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おさえておきたい!バックオフィスの基礎知識 Vol.1 6月は労働保険料の更新月。手続きフローや注意点を詳しく解説

2021.06.02

企業が毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければない労働保険の「年度更新」。年度更新では前年度の労働保険料を精算するための「確定保険料」と、新年度の見込み額である「概算保険料」を申告・納付する必要があるが、手続きの方法や注意点を知りたいと考える担当者もいるのではないだろうか。

今回は、労働保険の基礎的な内容や企業負担の割合、年度更新の手続きフローや注意点について解説する。労働保険の手続きが可能なサービスも紹介しているので、導入を検討している場合は参考にしてほしい。

目次

●労働保険とは
●労働保険料の負担割合は?
●労働保険の年度更新手続きフロー
●労働保険の年度更新の注意点 
●労働保険の手続きができるおすすめサービス
●まとめ

労働保険とは

「労働保険」は「労災保険(労働者災害補償保険)」と「雇用保険」の総称だ。まずは、労災保険・雇用保険それぞれの概要をおさえよう。

労災保険の概要
「労災保険」は、従業員が業務中または通勤中に怪我や病気、死亡した場合に、本人や遺族に必要な保険給付を行うものだ。身体的な傷病だけでなく業務環境を理由とした精神障害が認定される場合もあり、2020年6月の改正労働施策総合推進法の施行に伴っては、認定基準に「パワーハラスメント」が明示された。また、同保険では被災労働者が社会復帰を図るための事業も行っている。

雇用形態に関わらず、従業員を1人でも雇用していれば、業種や企業規模を問わず適用事業となる(農林水産の一部の事業を除く)。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労災保険給付の概要」
参考:厚生労働省「精神障害の労災補償について」

雇用保険の概要
「雇用保険」は、労働者の生活と雇用の安定を図るために、失業者や教育訓練受講者、育児休業取得者に対して必要な給付を行うものだ。失業の予防や雇用構造の改善、雇用機会の増大、労働者の能力開発などを図るための事業も行っている。

原則として「1週間の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある」の両方に該当する従業員が加入対象だ。

参考:厚生労働省「雇用保険制度」
参考:厚生労働省「労災保険・雇用保険の特徴」

労働保険料の負担割合は?

労働保険料における企業と従業員の負担割合は、「労災保険」「雇用保険」とで異なる。ここでは、それぞれの保険で企業が負担する割合や、労働保険料の計算方法を紹介する。

労災保険は「企業が全額負担」
労災保険の保険料は、企業が全額を負担する。事業の種類によって保険率が異なるため、厚生労働省が公開している「労災保険率表」から、自社の事業欄を確認しよう。労災保険率は年度ごとに改定される可能性があるため、最新の保険率を用いて計算しなければならないことに注意が必要だ。

参考:厚生労働省「令和3年度の労災保険率について ~令和2年度から変更ありません~」

雇用保険は「企業と従業員双方が負担」
雇用保険料は企業と労働者の相互が負担するが、保険率や負担割合は事業の種類によって異なる。労災保険同様、年度ごとに保険率が改定される場合があることに注意しよう。

参考:厚生労働省「雇用保険料率について」

労働保険料の計算方法
労働保険料は、従業員に支払う「賃金総額」に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて求める。例をもとに計算してみよう。

 

労働保険の年度更新手続きフロー

労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度当初に確定申告のうえ精算する。企業は「前年度の確定保険料」と「当年度の概算保険料」とを併せて申告・納付する必要があり、これを「年度更新」と言う。年度更新の手続きフローを見ていこう。

【ステップ1】「確定保険料算定基礎賃金集計表」の作成
「確定保険料算定基礎賃金集計表」は、前年度に実際に支払った賃金の総額をもとに計算した労働保険料を記載するもので、5月頃に所轄の労働局から送付される。前年度の賃金台帳を用意し、漏れのないように記載しよう。短期アルバイト労働者の賃金などに見落としがないか、年度途中に退職した従業員の分を含んでいるかなどに注意が必要だ。

