クラウドサーバーとは?会社の規模に合った探し方やメリット・デメリットを解説
近年、ビジネスに必要不可欠な存在となりつつある「クラウドサーバー」。経理やシステム担当者としては「クラウドサーバーの導入を検討したい」「現在使用しているクラウドサーバーからの乗り換えを検討したい」と考えることもあるのではないだろうか。
今回は、クラウドサーバーの概要やレンタルサーバーとの違い、導入することによるメリット・デメリット、企業別のクラウドサーバーの選び方を紹介する。
目次
●クラウドサーバーとは
●クラウドサーバーを導入するメリット・デメリット
●自社にあったクラウドサーバーの探し方
●まとめ
クラウドサーバーとは
「クライドサーバー」とは、インターネット上に作られたサーバーのこと。まずは、クラウドサーバーの概要や提供されるサービスの種類、比較されることの多いレンタルサーバーとの違いを見ていこう。
クラウドサーバーの概要
そもそも「サーバー」とは、Web検索やメールの送受信など、利用者のリクエストに応じたデータを提供するコンピューターやプログラムのこと。従来のオフィスでは、物理的なサーバーを自社に購入・設置することでソフトウェアやデータを提供・蓄積することが多かった。それに対し、クラウドサーバーは、自社に物理的なサーバーを設置せず、専門の提供会社が管理している物理サーバーをインターネット経由で利用するサービスを指す。
クラウドサーバーで提供されるサービスの種類
クラウドサーバーで提供されるサービスには「SaaS(サース)」「IaaS(イアース)」「PaaS(パース)」の3種類があり、どのような目的で使用するかによって適切なサービスが異なる。それぞれのサービスの特徴は以下の通りだ。
◆「SaaS(サース)」
これまでサーバーやパソコン上にインストールしていたソフトウェアを、インターネット経由のサービスとして提供するもの。自社のハードウェアにソフトをインストールすることなくサービスを利用できるため、ノートパソコンやタブレットなどを用いて場所を問わず利用できる。
◆「IaaS(イアース)」
インターネット経由で、クラウド上のサーバーや回線などのインフラを提供するもの。利用者がOSやミドルウェアの性能を自由に選択できる。さまざまな用途で使用が可能。
◆「PaaS(パース)」
インターネット経由で、アプリケーションを開発するプラットフォームを提供するもの。利用者がニーズに合わせてアプリケーションを導入し、運用することが可能。主にアプリケーション開発のために使用され、プログラムを実行するためのデータベースとして用いられる。
クラウドサーバーとレンタルサーバーの違い
レンタルサーバーとは、サーバーをレンタルするサービスのこと。主に1台のサーバーを複数のユーザーで共有して使うサービスを指すことが多い。クラウドサーバーとレンタルサーバーの一番の違いは、サーバー内の構造だ。レンタルサーバーは1台の物理サーバーのCPUやメモリを複数のユーザーが共有する。それに対し、クラウドサーバーは1台の物理サーバーの中に仮想サーバーを複数作成でき、CPUやメモリはそれぞれの仮想サーバー内で仮想的に作成される。
それぞれを象徴する例として、レンタルサーバーは「シェアキッチン」、クラウドサーバーは「マンション」に例えられる。シェアハウス(レンタルサーバー)は自分の部屋を持ちつつキッチンや洗面所などは共有する。一方、マンション(クラウドサーバー)は建物は一緒でも個々の部屋があり、各部屋にキッチンや洗面台なども備え付けられている。そのため、レンタルサーバーは他ユーザーの影響を受けやすく、クラウドサーバーは受けにくいと言える。
その他の違いは、以下の表の通りだ。
クラウドサーバーを導入するメリット・デメリット
クラウドサーバーを導入することによって、自社にはどのような影響があるのだろうか。ここでは、クラウドサーバーを導入するメリット・デメリットをそれぞれ紹介する。
【メリット①】初期費用の削減
1つめのメリットは、初期費用を抑えられることだ。自社にサーバー環境を整える場合には機器の購入費、データセンターの設置費用、通信回線の整備費などさまざまな費用が想定される。レンタルサーバーを利用する場合でも、初期費用として一定の金額を支払う必要がある。クラウドサーバーは初期費用が無料とされているものが多く、導入コストを抑えつつハイスペックなサーバーを利用できるため、一時的な利用や試験的なアプリケーション開発にも適していると言えるだろう。
【メリット②】運用・管理コストの軽減
