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人材紹介サービスとは?手数料の仕組み・メリットデメリットを解説

2020.08.24

人材採用の方法として人材紹介サービスがあるというのを知っているだろうか。名前は聞いたことがあっても利用した経験がないために仕組みや手数料などのシステムがわからず、なかなか手を出せない企業も多いのは確かだ。この記事では人材紹介サービスの仕組みや手数料について解説し、メリットやデメリットについても紹介する。

1.人材紹介の仕組みを解説

人材紹介とは人材採用を支援するサービスであり、人材紹介会社に依頼することで希望する人材を紹介してもらうことができる。人材紹介サービスを利用する場合には人材紹介会社と採用に関わる諸条件の打ち合わせをして契約を締結し、担当者に人材の候補を挙げていってもらうことになる。人材紹介は成果報酬による契約が基本となっているため、契約締結時点では費用が発生しない。紹介を受けて採用を決定し、人材を迎え入れると紹介手数料の支払いが発生することになる。

人材を紹介する際には履歴書と職務経歴書、人材紹介会社による推薦理由が提供されるのが一般的である。その書類に基づいて選考を実施した後、面接をする場合には人材紹介会社を経由して候補者とのやり取りを行い、選考を進めていく仕組みになっている。

2.求人広告と人材紹介の違い

採用活動の仕方としては求人広告を出す方法もよく用いられているので違いを理解しておこう。フリーペーパーや求人サイトに求人広告を出すとその時点で誰もが求人票を閲覧できるようになるが、同時に広告掲載費が発生してしまう。つまり、人材の応募があったかどうか、あるいは採用したかどうかにかかわらず費用がかかる仕組みになっているのが求人広告を出す方法の特徴だ。それに対して人材紹介の場合にはどれだけ人材を紹介してもらったとしても、採用をしない限りは費用を請求されることはない。内定を出して雇用契約を結び、さらに入社するところまで確認してから手数料を請求される仕組みなのである。

ただし、求人広告を出す場合には期間が設定されているのが一般的で、その期間内に何人応募してきても、何人採用しても掲載費以外に費用はかからない。しかし、人材紹介では一人入社する度に費用がかかることになるため、大勢採用するときには採用費の負担が大きくなる可能性が高い。

3.人材紹介の手数料について

人材紹介サービスは前述のように成功報酬型の料金体系が基本になっている。契約をした時点で初期費用が発生することはなく、人材を紹介してもらっている間も費用負担はない。支払請求があるタイミングは採用を内定した人が入社した時点であって、内定を出した時点ではないのが一般的だ。内定辞退が採用の困難をもたらしていることが知られているからである。会社によっては入社後、試用期間中に退職した場合には返金を請求できるシステムにしている場合すらあるのが実態だ。ただし、返還割合は全額とは限らず、時期によって割合が定められていることが多い。

紹介手数料の相場は大手を含む大半の人材紹介会社は、採用した人材の年収の35%としている。年収500万円での採用では手数料が175万円になり、かなり高額になるのは確かだ。希少な職種やエグゼクティブの採用では手数料の割合が高い場合もあるため注意が必要である。

4.人材紹介サービスのメリット

このような人材紹介サービスの仕組みや手数料を踏まえた上で、人材紹介サービスのメリットを考えてみよう。人材紹介を利用する根拠となっていることが多い三つの理由を紹介する。

4-1.条件に合う人を採用しやすい
人材紹介サービスを利用するメリットとしてよく着目されているのが、社内ニーズや採用目的に合った人材を採用できる可能性が高いことである。人材紹介会社との打ち合わせのときに、会社としてどんな人材を採用したいと考えているのかをヒアリングしてもらうことになり、そこで具体的な条件を提示できるからだ。求人票を作成しておいて渡しても、条件を挙げたり、ターゲットを指定したりしても良い。その内容を総合的に理解して、専任の担当者が適材を探して推薦してくれるので条件に合う人に巡り合える可能性が高くなっている。

人材紹介会社としては企業の要求に合ったサービスを提供しなければならないという考え方を持っているため、採用要件に対しては忠実に人材の選定をしてもらうことができる。そして、条件を満たしている候補者のみに対して書類や面接による選考を行うことになるので、選考業務の効率化を実現できるのもメリットである。

4-2.初期費用がかからない
人材採用会社のサービスは完全成功報酬制が一般的になっていて、採用が成功したときのみ料金を支払う義務が生じるのが特徴だ。つまり、初期費用がかからず、本当に欲しい人材を紹介してもらえない限りは一切の費用がかからないというメリットがあるのである。いくら紹介してもらっても適材を紹介してもらえないのではないかと懸念する場合もあるが、採用できなかった場合のリスクが費用的にはほとんどないのだ。募集を通年でかけてじっくりと人材を探すことも可能なので、採用方針によってはコストパフォーマンスが高い方法になる。

4-3.非公開の募集が可能
人材紹介サービスでは求人について公開してもらうことも非公開で募集してもらうこともできるのはメリットだ。求人票の内容は今後の事業展開や社内改革などの方針を見極める材料とされてしまうため、競合他社にも求人内容を見られてしまうのはリスクがある。役員などの幹部の募集や、新規事業に携わる人材の獲得などの場合には社外秘にしたい場合が多いのは確かだ。このような際にもその旨を伝えれば非公開の扱いにしてもらえる。そして、希望に合う適任者にのみ求人が紹介されることになるのだ。

5.人材紹介サービスのデメリット

人材紹介サービスには魅力もあるが、デメリットも大きい場合があるので注意が必要だ。よく懸念点とされているデメリットを二つ紹介する。

5-1.採用単価が高くなる
人材紹介サービスを利用する最大のデメリットはコストであり、紹介手数料を支払うことになるので採用単価が高くなることは否めない。特に大量採用の場合には深刻な問題になってしまうのは明らかで、何人採用しても費用負担が変わらない求人広告と比べると劣ってしまうのは確かである。年収の35%というのは決して小さい金額ではなく、採用単価は100万円は超えてしまう場合が多い。新規事業のために10人のチームを採用しようとしたら1000万円を超えてしまうのは確かで、優秀な人材なら2000万円ほどになることもある。このような大きなコストが発生するリスクが高いのには注意しなければならない。

5-2.候補者の幅が限られる
人材紹介サービスを使うと簡単に適任者を紹介してもらえると思いがちだが、候補者の母集団については問題点があることを認識しておくことが必要だ。求人広告を出した場合にはあらゆる人が対象になるが、人材紹介会社を利用するとその会社に登録して転職活動をしている人だけが母集団になってしまうのである。そのデータベースが充実しているかどうかによって候補者の幅が大きく左右されることになる。特にこの問題が切実になるのが地方での採用だ。人材紹介会社に登録する人の多くは東京や大阪、名古屋や仙台、福岡などの産業が集中している都市圏で仕事を探しているので地方での採用には不利になりがちなのである。また、求人広告を出すのと違って求人を見る人が少ないことから、採用活動に自社の宣伝の意味も含ませることが難しくなるのもデメリットだ。

自社に合った採用方法を検討しましょう

人材紹介サービスの仕組みや特徴、紹介手数料の実態について紹介してきた。人材紹介会社に人材を紹介してもらうと、求めている条件に合った人材を探しやすいのはメリットだが、採用費が高くなってしまうことは否めない。採用方針に合わせて手段を選ぶのが重要だと考え、人材採用の際には有用な手段の一つとして利用を検討してみよう。