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今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.7 テレワークに強い組織づくり

2020.08.20

 ICTの活用により場所にとらわれない柔軟な働き方を目指す「テレワーク」が、企業に浸透しつつある。一方で、テレワークを進める上で解決するべき、さまざまな課題点が浮彫りにもなっている。マネジメント担当者としては、課題点を解消し、より強い組織づくりを行いたいと考えることもあるのではないだろうか。

 今回は、テレワークで発生する組織の問題や課題点、テレワークに強い組織のポイント、従業員のエンゲージメント向上のために企業が行える施策を紹介する。さまざまな角度からアプローチを行い、強固な組織づくりに役立ててほしい。

目次

●テレワークで発生する組織の問題・課題
●テレワークに強い組織とは
●従業員のエンゲージメント向上のために
●まとめ

テレワークで発生する組織の問題・課題

 企業におけるテレワークの浸透により、どのような問題や課題が発生しているのだろうか。ここでは、テレワークで発生する組織の問題点や課題点を解説する。

労務管理
 テレワーク中は企業が従業員の労働時間など労働の実態を把握することが難しい。労務管理は従業員の自律性による部分が大きくなるが、信頼関係がうまく築かれていない場合など、企業が監視型のマネジメントになってしまうケースもある。これにより、双方の生産性が低下するという新たな問題が発生した。また、さまざまな事情によって昼間の作業が困難な従業員は労働時間帯が夜間や深夜に及ぶ可能性があり、過度な労働が怪我や病気に繋がるのではないかという懸念もされている。

コミュニケーション
 他者との物理的な距離が生まれるテレワークでは、コミュニケーションの頻度と質が落ちることによって、作業効率や生産性の低下などの問題に発展しやすい傾向にある。例えば、同僚の進捗状況が見えにくいことによって不安感や孤独感が生まれ意欲が減退したり、相談や確認に時間を要することでミスが起こったりする可能性がある。


人事評価
 テレワーク中は従業員の業務プロセスを直接確認できないことも多く、実績だけの評価になりがちな点が課題となっている。実績を数字で表せない業務は評価が困難になり、偏った成果主義は従業員のモチベーションを下げる恐れもあるだろう。

帰属意識の低下
 オフィスに集まることのないテレワークでは、物理的な距離感から生まれる一体感や連帯感が減少することで、会社への帰属意識が低下し、従業員のエンゲージメントも低くなる可能性がある。
 特に、新型コロナウィルス感染症の影響で急遽テレワークの導入に踏み切った企業では、業務フローが曖昧、業務の公平性に欠けるなどの問題が発生し、企業への信頼感が低下した例もあるようだ。

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テレワークに強い組織とは

 テレワークにおけるさまざまな問題・課題があげられる一方で、テレワークを利用して成果をあげている企業もある。テレワークに強い組織とはどのような組織なのだろうか。

業務が「見える化」されている
 テレワークに強い企業は、ICTツールなどを用いて業務が「見える化」されていることが特徴だ。他者の作業状況が見えにくいテレワークでは、それぞれのタスクが明確化・可視化されていると、業務を円滑に行うことができる。誰がどのような業務を担い、遂行するためにどのような過程があるのか、どの程度実施されているのかを、チームのメンバー同士で共有し、理解することが重要だ。また、それぞれの状況が確認できていると突発的な事態が起こった際にも相互フォローが可能となるため、個々の責任感だけでなく、チームの協働感や連帯感も向上するだろう。

従業員の自律性が高い
 個々の従業員と信頼関係を構築している企業は、テレワーク下においても生産性を下げることなく業務を遂行できると言えるだろう。企業と従業員間の不信感が先立つと、企業が過剰なマネジメントを行いがちになり、従業員の意欲と作業効率が下がる可能性がある。その一方、従業員が自身の業務に対し、何を、いつやるか、それぞれのタスクにどれだけ時間を費やすかを自ら采配できると、ストレスが少ないと言われている。

 つまり、進捗状況を企業側が管理しすぎず従業員の自律性が高いと、従業員は自らの仕事を能動的に行い、企業も過度な監視体制を敷く必要性がないというメリットが生まれる。その結果、個人またはチームの業務効率が上がり、企業全体の生産性の向上に繋がる。

