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精算表を作る意味とは?精算表の作成目的から作成方法までわかりやすく解説

2022.02.22
オフィスのミカタ編集部

精算表とは決算時に作成される会計書類の一つである。正式な帳簿ではないものの、正確かつ円滑に決算作業を進める上で重要な役割を持つ。本記事では精算表を作成する意味や、作成方法などについて詳しく紹介していく。

精算表とは財務諸表のミスをなくすための確認書類

精算表とは決算整理前の残高試算表から、損益計算書と貸借対照表を作成するまでの一連の流れをまとめた概算表である。

精算表を作成することで決算手続きの概要を把握し一覧化できるため、いざ損益計算書や貸借対照表を作る際にミスをなくすことが可能だ。

ここでは精算表に記載するそれぞれの項目について詳しく解説する。

残高試算表
残高試算表とは、各勘定科目の残高(借方と貸方の差額)を一覧にしたものだ。決算手続きは、まず残高試算表を作成することからスタートする。

決算整理仕訳
決算整理仕訳とは、正しく損益計算書や貸借対照表を作成する目的で行う最終調整のための仕訳である。具体的には減価償却費の計上や見越し・繰延べ処理、売上原価の算定などを行う。

損益計算書
損益計算書(P/L)は、収益・費用・利益を記載した、期間内の収益性・成長性を示す決算書類である。

貸借対照表
貸借対照表(B/S)は、期末時点の資産・負債・純資産をまとめた決算書類で、企業の財務状況を示すものである。

精算表の作成に必要な「貸方・借方」の意味

精算表のそれぞれの項目には、貸方と借方の2つの記入欄が設けられている。取引が発生した際の内容を貸方・借方に分けて考える簿記を複式簿記と言い、この内容を帳簿などに記載する業務が仕訳である。

借方と貸方は、原因と結果を示すものであり、各取引の借方と貸方の合計金額は必ず一致する。

例えば、材料の仕入れに現金1万円を使った取引の仕訳は
(借方)仕入 10,000円 (貸方)現金 10,000円
のように帳簿に記載する。

精算表でよく使われる書式は8桁精算表

精算表には書式が複数あり、中でもよく使われる書式は「8桁精算表」と呼ばれるものである。ここでは精算表の種類について紹介する。

8桁精算表
8桁精算表は試算表、修正記入、損益計算書、貸借対照表の4項目について、それぞれ借方と貸方に分けた計8行の記入欄が設けられた精算表である。決算の手順に沿って、試算表から順に記入していく。

6桁精算表
6桁精算表は8桁精算表の修正記入の項目が省かれた精算表である。試算表、損益計算書、貸借対照表をそれぞれ借方・貸方に分けた6行の表となることから6桁精算表と呼ばれる。

10桁精算表
10桁精算表は8桁精算表の修正記入の項目の後に、決算整理後残高試算表の項目(借方・貸方)を加えた全10行の精算表である。

試算表と精算表の違い

簿記の中で精算表と混同されやすいのが試算表だ。試算表とは勘定科目ごとの金額が一目で把握できる表である。月末や期末に総勘定元帳の内容を集計することで、転記のミスがないかをチェックしたり、経営状況を確認したりする目的で作成される。

一方の精算表は、決算時に試算表から最終成果物である賃借対照表を作成するプロセスの中で、ミスをなくすために作成する表である。

精算表の具体的な作成手順

精算表の具体的な作成手順

ここまで精算表の概要について触れてきたが、下記では精算表の具体的な作成手順について見ていこう。今回は最も一般的な8桁精算表で解説していく。

1.試算表欄に決算整理前残高試算表の金額を記入

1.試算表欄に決算整理前残高試算表の金額を記入

まず試算表欄に、決算整理前残高試算表の金額を各勘定科目に転記する。

2.修正記入欄に決算整理仕訳を記入

2.修正記入欄に決算整理仕訳を記入

売上原価の計算や減価償却費の計上などの決算整理仕訳を行ったら、修正記入欄に金額を記入する。

3.損益計算書欄に1と2を合算した額から費用と収益を記入

3.損益計算書欄に1と2を合算した額から費用と収益を記入

損益計算書欄の費用と収益に該当する勘定科目に、試算表欄と修正記入欄の金額を合算して記入する。

4.貸借対照表の欄に1と2の合算した額から資産・負債・純資産を記入

4.貸借対照表の欄に1と2の合算した額から資産・負債・純資産を記入

貸借対照表欄の資産・負債・純資産に該当する勘定科目に、試算表欄と修正記入欄の金額を合算して記入する。

5.記入欄の借方と貸方の合計金額が一致しているか確認

5.記入欄の借方と貸方の合計金額が一致しているか確認

最後に1~4の記入欄において、借方と貸方の合計金額が一致しているかを確認して、一致していれば完了となる。

管理・税務会計をミスなく効率的に行うために会計ソフトの利用も一手

ここまで解説してきた通り、財務諸表を作成するには簿記などの知識が必須であり、ミスを犯してしまうとやり直しの手間が生じてしまう。

そのようなリスクを避けるためにも、会計ソフトの利用を検討してみてはいかがだろうか。会計ソフトを使用することで、計算ミスや記入漏れなどが防げるほか、帳簿の管理が簡単になるため担当者の負担を大幅に減らすことができるだろう。

また、業務効率化が図れるため、その他の業務へリソースを割くことが可能になるというメリットも挙げられる。おすすめの会計ソフトが知りたい方や、決算についてより詳しく知りたい方は下記の記事をぜひ見てほしい。


決算とは?目的や手続きの流れ、おすすめ会計ソフトなどを紹介

まとめ

精算表は財務諸表を作るに当たって、ミスをなくすことを目的とした確認書類である。財務諸表を作成するためには簿記の知識が必須であり、担当者が計算ミスや入力漏れなどを起こさないよう入念なチェックが重要になる。

しかし、会計ソフトを利用すればシステムで自動的に仕訳や帳簿作成、決算書作成などを行ってくれるため、会計業務の負担を軽減させることができるだろう。精算表の作成や決算書づくりなどの会計業務を効率化する上で、ぜひ会計ソフトの導入などを検討してみてはいかがだろうか。

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