「入力作業から社員を解放する」 会計だけではなく経理業務全体を効率化するfreee会計
「同じ内容を違うファイルに何度も手で入力しなければならない」「その結果、目視での突き合わせ作業が発生してしまう」「転記・確認作業のために貴重なキャパシティが割かれてしまった結果、本来やるべき仕事が終わらない」経理部をはじめとしたバックオフィスにおいて、非常によく聞く悩みである。今回、freee株式会社 プロダクト戦略本部 プロダクトマーケティングマネージャー 尾籠威則氏に取材を敢行し、DX時代の働き方について話を伺った。
従業員21名以下の企業のペーパーレス化率は2割弱
日本のDXの進みは芳しくない。「DXにもいろいろな段階がありますが、例えば初歩の段階であるペーパーレス化ですら進んでいません」と尾籠氏。当社が実施したアンケートによれば、働く環境のペーパーレス化が進んでいると答えた企業は全体の3割にも満たない。
特に、小規模事業者のペーパーレス化が遅れている現状がある。同アンケートによれば、従業員21名以下の企業においては、ペーパーレス化が進んでいると答えたのは2割弱だ。大企業では4割以上が進んでいると答えていることから、大きな差を開けられていることが分かる。「紙保管を原則とする法律が足枷となっていた」と尾籠氏は見ている。
もっとも、こうした状況は電子帳簿保存法の改正によって大きく変わることが見込まれている。「政府も今回は本気でIT化を推し進めようとしているようです。主要先進国中最下位の労働生産性を向上させようという気迫が伺える」と尾籠氏。日本企業、特に中小企業にとっては転換点を迎えているといえる。
ツールを導入する際に意識すべきポイントとは
尾籠氏によれば、中小企業においてDXが進んでこなかった原因は、主にリソース不足にある。「多くのシステムは非常に高額ですし、自社で開発しようにもIT人材の確保にはやはりお金が必要です。システム移行に割くヒトやカネの余裕がないから業務フローを電子化できないというのが、多くの中小企業様がお抱えの悩みかと思います」
だからこそ、「最初はコストをかけすぎず、小さなところから変えていくのがベスト」と尾籠氏は考えている。
「例えば紙の請求書が届いた場合にスキャナ保存する。取引先に発行する請求書を電子化する。ATMや窓口で振り込むのではなく、インターネットバンキングにデータを連携して振り込む。大きな時間もお金もかけずにできることはあります。月額数千円で使えるツールもあるので、まずはITに慣れ親しむ意味でもお試しいただければと思います」(尾籠氏)
とはいえ、世の中にはバックオフィス向けのツールは無数にある。具体的にはどのような点に注意して選べば良いのか。尾籠氏は、選定の際のキーワードとして「クラウド」と「統合」を挙げている。
「あくまでも試験導入として、値段の安さと『いつでもやめられる』という気軽さを兼ね備えたクラウド型のシステムがおすすめです。また、気に入ったツールがあった場合、将来的にはそのツールを中心として一つのシリーズに寄せていただく形が連携の観点からは理想です。その意味では、ツールの多さが逆に負担にならないよう、さまざまな機能を統合的にお使いいただけるかどうかを意識して選定するのが良いでしょう」(尾籠氏)
事業が拡張する可能性を見越しつつ、まずは小さく始めることが大切なのかもしれない。
転記作業の必要がないバックオフィスを目指して
その点でおすすめできるのがfreee会計だ。クラウドだから安価にお使いいただける上に、高度なITスキルがなくても使いこなせる仕様になっている。
freee会計の何よりの強みは、「オールインワンのシステムであることに尽きます」と尾籠氏。「会計はもちろん、債権債務管理、経費精算、電子ワークフロー、固定資産管理や明細の自動取得、ファイル管理もできます」と話す。あらゆる業務を統合管理できるので、少人数のバックオフィスにとって力強い味方となるだろう。
また、freee会計は使い勝手に徹底的にこだわっている。「モバイルでのUIにもこだわっていますので、スマートフォンでほとんどの作業を完結させられます」と尾籠氏。それだけでなく、カレンダーアプリとの連携も進んでおり、カレンダーに入力した内容から電車代が算出される仕組みも実装されているほどだ。また、「OCR読み取り機能にも注力しております。弊社のAI人材が開発した独自エンジンを搭載しております」と尾籠氏。手書きの領収書も高精度で読み取ることができるのだという。
「そもそもfreee会計というプロダクトは、転記のない仕組みを作るために生まれました。経理の方々が行っていた転記作業をシステムに代行させることで、日本の労働生産性を上げたいという想いが根底にあります」(尾籠氏)
中小企業の課題に狙いを定めたツールがfreee会計である。
デジタル化の先に待っている未来 中小企業が大企業を追い抜く日
デジタル化を進めた先にはどういう未来が待っているのか。尾籠氏によればそれは、「紙から電子へ完全移行した働き方」なのだという。
「従来は時間をかけて入力したり回していたりしたものを、リアルタイムで電子共有することも可能になります。もちろん紙だから発生していたコストは削減されますし、テレワークも実現させられるでしょう」(尾籠氏)
実際に、同社はそうした未来を見据えた開発を進めている。
「リアルタイムで情報を共有するレポート機能は既に実装しています。また『freee人事労務』をはじめとしたシステムとのスムーズな連携も実現しています。経理部門から始めた改革が他部門、ひいては経営層にも広がり、全社的なDXを促進することを狙っています」(尾籠氏)
今、社会が大きく変わろうとしている。「法改正やコロナ禍でデジタル化が進み、中小企業にもシステム化の波が押し寄せています。中小企業がテクノロジーを活用し、大企業を凌駕する日がすぐそこに来ているのかもしれません」と尾籠氏は考えている。
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