組織状態を把握している
 冷静に組織状態を把握している企業は、対策や解決策を講じるのも早く、テレワークにも強いと言える。組織状態を把握するためには、テレワークについてのアンケートやエンゲージメント解析ツール、ストレスチェックなどを用いてデータを観測し、スコアの低い項目を改善していくと良いだろう。
 また、結果や対策・改善策を全体に共有することで、個々の従業員が組織状態を把握できるだけでなく、施策の理解にも繋がり、企業理解やエンゲージメントが向上するというメリットも生まれる。

従業員のエンゲージメント向上のために

 「エンゲージメント」とは、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」を指す。他者とのコミュニケーションの機会が大幅に減少するテレワークの環境下では、企業と従業員の信頼関係を築き、従業員のエンゲージメント向上をはかるために、動機付け要因を高めていくことが重要となりそうだ。ここでは、従業員のエンゲージメントを向上させ、より強固な組織をつくるための施策を紹介する。

社内体制やルールの見直し
 企業におけるテレワークの導入は今後さらに推進されると予想できる。そのため、以下のようにテレワークを前提とした社内体制や社内ルールの見直しを行い、従業員が働きやすい・仕事を続けやすい環境をつくることが大切だ。

・労働条件の見直し
・フレックス制の導入
・慣行的に行われていた会議やルーティーンの廃止
・企業内の設備の充実
・ICTツールの導入
・研修や勉強会の設定
・福利厚生の充実

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を企業全体に浸透させる
 「ミッション(Mission)」は企業の存在意義、「ビジョン(Vision)」は実現したい未来、「バリュー(Value)」はそれらを実現するための指針を指す。企業全体にMVVが浸透すると、曖昧さから来るストレスが軽減されるだけでなく、従業員に当事者意識・帰属感が生まれ、エンゲージメントの向上に繋がる。

 MVVを浸透させるためには、企業が掲げる個々の成長目標や経営戦略の意義と、従業員一人ひとりの意思・役割を段階的にすり合わせていくと良い。自身の役割や業務の目的が明確化されることで、従業員の自律性が一層高まるだろう。

やりがいを感じられる業務のアサイン
 従業員それぞれの才能や強みを活かせる業務を割り当て、従業員が業務における達成感・面白さ・責任感・自己成長を感じられようにすることも企業の役割だ。働きがいを感じられる業務を行うことでエンゲージメントが高まり、企業の生産性も向上するだろう。

 業務を割り振る際は、その仕事が、従業員と企業にとってなぜ大切なのかを説明し、共通認識を持てるようにしよう。また、テレワークでは従業員の表情や雰囲気を直接感じることが難しいため、意図的にコミュニケーションを取って仕事への意識を確認すると良い。

コミュニケーションの機会を増やす
 テレワーク中は、業務を遂行するためだけでなく、従業員間の繋がりを意識するためにも、企業が意図的かつ積極的にコミュニケーションの機会を設けると良いだろう。以下のような機会を設けることで不安感・孤独感・孤立感を解消し、心理的安心感を得ることができると考えられる。

・Web会議での朝礼
・定期的なチーム内ミーティング
・雑談時間の設定(オンラインランチやコーヒーブレイクなど)
・業務用・雑談用のチャットグループの作成
・オンライン相談室の開設
・オンラインサンキューカードの活用

取り組みや成果に対する評価を行う
 エンゲージメントを向上させるためには、従業員が努力したことや成果を認め、きちんと評価を行うことも重要だ。認められ、称賛されることでモチベーションが上がり、作業効率や生産性の向上に繋がるだろう。上司と部下の1対1でのやり取りだけでなく、Web会議やチャットツールを通じてチーム内や企業全体で成果を共有するなど、達成感や承認を得られるような風土づくりを行うと良い。

 テレワーク業務の評価を行う際は、ジョブディスクリプションの作成や目標設定ツール、人事評価ツールなどを用いて個々の成長段階と成果を確認するようにしよう。

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まとめ

 オフィスに出社する従来の働き方からテレワークへと働き方が変わっていく中で、テレワークに強い組織づくりが課題となっている。その中で、「従業員のエンゲージメントを向上させること」が強固な組織づくりのポイントの一つになるだろう。時代の流れに負けない組織作りのために、エンゲージメントを高める施策を行ってみてはいかがだろうか。

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