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人事と労務の違いとは?人事と労務のそれぞれの仕事内容について徹底解説!

2020.06.09

 人事と労務の仕事内容を区別していない企業も多いだろう。人事と労務の違いについて意識しないまま仕事をしている人もいるかもしれない。しかし、人事と労務の役割は異なっており、役割の違いを知っておくことで、仕事がスムーズに進むだろう。また、会社の規模が拡大すると人事と労務の仕事を分ける必要が出てくることも考えられる。

 この記事では、人事と労務の違いやそれぞれの仕事内容、適している人を紹介する。

人事と労務の違いとは

 人事と労務の厳密な区別なく仕事をしている人は多いだろう。しかし、人事と労務という言葉が存在していることからも、その仕事内容は異なるものである。まず、ターゲットとしているものが異なる。人事は従業員一人ひとりをターゲットとしているのに対し、労務は従業員全体をターゲットとし、働きやすい環境を整えるために仕事をしている。

 すなわち、人事は「個人」、労務は「組織」に対する仕事を行う。ただし、これらの仕事はターゲットが異なるだけで仕事内容としては重複する部分が多い。人事も労務も人材の運用を支え、組織を活性化させることを目的としているため、両方の仕事を掛け持ちしている企業も多いだろう。人事部の中に労務を集約するケースが少なくないが、労務管理は法律の規定が多いため、専門的な知識を必要とする。しかし、基本的には別のカテゴリーに属し、必要な知識やスキルも異なることを知っておくと良いだろう。

人事の仕事内容

 人事と労務の違いを知る上で、それぞれの内容を知ることは不可欠である。人事の仕事内容は主に「評価制度の策定」「採用・教育」「異動・配置」の3つに分けられる。

評価制度の策定

 人事の仕事内容の1つが、評価制度の策定である。人事制度を考え、従業員一人ひとりが同等に評価される形式を作ることは、その企業に勤める従業員満足度にも関わり、企業活動を円滑に進める上でも非常に重要である。

 例えば、働いている従業員なら誰しもが気にする賞与や昇給制度を定めることも人事の重要な仕事として挙げられる。賞与や昇級は企業の方針や風土などのさまざまな要素によって異なるため、その企業の人事制度に基づいて制定ことが多い。年功序列なのか能力評価なのかによっても異なるだろう。重要なのは、公平性や透明性である。誰が見ても納得できる評価制度を策定することが求められるのだ。

 あらかじめこうした制度を決めておくことは、従業員の勤労意欲にも繋がるだろう。勤労意欲は、企業の業績を左右しかねない重要な要素だ。適切な評価制度を設けることは、企業の業績を上げるために必要不可欠と言えるだろう。また、従業員の能力やスキルを正当に評価し、目標の制定を行うのも人事の仕事である。

 さらに、企業という1つのチームをまとめる上で、協調性や規律性など、チームを活性化させるために必要な点も評価することが重要だ。

採用・教育

 人事の仕事としてイメージするのは、採用選考だという人も多いだろう。採用から教育まで、どのようにして行うかを定めるのは、人事の中心的な仕事の1つである。採用に関しては、企業に足りない部分や強化すべき部分を見定め、新卒採用や中途採用を行い、人材確保を行う。採用選考ではスケジュールを組んだり合否の連絡をしたりするのは人事であるが、面接担当などは配属部署の担当が行うことが多い。そのため、選考をスムーズに進める上でも、各部署への伝達も重要な役割だ。

 採用手法も求人サイトやイベントだけなく、SNSを活用するなど、社会の情勢に合わせて多様化している。どういった採用手法を採用するかも、人事においての重要な仕事と言える。また、社内研修や新卒研修、ワークショップを企画するのも人事ならではの仕事だ。全ての研修を人事が行うのではなく、必要に応じて外部講師を招聘するなど、主に研修の企画やコーディネートを行う。研修を含めた社員教育では、社員一人ひとりの特性や弱点を見極めてスキルアップを促すことが重要である。こうした教育は、従業員の能力を最大限に発揮するために欠かせない役割を担う。

