法人企業における入金消込の定義と目的。自動で入金消込をしてくれるおすすめ債権管理システムも紹介
企業間取引で主流となっている掛取引を行う際に欠かせない、消込の作業。取引先が増えるほど煩雑になる一方で、正確かつ迅速な対応が求められるため負担に感じている経理担当者も多いのではないだろうか。そこで役立つのが、自動で入金消し込みを行ってくれるシステムだ。本記事では、入金消込を自動で行ってくれるサービスやおすすめの債権管理システムを紹介する。選び方のポイントなども解説するので、経理業務のDX化、業務効率化に役立てて欲しい。
消込とは売掛金・買掛金などの債務の残高を消していく業務
消込作業とは、入金/出金情報に照らし合わせて、売掛金/買掛金を仕訳処理する作業を指す。ここでは、まず「入金消込」「支払い消込」についておさらいしておこう。
【入金と照らし合わせながら債権を消していく入金消込】
入金消込は、注文時に計上された売掛金を、入金確認をするとともに帳簿から消す作業を言う。
例えば、10万円の注文を受けた際には、
と帳簿に記載され、入金が確認できたら
といった形で仕訳処理される。この入金時の仕訳処理が入金消込だ。
【支払いと照らし合わせながら債務を消していく支払い消込】
支払い消込は入金消込の反対で、注文時の買掛金を出金と同時に帳簿から消す作業を言う。
入金消込は取引先の支払いが起点となるため管理に手間がかかるが、支払消込は自社が行った支払いに付随する作業のため管理はしやすいだろう。そこでここからは、売掛金に対する入金消込の効率化をテーマに話を進めていこう。
一般的に法人で行われているExcelを用いた入金消込処理の方法
入金消込を行う際には、まず入金された金額がどの請求分なのかを正しく引き当てる必要がある。そこで従来から一般的に行われているのがExcelを用いたチェック方法だ。Excelを使用した入金消込作業は以下のような手順で行われる。
① 入金情報を記録
はじめに事前準備として、通帳からExcelへ入金日/入金名義/入金金額のすべて転記をしよう。
また別途、突き合わせるための請求情報の一覧も必要だ。Excelで入金管理表がある場合はそれを使用し、ない場合は発行した請求書を元に支払い期日/取引先名/請求金額をまとめよう。
② 売掛金と入金金額を突き合わせる
突き合わせの作業は、フィルタ機能を使いながら1社ずつ行うこともできるが、関数やマクロを使ってできるだけ効率化を図りたいところ。
例えば、企業名をVLOOKUP関数で突き合わせて入金管理表内に該当がある場合には請求金額を自動で転記したり、COUNTIF関数で重複がないかをチェックしたりすることも可能だ。
Excelを用いた入金消込処理の方法の問題点
Excelで関数やマクロを使えばある程度効率化は図れるものの、それでも自動化できる情報は参考程度。1社に複数の請求をかけているケースがあったり、入金時のカナ名義では請求情報とうまくマッチしないケースがあったりと、1件ずつ目視で確認していく手間はなくならない。
またできるだけ効率化しようとすれば、その分スキルが必要になる。さらに、こうして人の手が加われば加わるだけヒューマンエラーが増えることも忘れてはならない。
入金消込処理の業務の精度と手間を効率化する方法
では、煩雑な入金消込処理を精度高くしかも効率的に行うにはどうしたら良いだろうか?昨今では経理業務でもDX化が進み、さまざまなソリューションが提供されている。ここでは主な4つの方法を紹介しよう。
1. 入金消込自動化サービスの活用
1つ目は、入金消込の自動化に特化したサービスの活用だ。広く請求管理業務をカバーするものもあれば、シンプルな機能にとどめ他システムとの連携を強化しているシステムもある。
2. 決済代行サービスの活用
入金消込だけでなく、請求業務全般を効率化したいなら、決済代行サービスを活用してまとめてアウトソースをする方法もある。請求から代金回収までだけでなく、未回収時の督促などまで対応してくれるサービスもあるため、自社の状況に応じて利用を検討してみよう。
3. 会計ソフトの活用
会計ソフトの中には、入金消込の機能をオプションで備えているものも少なくない。一度自社で利用しているソフトのオプション機能を確認してみよう。ただし、自動化できるのか、あくまでサポート機能なのかは各社まちまちなため、体験版などで一度試してみることをおすすめする。
4. 債権管理システムの活用
債権管理システムは、債権を一括管理でき、自動消込や債権回収のサポート機能を備えたシステムだ。経理担当者だけでなく、営業担当者の負担も減らせる点は大きなポイント。誰でも使いやすいものから、簿記の知識がある人向けのものまで多様なため、自社に合うものを見つけよう。
