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請求書を発行する目的や保存期間とは?発行と管理を効率的に行う方法も紹介

2021.11.25
請求書発行TOP画像
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 商品やサービスを提供した際、その対価を支払ってもらうために発行する「請求書」。ビジネスにおいて重要な書類の一つであるため、記載事項や発行のタイミング、保存・管理方法などを正しく理解したいと考える経理担当者も多いのではないだろうか。請求書に不備があれば、取引先の経理担当者に負担をかけたり、場合によっては入金の遅れや未入金といった事態を招いたりする可能性もあるため、注意が必要だ。

 本記事では、請求書を発行する目的や保存方法、効率的に発行・管理する方法を紹介する。基本的な知識をおさえ、日々の業務の効率化に役立ててほしい。

目次

●請求書とは
●請求書の発行日は必要か
●発行した請求書の保存期間
●請求書の発行と管理を効率化する方法
●まとめ

請求書とは

 請求書とは、提供した商品やサービスの対価を請求するために必要となる書類だ。商法によって発行と保管が義務付けられており、税務調査時には提示が求められる。まずは、請求書を発行する目的や記載内容を確認しよう。

請求書を発行する目的
 請求書を発行する主な目的は、「取引の証明」と「トラブルの防止」の2点だ。「取引の証明」とは、取引先との支払いを書面で確定させて取引を証明すること。取引先に商品やサービスを納品しても、請求書を送付しなければ代金は支払われないため、経理手続きを円滑にするためにも重要な作業となる。

 また、請求書を発行することで、取引先の「支払い忘れ」や「未入金」といったトラブルの防止にもつながる。万が一トラブルが起きてしまった場合にもスムーズな解決ができるよう、請求書を発行し書面に残しておくことが重要だ。

請求書に記載する内容
 国税庁のホームページによると、請求書に必ず記載したい事項は次の5項目。

(1)書類作成者の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引内容
(4)取引金額(税込み)
(5)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

参考:国税庁『No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた

 請求書は、基本的に事前の契約書で取り決めた内容を記載するが、契約書に記載がなく口頭で合意した内容があれば、トラブルの原因とならないように必ず追記しよう。例として、「特別価格・値引きなどで商品・サービスを提供した場合」「特急料金などで追加料金を上乗せした場合」「分割して請求する場合、何回目の請求か」などは、備考や特記事項として記載するとよい。

 また、取引先の経理担当者が入金する際に重要となる「支払い期限」と「請求書の発行日」を記載しておくと、書類の管理もしやすくなるだろう。

請求書の発行日は必要か

 請求書の発行日は取引先にとって「債務の確定日」となるため、原則的に記載が必要となる。発行日のない請求書ではトラブルの原因につながる可能性もあるので、発行日は必ず明記しよう。ここでは、請求書の発行日の決め方と、発行するタイミングを説明する。

請求書の発行日の決め方
 請求書の発行日は、請求書を実際に作成した日付ではなく、取引先の締め日に合わせるのが一般的だ。会社の資金繰り上、締め日や支払日は「月末締め、翌月払い」「月末締め、翌々月10日払い」などと決まっているケースが多い。事前に取引先の締め日や必着日の希望を確認し、必ずその期限に合わせるように送付することがマナーとされる。

【例】1月25日に納品した商品に対する請求書を、2月5日に送る場合
先方が「月末締め」であれば、請求書の発行日は「1月31日」と記載する

請求書を発行するタイミング
 請求書は、提供した商品やサービスに対して発行する書類であるため、基本的に納品より前に発行することはなく、納品と同時、もしくは納品後に発行する。ただし、取引先が「月末締め」の場合は、発注月の月末を発行日に設定するケースもある。

 請求書の発行方法には、「都度方式」と「掛売方式」がある。それぞれの特徴は以下の通りだ。

(1)都度方式:取引のたびに請求書を発行する方法。会社の資金繰りがよくなる効果も期待できる
(2)掛売方式:同月に何度も取引がある場合、毎月の請求を一括で行う方法。締め日・発行日を決め、毎月同
じタイミングで請求する。「請求書払い」や「後払い」とも呼ばれる

発行した請求書の保存期間

 請求書は取引の際の証拠となる書類であることから、領収書や納品書とともに「証憑(しょうひょう)書類」と呼ばれる。これらの書類は事業を行う上で大量に発生する書類だが、保存期間が定められており、会社の判断で勝手に破棄することは認められていない。

 企業における請求書の保存期間は、所得税法、消費税法、法人税法などで「7年間」と定められている。保存期間の起算点は、「事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間」。請求書の発行日からの起算ではないことに注意しよう。

 なお、個人事業主の保存期間は5年で、取引があった年の翌年3月15日から起算する。

 また、請求書は原則では原本(紙)での保管が義務付けられているが、事前に税務署に申請すれば電子文書での保管も可能だ。請求書の電子化については後述する。

請求書の発行と管理を効率化する方法

 ここからは、請求書の発行と管理を効率化する方法を3つ紹介する。

クラウド会計ソフトを使用
 クラウド会計ソフトとは、インターネット上のサーバーにデータを保存する会計ツールのこと。IDとパスワードがあればどのパソコンからもデータにアクセスできるのが特徴だ。データは自動で同期されるため、税理士とリアルタイムで最新データを共有できるといった利点も挙げられる。請求書の発行・管理だけでなく経理作業全体の効率化を実現できるだろう。

電子文書での保管
 税制上、請求書は原本(紙)での保管が原則だ。しかし、2005年に改定された「電子帳簿保存法」により、電子データで作成した請求書での保存が可能となった。請求書の電子化は、ペーパーレス化だけでなく、印刷や郵送が不要となるため、コスト削減につながる。また、照合作業の自動化などにより、請求書の発行や管理の効率化、最適化を図れるのも魅力といえるだろう。

 ただし、電子文書での保管は税務署への事前申請が必要となる。加えて、保存要件などもクリアしなければならないことにも注意しよう。

経理業務のアウトソーシング
 経理業務のアウトソーシングとは、会社の経理業務の一部または全てを代行会社に委託すること。アウトソーシングサービスを活用すると、繁忙期や経理担当者の退職時など、自社の状況の変化に合わせて適切な人材を配置できる。

 また、経理のプロにアウトソーシングを依頼することで、経理担当者の負荷軽減やコスト削減につながる他、最新の税制を活用できたり、属人化しがちな経理業務を標準化できたりするといったメリットも期待できる。

まとめ

 請求書には、「取引の証明」と「トラブルの防止」という主な2つの目的がある。請求書は法律で「発行」と「保管」が義務付けられており、税務調査時には提示が求められる重要な書類だ。そのため、「発行日を必ず記載する」「法人では7年間保管する」などの決まりは押さえておこう。本記事を参考に正しい請求書の発行・保管を行うとともに、効率よく発行・管理できる方法を検討してみてほしい。

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