高い。

 また、規則正しい生活を行う際には、食事の内容もバランスのとれたものに変化させることでより効果的となる。


3.心のオンとオフをコントロールする
 人によっては難しいパターンもあり得るものの、仕事とプライベートの切り替えは非常に重要だ。例えば、心がいつも緊張している場合、心身に大きな負荷が掛かることは容易に想像できる。自分では気付いていないとしても、ストレスは溜まり続けることになる。

 そのため、プライベートでは自分の趣味・趣向を充実させる、ショッピングに出かける、などといった切り換えが重要だ。また、プライベートが充実していれば仕事に対する考え方も前向きに変化するため、自分にあった心のコントロールを行おう。


【企業が行える対策】
1.管理職に対する研修を行う
 5月病と「6月病」は、コミュニケーションによって改善できる。しかし、単純に接触の機会を多くするだけでなく、部下の悩みなどに対しては上司がマネジメントを行う必要がある。

 例えば、同僚などに言えない悩みも上司に相談することによって解決することも多い。そのため、企業として研修を行うことによって適切なケアや具体的な対策が行えるようになるだろう。


2.産業医の活用
 業務を行う場合、業務内容や人間関係など非常に様々な場面で負荷が掛かることは多い。また、上司や同僚に対して相談できない悩み事を抱えているパターンもある。

 そのような場合は、定期的に産業医などを活用することによって症状の発症を抑えることが可能だ。また、働き方改革においても産業医を有効に活用し、従業員の心身を守ることが重要となるため、相談場所がない場合は創設するなども有効な対策だといえる。

まとめ

 「6月病」は、すべての人が発症する可能性を持つ症状だ。5月病を乗り切ったとしても、「6月病」を発症する可能性はいつでもある。

 しかし、個人だけでなく企業としても対策を行っておくことで「6月病」の発症を抑えることが可能だ。場合によっては、医師の診断や治療が必要であるものの、「6月病」の発症の原因や流れをふまえたうえで対策を行おう。