入金消込の業務を効率化するおすすめ債権管理システム
ここからは、入金消込の効率化に力を発揮する、おすすめの債権管理システムを紹介しよう。
❖ クラウドERP ZAC
「ZAC」は、契約・プロジェクト単位で業務を行う業種に特化したクラウドERP(統合基幹業務システム)だ。販売管理や工数管理、経費管理など幅広い業務領域をカバー。債権管理に関しても請求書の発行〜入金消込の業務効率化や、売掛年齢表などの債権管理レポートの出力まで行える。
(「 クラウドERP ZAC」の詳細は こちら)
❖ OBIC7会計情報システム
「OBIC7会計情報システム」は、会計システムを中心としたOBIC7の多様なソリューションをワンストップで利用できるクラウドサービス。債権・債務管理の機能も備えており、入金消込オプションも用意されている。
(「OBIC7会計情報システム」の詳細は こちら)
❖ GLOVIAきらら
「GLOVIAきらら」は富士通が提供する、販売管理・会計・人事給与の3つの業務分野に対応したクラウドERP。幅広い業務に対応しながらも、使いたい機能だけを選べる点が魅力だ。「GLOVIAきらら販売管理」には入金個別消込ができる売掛管理の機能も搭載している。
(「 GLOVIAきらら」の詳細は こちら)
❖ PayMa(ペイマ)
「PayMa」はNTTコムウェアが提供する、入金消込に特化したクラウドサービスだ。AIによる機械学習で使用するほどマッチング精度が向上。1年の継続利用で約80%の入金を自動で消込できるようになるため、大幅な作業効率化が期待できる。
(「 PayMa(ペイマ)」の詳細は こちら)
❖ T-check(ティーチェック)
「T-check」は10万件の照合を1分で完了させる、売掛・買掛の照合に特化したシステム。高度なOCR-AI機能を搭載しており、紙の検収書や請求書を取り込んで照合することが可能。Excel型のUIとなっているため、これまでExcelで消込作業を行っていた企業にもぴったりだ。
(「T-check(ティーチェック)」の詳細は こちら)
❖ MJSLINK-DX
財務会計システムを提供するMSJの「MSJLINK」は、煩雑な入金・支払業務を自動化してくれる心強いサービスだ。債権消込処理の機能を搭載しており、入金振替によって過入金の振替や前受処理にも対応している。
(「MJSLINK-DX」の詳細は こちら)
❖ V-ONEクラウド(ブイワンクラウド)
「 V-ONEクラウド」は入金消込を自動化してくれる債権管理システムだ。独自の機械学習で、おまとめ入金や異なる名義での振り込み、振り込み手数料まで学習。また、ワンクリックで残高年齢表や滞留一覧を出力できるため、債権管理の強化にもつながる。
(「V-ONEクラウド(ブイワンクラウド)」の詳細は こちら)
❖ GRANDIT(グランディット)
GRANDITは、拡張性の高さが魅力のERPパッケージだ。債権・債務管理にも強く、一括請求消込や自動消込など3種類の回収消込方法に対応している。銀行振込や手形、電子記録債権、期日決済など、多様な決済方法に対応し、まとめて管理ができる点も心強い。
(「GRANDIT(グランディット)」の詳細は こちら)
債権管理システムを選定の観点
さまざまな債権管理システムを紹介してきた所で、最後に「何を基準に選定すれば良いのかわからない」という方に向けて、選定のポイントを解説しよう。
■ 付帯するシステムの確認
債権管理システムは、請求業務を軸として販売管理業務に対応するシステムか、会計業務に対応するシステムかに大別することができる。それによって搭載されている機能が大きく変わってくるため、自社のフローや導入の目的に合わせて選択するようにしよう。
■ 債権管理システムの利用者を確認
スムーズに導入するためにも、事前に債権管理システムを利用する担当者や業務フローを想定しながら使いやすいシステムを選んでいくことをおすすめしたい。
債権管理システムは業務の特性上、誰でも自由に使うものではない。その一方で、未回収情報を営業担当者に共有するなどの連携も欠かせないし、経営にも直結する重要な業務となる。だからこそ、利用者にとって使いやすいシステムを選択し、無理なく回せるフローを構築していこう。
まとめ
入金消込は会社にとっても重要度の高い業務であることから、これまでは煩雑な入金消込業務をマンパワーでなんとかこなして企業も多いだろう。昨今ではDX化が進むとともに精度の高い自動入金消込も可能になっている。ルーティーン業務の効率化は導入効果も見込みやすいため、入金消込の煩雑さにお悩みの企業は債権管理システムの導入を検討してみてはいかがだろうか。まずは無料トライアルやカタログダウンロードで候補を検討してみて欲しい。