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育児休暇とは?育児休業とのちがいや助成金について紹介

2020.11.20

 子どもの養育を目的に休暇を取得する「育児休暇」。従業員の育児を積極的に支援できるよう、どのような制度や取り組みがあるのかを知りたい担当者もいるのではないだろうか。

 今回は、育児休暇の詳細や比較されることの多い「育児休業」との違い、育児中に利用できる制度や給付金・助成金を紹介する。従業員が仕事と家庭生活を両立できるよう、参考にしてほしい。

目次

●育児休暇とは
●育児休業との違い
●制度や給付金・助成金
●まとめ

育児休暇とは

 育児休暇とは、小学校に就学する前の子どもを養育するために取得する休暇を指し、「育児目的休暇」とも呼ばれている。まずは、育児休暇の詳細を見ていこう。

育児休暇は企業の努力義務
 2017年10月1日に施行された「改正育児・介護休業法」では、企業に対し「育児に関する目的で利用できる休暇制度(育児目的休暇)」を設ける努力義務を課している。育児目的休暇は小学校就学前の子どもを養育する従業員が対象で、「配偶者出産休暇」「ファミリーフレンドリー休暇」「子の行事のための休暇」「子の看護休暇」など、企業によって名称が異なる。

2021年1月1日からは時間単位での取得が可能に
 2019年12月27日、育児を行う労働者が子どもの看護休暇を柔軟に取得できるよう、育児・介護休業法施⾏規則等が改正された。2021年1月1日からは、全ての従業員が現行半日単位で取得できる育児休暇を時間単位で取得することが可能となる。法令では、就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し就業時間の途中に再び戻る「中抜け」なしの時間単位休暇を定めている一方で、「中抜け」ありの休暇取得を認めるよう配慮を求めている。

参考:厚生労働省「⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります︕」

育児休業との違い

 育児休暇と比較されることが多い言葉に「育児休業」がある。ここでは、育児休業の概要や、育児休暇と育児休業の違いを説明する。

育児休業とは
 育児休業は、原則として1歳に満たない子どもを養育する従業員であれば男女問わず取得することができる。育児休業を取得できる条件と期間は、それぞれ以下の通りだ。

・育児休業を取得できる条件
 育児休業を取得するには「同一の事業主に1年以上雇用されていること」「子どもが1歳6カ月に達する日以降も雇用される見込みがあること」の2つの要件を満たしている必要があり、日雇い労働者は対象外となる。取得には休業開始の1カ月前までに申請が必要だ。

・育児休業を取得できる期間
 女性は産後休業終了日の翌日(生後8週以降)から、男性は子どもの出生日から、子どもの1歳の誕生日の前日まで育児休業を取得することができる。ただし、保育所に入れない場合や、子どもを育てる予定だった配偶者が死亡やけが・病気、離婚によって育児をすることが困難な場合は、「1歳の誕生日から1歳6カ月になるまで」「1歳6カ月になった次の日から2歳になるまで」のそれぞれの期間で延長申請を行うことが可能だ。

違いは「対象となる年齢」と「法律の適用」
 育児休暇と育児休業の大きな違いは、対象となる年齢と法律の適応の有無だ。育児休暇が「就学前の子ども」を持つ従業員を対象としているのに対し、育児休業は「1歳未満の子ども(場合によっては2歳まで)」を養育する従業員を対象としている。「育休」と略した言葉を用いる際は「育児休業」を指すのが一般的で、規定によっては育児休暇と育児休業を組み合わせて子どもが2~3歳になるまで育休を取得できる企業もある。

 また、育児休暇は法的に整備されたものではなく、給与の発生の有無なども企業の裁量に任されているのが現状だ。一方、育児休業は「育児・介護休業法」に定められた従業員の権利であり、休業中に減少した収入を補う給付制度が設けられている。

制度や給付金・助成金

 改正育児・介護休業法によると、企業には出産を控えた従業員やその配偶者に対し、妊娠や出産に関連する制度を周知する努力義務が課せられている。ここでは、育児休暇や育児休業に関する制度、給付金や助成金について紹介する。

パパ休暇
 パパ休暇は、要件を満たした子どもの父親が育児休業を再取得できる制度だ。育児休業の取得は原則1回までだが、母親の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得・終了した場合は、子どもが1歳になるまでの期間に再度育休を取得することができる。

参考:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」

パパ・ママ育休プラス
 パパ・ママ育休プラスは、両親がともに育児休業を取得する場合に限り、特別な事情がなくとも、原則1歳までの休業可能期間を1歳2カ月まで延長することができる制度だ。ただし、以下の要件を満たすこと、養育者1人当たりの育休取得可能期間は産後休業含め最大1年間であることに注意が必要だ。

・配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
・本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
・本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

参考:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」

育児休業給付金
 育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が1歳(両親が取得する場合は1歳2カ月、保育所に入所できないなどの場合は最長2歳)に満たない子を養育するために育児休業を取得した場合に支給される給付金のことだ。支給額は賃金月額の67%(休業開始から6カ月経過後は50%)となっており、要件を満たせば休業期間が1日でも支給される。支給対象の条件は以下の通りだ。

・育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12カ月以上あること
・育児休業期間中の1カ月ごとに、休業開始前の1カ月当たりの賃金の8割以上の賃金が
 支払われていないこと
・就業している日数が各支給単位期間(1カ月)ごとに10日(10日を超える場合は就業して
 いると認められる時間が80時間)以下であること
・休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合は
 就業していると認められる時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること

参考:厚生労働省「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します(令和元年度版)」

社会保険料の免除
 産前・産後休業、育児休業の期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険、国民年金)は、被保険者本人負担分、事業主負担分ともに免除される。免除期間は育児休業の開始月から終了月の前月分まで(終了日が月末の場合は終了月分まで)だ。なお、社会保険料の免除を受けても健康保険の給付は通常通り受けることができ、免除された期間分も将来の年金額に反映される。

参考:厚生労働省「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します(令和元年度版)」

両立支援等助成金
 両立支援等助成金は、仕事と家庭の両立支援に取り組み一定の要件を満たした企業に支給される助成金だ。男性の育児休業取得の促進と取得を行った企業に対する「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」や、育児休業の円滑な取得および職場復帰に資する取り組みを行った企業が対象の「育児休業等支援コース」など6種類のコースがあり、助成額はコースや企業規模などによって異なる。

参考:厚生労働省「2020年度 両立支援等助成金のご案内」

まとめ

 育児休暇は、柔軟な休暇の取得や夫婦が協力して育児に取り組むこと、母親のスムーズな職場復帰などを目指すものだ。法令により、企業には対象となる従業員への制度の周知や育児目的休暇の導入が求められており、社内制度の見直しや新たな休暇制度の検討が望まれる。従業員が柔軟に子育てに携われるよう、制度や助成金を積極的に利用してはいかがだろうか。

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