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残業手当とは?残業手当の定義、計算方法を解説!

2022.01.24
オフィスのミカタ編集部

所定労働時間を超えて残業した場合に支払われる「残業手当」。一言に残業手当と言っても、深夜や早朝には手当を割増して支払わなければならないなど、労働基準法による区別がある。

残業代手当が適切に支払われない場合は、違法残業となり、裁判に発展しかねないトラブルにもつながるため、従業員に適切な残業手当の支払いを行うことは極めて重要だ。本記事では残業手当の概要や計算方法、注意点などを解説するので参考にしてほしい。

目次

●残業手当とは
●残業の定義
●残業手当の計算方法
●違法になる残業と罰則
●まとめ

残業手当とは

決められた労働時間を超えて働いた場合に支払う「残業手当」。まずは、残業手当の定義についてみていこう。

残業手当の定義
「残業手当」とは、次のような場合に支払われる賃金のこと。

●会社の就業規則や労働契約書により定められている労働時間を超えて勤務した場合

●法定で定められた労働時間を超えて勤務した場合

残業手当は就業規則の内容により割増率が異なるため、自社の就業規則に合わせた対応をとることとなる。

役職者や管理職は残業手当の支給対象外
役職者や管理職(管理監督者)に就いている従業員に対しては、残業手当を支払う必要がない。ただし例外として、管理職の肩書きを持つ従業員が実務を担当しているケースなどは、管理監督者とはみなされず、残業手当の支給対象となる場合もある。

この場合、役職名ではなく、実際に行っている職務や職務権限の有無などの実態により判断しなければならないため注意が必要だ。

支給対象外の適用となるかどうかを判断するポイントとして下記の例が挙げられる。

【支給対象外の適用となる例】
・重要な責任と権限を委ねられている従業員
・出退勤について管理を受けない従業員
・賃金面などで地位にふさわしい待遇がなされている従業員

残業の定義

先述の通り、決められた時間を超えて残業した場合は「残業手当」を支払う必要がある。ここでは、改めて残業の定義についてみていこう。

残業の定義
残業は、法定内残業と法定外残業の2種類に分かれる。それぞれの定義は次の通り。

●法定内残業とは
法定内残業とは、労働基準法で決められた法定労働時間(1日8時間、もしくは1週40時間)の範囲内で行った残業のことを言う。会社が定める就業規則で所定労働時間が7時間や6時間の場合、残業が8時間を超えなければ法定内残業となる。

この場合、割増賃金の支払い義務はないが、会社によっては割増賃金を支払うケースもあるようだ。

●法定外残業とは
法定外残業とは、労働基準法で決められた法定労働時間(1日8時間、もしくは1週40時間)を超える残業のこと。法定外残業を行った場合、所定の賃金に一定の割合を乗じた割増賃金が支払われる。

残業をさせる場合は「36協定」が必要
自社の従業員に残業をさせる場合、「36協定」と呼ばれる労使間の協定を結ばなければならない。「36協定」とは労働基準法第三十六条に基づいて結ぶ労使協定のこと。

会社が従業員に残業をさせるには、労働基準監督署に36協定の届け出が必要で、労働時間の延長限度は、1ヶ月45時間、1年360時間までと定められている。

残業手当の計算方法

残業手当の概要を紹介したが、実務にあたっては計算方法を理解しておくことが必要だ。ここからは、残業手当の計算方法を解説する。

残業手当の基本となる計算式
法定外残業を行った場合の残業手当については、1.25倍以上の割増賃金を支払う必要がある。例えば、割増率が1.25の場合の残業手当を求める式は以下の通り。

残業手当 = 1時間あたりの賃金(時給) × 1.25 × 時間外労働時間

1時間あたりの賃金の計算
1時間あたりの賃金を求める式は、以下のようになる。

1時間あたりの賃金 = 月額基準賃金 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間

※月額基準賃金は、基本給だけでなく毎月固定で支給される各手当も含めて計算する必要がある。

深夜手当・休日手当の計算
時間外労働だけでなく、休日や深夜に労働した場合も割増賃金が発生するため注意が必要だ。

・深夜労働
深夜労働とは、22時から5時までに勤務させること。この時間帯の勤務時間分について、1.25倍の賃金を割増して支給しなければならない。

・休日労働
休日労働とは、法定の休日に勤務させること。1.35倍の賃金を割増して支給しなければならない。

残業手当の計算に含めない手当
残業手当の計算に算入しない手当は次の通り。

・通勤手当
・住宅手当
・扶養手当
・単身赴任手当
・臨時で支払われた賃金(結婚祝い手当など)
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・固定割増賃金

これらの手当は、労働時間の対価として支払われる賃金ではない。労働時間が支給基準である残業時間と性質が異なるため、計算には含められないことを把握しておきたい。

違法になる残業と罰則

違法残業が行われると、長時間労働に起因する従業員の体調不良や過労死といった問題に発展しかねない。

自社においては、36協定で定められてる残業時間の上限遵守や、従業員への注意喚起など適切な対応を行い、「違法残業をしない・させない」ようにする努力が必要だ。ここでは、違法となる残業と罰則について解説する。

違法になる残業
労働基準法では、原則として法定労働時間(1日8時間、もしくは1週間に40時間)を超える労働を禁止している。しかしながら、業種や職種によって、法定の労働時間内に収めることが難しい場合もあるだろう。

その場合は36協定を結び、協定で定めた残業時間の上限まで残業をさせることができるが、割増賃金の支払いが必須だ。法定労働時間外を超えた残業時間について、割増賃金の支払わなければ違法残業をさせていることになる。

違法残業を行った場合の罰則
会社が従業員に対して違法残業を行わせていた場合は、労働基準法第37条に違反する行為となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が科されてしまう。

法令を遵守し、適切な残業をしてもらうよう、全従業員に対して注意喚起を行うほか、必要に応じて職務分担の見直しといった対策を講じることが必要だ。

まとめ

残業手当は会社と従業員双方にとって、適切に支払い・支払われることが大前提だ。残業手当の適切な支払いが行われない場合は、裁判などの労使間トラブルに発展することもあるため、法令を遵守し、適切に残業手当の支払い業務を遂行することが求められる。違法な残業をさせないためにも、自社の従業員の労働時間を把握し、適切な対策を検討しよう。

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