異動・配置

 従業員を適材適所に配置することも人事の役割である。配置には異動を含め、転勤や昇進、降格、出向、解雇なども含まれる。中期的、長期的な見通しのもと、戦略的な人材マネジメントを行い、事業計画や目標の達成を実現することが求められる。必要に応じて人事面談を実施するのも大切な仕事だ。異動や配置に対しての不満に耳を傾け、従業員が気持ちよく働ける環境を作ることが不可欠である。効果的に従業員の異動を行うことで、社員のモチベーションやスキルが向上し、仕事の幅を増やすことにも繋がる。企業や従業員の今後を見据えた異動・配置を行うことが求められると同時に、企業だけでなく従業員の人生にも関わる出来事のため、慎重に進めるべき仕事だと言えるだろう。

労務の仕事内容

 これまでは人事の仕事内容について紹介してきたが、ここからは労務の仕事内容について紹介する。労務の仕事内容は、主に「勤怠管理・給与計算」「福利厚生・安全衛生管理」の2つに分けられる。

勤怠管理・給与計算

 労務の仕事の1つとして、勤怠管理を行い、適切な給与を算出することが挙げられる。コンプライアンスを重視するようになった現代で、適切な労働時間や有給休暇などの勤怠の把握は重要である。企業の利益ばかりを追求するのではなく、従業員のライフワークバランスを意識しなければならないのだ。

 そのため、法律に基づいた労働時間の遵守や有給休暇の取得、残業代などの支払いはより丁寧に取り組む必要があるだろう。基本給や諸手当を算出するだけでなく、社会保険や厚生年金など、控除項目に関しても算出する必要がある。給与計算だけでなく、年末調整を行うのも労務の役割だ。年末調整では従業員に提出してもらわなければならない書類を期限内に提出してもらえるよう従業員全体に周知し、適切に処理しなければならない。

福利厚生・安全衛生管理

 福利厚生や安全衛生管理は、従業員の働きやすい環境を作る上で欠かせない、労務の重要な仕事である。福利厚生は企業によって異なり、法定外の福利厚生を充実させることで、従業員のモチベーション向上に繋がるのだ。また、福利厚生は企業選びのポイントにもなる。社会の情勢に合わせて改善すべきものであり、定期的に福利厚生の見直しを行うことが必要だ。

 片や、安全衛生管理は主に健康診断の実施である。年齢に応じて必要な項目の健康診断を実施する他、希望する健診に対して補助を行うなども重要だろう。また、健康診断の実施だけでなく、ストレスチェックを導入したりメンタルヘルス対策をしたり、産業医からの助言をもらったりすることも、従業員の安全衛生管理における重要な仕事である。

人事・労務に適している人とは

 人事や労務は同じカテゴリーとされがちであるが、それぞれに適した人物像はやや異なる。人事は対外的な仕事が多いため、人間性のある人が向いているだろう。一方、労務はコツコツと仕事を積み上げられる人が向いている。人事も労務も、主に社員の対応をする仕事なのでコミュニケーション能力は不可欠である。また、個人情報を取り扱うので守秘義務に対する意識の高い人が良いだろう。人事であっても労務であっても、企業全体における重要なポジションであることは変わらない。

 企業の今後を見据え、従業員の働きを正当に評価し、勤怠を管理することは、企業戦略にも大きく関わる仕事であり、やりがいを感じられるだろう。

人事と労務の仕事内容はわかりましたか?

 人事と労務の仕事について理解は深まっただろうか。どちらも人材を効率的に活用し、会社を活性化させることを目的とした仕事である。人事や労務で働く上で求められる人物像は、コミュニケーション能力があり、事務業務に長けている人と言えるだろう。さらに、労務では法律に基づく専門的な知識が求められる。人事も労務も企業で働く人を守る、重要な仕事である。それぞれの仕事内容を踏まえながら仕事に取り組むと良いだろう。

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