オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

【特集】人事総務担当者必見 感情をコントロールして働く感情労働とは?感情労働をする際に気を付けたいこと

2019.09.10

 近年、「感情労働」という新しい労働の概念が広まってきている。感情労働とは、常に自分の感情をコントロールする必要がある労働だ。従来の肉体労働・頭脳労働とは性質が異なる。

 労働の性質上、感情労働をする社員の精神的な負担は大きい。そのため、感情労働を続けていると心身に不調をきたし、モチベーションや生産性の低下につながる可能性がある。

 人事総務担当者は、感情労働をする社員に対してどういった対応をすれば良いのだろうか。ここでは、感情労働の概要や具体的な業種・職種、感情労働をする際に気を付けたいことを見ていく。

目次

●感情労働とはどういう労働?
●感情労働が求められる仕事
●感情労働をする際に気を付けたいこと

感情労働とはどういう労働?

 体を動かす「肉体労働」や頭を働かせる「頭脳労働」はイメージしやすい。しかし、最近注目されている「感情労働」とは一体どういう労働なのだろうか。感情労働の定義や、感情労働をする社員に求められることを見ていこう。

感情労働の定義
 感情労働とは、常に自分の感情をコントロールする必要がある仕事だ。肉体労働・頭脳労働とは別の形の労働として、アメリカの社会学者A.R.ホックシールドにより提唱された。その性質上、他の労働よりも精神的な負担が大きいと言われている。

感情労働をする社員に求められること
 感情労働をする社員には、相手に喜ばれるような表情でいたり、好まれるような行動をしたりすることが求められる。そのため、例え自分が本当は別の感情を持っていたとしても、「ネガティブな感情の抑制」や「ポジティブな感情の誘発」などの感情のコントロールをする必要がある。理不尽なクレームがあっても笑顔で対応したり、自分の意に反して相手を褒めたりといったことが日常的に求められる労働だ。

感情労働が求められる仕事

 感情労働が求められる仕事には、どのようなものがあるのだろうか。感情労働が求められる業種・職種を見ていこう。

感情労働が求められる「業種」
 感情労働が求められるのは、主に「航空業」「飲食業」「小売業」「宿泊業」などのサービス業だ。また、患者やその家族と向き合う「医療・福祉業」、親子と接する「保育・教育業」、市民やメディアと接する「官公庁」などでも、感情労働が必要とされている。

感情労働が求められる「職種」
 お客様と直接接する機会の多い職種では、感情労働が必須だ。例として、「客室乗務員」「販売員」「医療・介護従事者」「教師」「コールセンターのオペレーター」「秘書」「カウンセラー」などが挙げられる。

 社内のさまざまな部署の人と接する機会が多い人事総務担当者も、社員を不快にさせないよう、常に自分の感情をコントロールする必要がある。そのため、人事総務担当者も感情労働を行っていると言えるだろう。

感情労働をする際に気を付けたいこと

 肉体労働・頭脳労働よりも精神的負荷が高いとされる感情労働をする際、どういったことに注意する必要があるのだろうか。人事総務担当者として、社員や自分自身が感情労働をする上で気を付けたいことを、対処法と併せて見ていこう。

ストレスによる心身の不調
 感情労働では、常に相手に好意的に接することが求められるため、自分の本来の感情を押し殺すことが多い。自分の感情をストレートに表現できないことが大きなストレスになり、気付かないうちに精神的な疲労が蓄積されてしまいがちだ。それにより、「眠れなくなる」「憂鬱な気分になる」「イライラしやすくなる」といった心身の不調が引き起こされる可能性がある。

 とは言え、「どの程度のストレスに耐えられるのか」というストレス耐性には個人差がある。そのため、まずは社員のストレス耐性をチェックしよう。怒りの感情をうまくコントロールするためのスキルである「アンガーマネジメント」を学ぶ機会を設けるなど、ストレスへの対処法を社員に伝えていく必要もある。有給休暇の取得を促すことで、ストレス発散やワークライフバランスの実現を図るのも効果的だ。人事総務担当者自身も、無理をしすぎないよう、適度なストレス発散を心がけよう。

燃え尽き症候群
 実際にはネガティブな感情を抱きながらも、感情労働を行っているということも多いだろう。そうした状況の中、相手のために自分の感情をコントロールしようと思うと、非常に大きなエネルギーを消耗することになる。最初のうちは無理なくできていても、自分の限界を超えた途端、やる気・気力が燃え尽きる「燃え尽き症候群」になってしまう可能性がある。

 過度な負担がかかると燃え尽き症候群になりやすいため、特定の社員に負担が集中していないかなど、現場の状況を確認しよう。社員の様子を注意深く観察し、燃え尽き症候群になりかけている社員がいないかに気付くことが重要だ。社員から相談を受けた場合、親身になって相手の気持ちを理解する必要がある。人事総務担当者自身も、過度な負担を感じていないか、自分の状態を確認することを心がけよう。

まとめ

 常に感情のコントロールが求められる感情労働では、気付かないうちにストレスがたまりがちだ。そのため、心身の不調や燃え尽き症候群に注意する必要がある。

 感情労働をしている社員に対しては、ストレス耐性チェックや日頃の様子の確認、有給取得の促進などを行おう。また、人事総務担当者自身も感情労働に従事していることを忘れずに、自分の状態を確認したり、ストレスチェックをしたりすることを心がけてみてはどうだろうか。