初期費用だけでなく、運用・管理コストを抑えられる点もクラウドサーバーのメリットだ。メンテナンスや障害への対応を提供会社に任せられるため、人件費の削減につながるだろう。また、クラウドサーバーの利用料金は従量制(ユーザー数やデータの使用量に応じて課金する方式)が基本となるため、運用状況にあわせたプラン変更が可能で、不要なランニングコストを避けることができる。
【メリット③】災害などによるデータ消失リスクの低減
クラウド上にサーバーが存在することは、災害へのリスクヘッジにも繋がる。自社サーバーの場合、物理サーバーが被害を受けると業務が停止したりデータが消失したりする恐れがある。それに対し、クラウドサーバーは複数のデータセンターにサーバー機能を分散してバックアップ体制を十分に敷いているため、災害が起こっても機能停止に陥りにくいことが特徴だ。仮にオフィスに出社できずとも、インターネットに接続できれば業務の継続が可能なため、BCP(事業継続計画)としても有効だろう。
【デメリット①】月額料金の発生
クラウドサーバーの料金プランは月額制のため、月々のランニングコストがかかる。利用規模やデータの使用量に応じて料金がかかるため、プランによっては物理サーバーよりも高額になったりパフォーマンスが下がったりする可能性がある。利用規模や稼働時間などをあらかじめシミュレーションしたうえで、導入を検討する必要があるだろう。
【デメリット②】セキュリティの懸念
インターネットを経由するというクラウドサーバーの特質上、情報漏洩のリスクがあることも否めない。情報漏洩を防ぐためには、セキュリティ対策に注力している企業が提供しているクラウドサーバーを利用する、クライアント側のセキュリティ対策も万全にしておくなどの対応が必要となるだろう。
自社にあったクラウドサーバーの探し方
自社にあったクラウドサービスを選ぶためには、企業規模や使用用途、予算など注意すべきポイントをおさえ、優先順位を明確にしたうえで比較・検討する必要がある。ここでは、クラウドサーバーを選ぶ際のポイントを紹介する。
クラウドサーバーを選ぶ際のポイント
クラウドサーバーを選ぶ際のポイントは、以下の通りだ。数日~数カ月のトライアル期間が設けられているプランもあるため、それらも活用するとよいだろう。
・サービスの種類(SaaS・IaaS・PaaS)
・料金体系(定額制・従量制)
・料金プランとストレージの容量
・対応しているOSやアプリケーションの種類
・セキュリティレベル
・サポート体制
・利用可能な支払方法
・他サービスとの親和性
どのクラウドサーバーを選ぶかは、企業の規模によっても重視したいポイントが異なる。ここからは、企業の規模に応じた選び方を確認しよう。
従業員数が20名以下の企業
スタートアップなどの従業員数が少ない企業は、専任のシステム担当者を設けることが難しい場合もあるだろう。そのようなケースでは、導入支援を行っている、365日24時間受付対応しているなど「サポート体制が充実している」サービスや「国産のクラウドサービス」を利用することで、導入や管理の負担が軽減できる。
また、「データの送信量が無料」「月額上限課金」などのプランを選ぶと、予算が立てやすくなるだろう。
従業員数が21~100名の企業向け
ある程度の従業員数があり、エンジニアがいる企業の場合は「利用している製品やサービスとの親和性が高いもの」「カスタマイズ・オプション選択ができるもの」を選ぶとよい。柔軟性のあるサービスを自社にあわせてカスタマイズすることで、業務の効率や生産性が向上するだろう。
イベントの受付システムやECサイトの運営など、特定の時期にアクセス数が増加するサービスを提供したい企業の場合は、使用量をシミュレーションしたうえで「従量制」「月額制」のサービス・プランを選択すると無駄なコストの発生を防ぐことができる。
従業員数が101名以上の企業向け
従業員数が多くアクセス数が大きく変動する企業の場合、「使用できるユーザー数が多い」ものや「ストレージが無制限」のプランを選ぶことで、大規模でも効率よく業務を進めることができるだろう。情報漏洩のリスクを踏まえて、「セキュリティレベルが高い」サービスを選ぶことも重要だ。
また、海外に展開するサービスやシステムを構築する場合は、「海外にデータセンターがあるサービス」を選ぶことでシステムのパフォーマンスが向上するだろう。
まとめ
クラウドサーバーにはコスト削減や災害に対するリスクヘッジなどのメリットがある。クラウドサーバーにはさまざまなサービスやプランがあるため、メリット・デメリットを考慮しつつ、自社の業務状況やニーズにあったものを選択することが重要だ。今回紹介したポイントをおさえ、自社サーバーの見直しをしてみてはいかがだろうか。
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