【ステップ2】「労働保険概算保険料申告書」の作成
「労働保険概算保険料申告書」には、その年度中に従業員に支払う、見込みの賃金総額を記入する。労災保険と雇用保険の対象者が異なるため、それぞれ計算した後に合算する必要がある。それぞれの保険の対象となる従業員の見込み賃金を求め、労災保険率・雇用保険率を乗じて保険料を計算しよう。

【ステップ3】労働保険料の申告・納付
「確定保険料算定基礎賃金集計表」「労働保険概算保険料申告書」が作成できたら、「前年度の確定保険料」と「当年度の概算保険料」とともに申告・納付を行おう。年度更新の手続きは、原則として例年6月1日から7月10日までの間に行う必要がある。ただし、概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらかのみが成立している場合は20万円)以上、または労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、労働保険料の納付を3回に分割することもできる。

労働保険料の申告は所轄の労働局または労働基準監督署で行うが、納付は郵便局や銀行などの金融機関などでも行うことが可能だ。口座振替を希望する場合は、申告書を労働局または労働基準監督署に提出しよう。なお、2020年4月より、特定の法人については電子申請が義務化されている。

参考:厚生労働省「労働保険料の申告・納付」
参考:厚生労働省「2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます」

労働保険の年度更新の注意点

労働保険の年度更新は複雑なため、基礎的な知識や法改正に対応していく必要がある。ここでは、労働保険の年度更新で注意すべきポイントを紹介する。

「賃金」に含まれるものに注意する
労働保険料を算出する際に用いる「賃金の総額」とは、企業が従業員に対し「労働の対償として支払うすべてのもの」を指す。基本給や賞与、さまざまな手当などをすべて含み、税金や社会保険料などを控除する前の「支払総額」と認識するとよいだろう。「労働の対価」に該当しない結婚祝金や傷病手当金、出張旅費や退職金は含まれないため、「賃金」に含まれるものをきちんと把握しておく必要がある。

参考:厚生労働省「労働保険対象賃金の範囲」 

65歳以上の雇用保険料免除は終了
雇用保険法等の一部を改正する法律により、2017年から65歳以上の労働者についても雇用保険の対象となることが定められた。経過措置として2017年1月1日から2020年3月31日までの期間は高年齢労働者(4月1日において満64歳以上であり、雇用保険の一般保険者となっている者)に関する雇用保険料は免除されていたが、2020年4月1日からは経過措置期間が終了。これにより、すべての雇用保険被保険者についての雇用保険料納付が必要となるため、該当する従業員がいる場合には注意しよう。

参考:厚生労働省「高年齢労働者の雇用保険料納付免除規定の削除について」

「増加概算保険料」の申告・納付
年度の途中で、事業規模の拡大などにより「賃金総額の見込額が当初の申告より2倍を超える」、かつ、「その賃金総額によった場合の概算保険料額が申告済の概算保険料よりも13万円以上増加する」場合は、増加額を「増加概算保険料」として申告・納付しなければならない。

労働保険の手続きができるおすすめサービス

各サービスが提供しているツールを用いると、年度更新の作業効率が飛躍的に上がるだろう。ここでは、労働保険の手続きができるおすすめサービスを紹介する。

SmartHR
「SmartHR」は、入社手続きや雇用契約などをペーパーレスで行えるサービスだ。社会保険や労働保険の電子申請に対応しているため、移動や郵送のコストをかけずに処理や申請を完結することができる。勤怠管理や給与計算ソフトなどの外部サービスとの連携も充実。自社の業務状況にあわせてオプション機能を用いれば、さらなる業務効率化が期待できるだろう。

オフィスステーション
「オフィスステーション労務」は金融機関並みのセキュリティを誇る労務サービスだ。109種類の社会保険・労働保険の帳票に対応し、電子申請・書面申請も可能。必要に応じて年末調整、給与明細、有休管理、マイナンバー管理の各機能を追加することもできるため、コストを必要最低限に抑えることができるだろう。

まとめ

労働保険の年度更新では、労災保険と雇用保険の加入対象者や年度ごとに改定される保険率を確認しながら、集計・計算をする必要がある。一部の企業においては、電子化による申告が義務付けられていることにも注意しよう。作業を効率化しミスを防ぐためにも、労働保険の手続きが行えるサービスの導入も検討してみてはいかがだろうか。

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